ホリエモンはなぜ捕まった?法務の専門家が語る、ライブドア事件の経緯とポイント5選

法務の専門家が語る、ライブドア事件の経緯とポイント5選

ライブドア事件は、2004年9月期の決算報告に虚偽があるということで、証券取引法などの違反により、ホリエモンや取締役が起訴された事件です。この記事では、ホリエモンがなぜ捕まったのかを含め、ライブドア事件の経緯とポイントを紹介します。

ホリエモンはどんな罪で捕まった?

ホリエモンは「有価証券報告書虚偽記載」と「偽計及び風説の流布」という2つの罪に問われました。具体的には、決算報告(2004年9月期年度)で出された有価証券報告書に虚偽があり、それによる偽計及び風説の流布も含めて起訴されたのです。では、「有価証券報告書虚偽記載」「偽計及び風説の流布」とは何なのでしょうか?

有価証券報告書虚偽記載とは

金融商品取引法では、有価証券報告書の提出を上場企業などに義務付けています。有価証券報告書は事業年度ごとに提出が必要で、経理の内容を含め、事業の重要内容を記載している報告書です。

もしも報告書の内容に虚偽があれば、個人の場合は10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金が科され、法人の場合は7億円以下の罰金が科されます。

偽計及び風説の流布とは

偽計及び風説の流布とは、株式取引などの相場変動による利益目的で、他人を誤解させる手段を使ったり、根拠のない噂を流すことを指します(証券取引法158条で禁止)。違反した場合には5年以下の懲役や500万円以下の罰金、もしくはその両方の罰則となる場合があります。

ライブドア事件の経緯

ライブドア事件の経緯は、携帯電話販売会社クラサワの買収から始まります。現金8億円で売りたいクラサワと、現金を流出せず、8億円分のライブドア株を発行して交換したいライブドア側で思惑が別れました。

それを解決したのがM&Aチャレンジャーファンドという投資ファンドです。8億円分のライブドア株の権利と、全クラサワ株を交換した上で、その権利をM&Aチャレンジャーファンドがクラサワから買取ったのです。

その結果、ライブドアは現金を流出せず、クラサワは現金を手に入れたのです。しかし、M&Aチャレンジャーファンドが出した8億円は、ライブドアのファイナンス部門が投資したお金でした。ということは、結果的にライブドアが現金を流出したのと変わりありません。

そこで、M&Aチャレンジャーファンドがホリエモン個人から、8億円分のライブドア株を借りました。逆にM&Aチャレンジャーファンドは8億円分のライブドア株を入手する権利をホリエモンに渡します。

M&Aチャレンジャーファンドは、ホリエモンから借りた8億円分のライブドア株を市場に売却(実際には18億円で売れた)して、ライブドアのファイナンス部門に現金を返しました。

ライブドアのファイナンス部門は、結果的に18億を得たので、10億円を得たことになります。これがライブドア事件の経緯なのですが、ここまでは違法性がありません。では、どこが違法となったのか、事項で解説いたします。

ライブドア事件のポイント5選

ライブドア事件について、5つのポイントを紹介します。ぜひ参考にしてください。

1.どこが違法だったか

結果的にライブドアが得た10億円を、有価証券報告書に記載する際に、虚偽記載されたことが違法性と判断されました。10億円は、株の発行で資本金が10億円増えたのか、それとも利益が10億円増えたのかが重要なポイントだったのです。厳密にいうと、株式売却で得た利益を、投資利益として売上計上したことが指摘されました。

2. ホリエモンの主張

ホリエモンとしては、ライブドアのファイナンス部門は金融取引で利益を得る事業であるため、今回得た10億円も投資による利益だと主張しました。そのため、有価証券報告書に利益として計上しても問題はないはずだという立場だったのです。

3.検察側の主張

一方、検察側の主張としては、自社株を発行して資金を増やしているだけであるため、本来は資本金として計上しなければならないとの立場です。

M&Aチャレンジャーファンドが間に入ってはいますが、結局のところ自社株を売っただけなので、資本金に計上せず、売上に計上したことが、有価証券報告書虚偽記載と判断しました。

4.粉飾決算の額

ライブドアは3億1,300万円の経常赤字とのことでしたが、53億4,700万円の利益計上で、50億3,400万円の経常黒字と有価証券報告書に記載しました。3億円の赤字と、50億円の黒字とでは意味合いが大きく異なりますよね。

5.判決

判決としては、ホリエモンに懲役2年6ヶ月、宮内亮治(株式会社ライブドアの元取締役)に懲役1年2ヶ月、岡本文人(株式会社ライブドアの元取締役)に懲役1年6ヶ月執行猶予3年、熊谷史人(株式会社ライブドアの元代表取締役)に懲役1年執行猶予3年、中村長也(ライブドアファイナンス元社長)に懲役1年6ヶ月執行猶予3年が下されました。

また、公認会計士2人にも懲役1年執行猶予4年が科されたほか、ライブドアに罰金2億8千万円、ライブドアマーケティングに罰金4,000万円の有罪判決となりました。

まとめ

ライブドア事件は、企業買収にあたっての株取引の内容に対し、有価証券に記載する方法で虚偽があると見なされ、ホリエモンが逮捕される事態となりました。しかし、ホリエモンと検察の認識差は、現在でもネット上で論争がなされており、法の観点でも有罪は微妙だとする意見もあります。いずれにせよ、ライブドア事件の真相がよく分からない人も多いのですが、上記のような経緯とポイントの事件だったのです。

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