民法改正で賃貸借契約はどう変わったのか?~改正民法の重要ポイント3

改正民法の重要ポイント

この4月から施行された改正民法では、契約に関する規定が大幅に見直されました。ちなみに、契約法(債権法)の抜本的な大改正は、明治時代の民法典制定後はじめてのことです。

私たちの生活とも深く関わりのある賃貸借契約についてもいくつかの改正点が盛り込まれています。

本文中でも解説するように、今次民法改正はこれまで蓄積された判例法理の条文化という側面が強いといえるので、取引実務に与える影響は大きくないともいえますが、個別の取引においては、契約書の見直し・再点検が必要となるケースも少なくないと思われます。

そこで今回は、今次民法改正によって賃貸借契約のルールがどう変わったのかという点について重要なポイントを解説していきます。

民法改正で賃貸借契約のどこが変わったのか?

まずは、賃貸借契約についての改正点の全体像を概観しておきましょう。

今次民法改正(債権法改正)の基本的な目的は、明治時代に民法が創設されてから手つかずのままになっていた契約に関する諸規定を現在の社会に適合できるように修正することにあるといえます。

賃貸借契約についての主な改正内容は下の表のように整理することができます。

目的物返還義務・不動産賃貸借権に基づく妨害排除請求権の明文化 民法601条・605条の4
賃貸借の存続期間の上限延長(20年→50年) 民法604条
賃貸不動産の譲渡に伴う賃借権の移転についての規定整備 民法605条の2・605条の3
賃借人による賃貸借対象物の修繕に関する規定の新設 民法607条の2
転貸借関係についての規定の新設 民法613条3項
敷金に関する規定の新設 民法622条の2

これらのうちの多くは、民法制定からこれまでの間に蓄積された判例法理を条文化したものといえますので、民法改正によって賃貸借契約の基本的な考え方が変わるというものではないといえます。したがって、一般論としては取引実務に与える影響もさほど大きくないといえるでしょう。

賃貸借契約の基本ルールについての改正点

まずは、賃貸借契約における一般的なルールについては、次の3つについて改正がなされています。

  • 賃貸借契約の定義
  • 賃貸借契約の存続期間
  • 賃借権に基づく妨害排除請求権

賃貸借契約の定義(目的物返還義務の明文化)

新 民法601条 旧 民法601条
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。 賃貸借は、当事者の一方がある者の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

民法601条の規定は、「賃貸借契約の定義」を定めた条文で、「賃貸借の終了によって賃借人に目的物の返還義務が生じること」が明文化される形で改正されたものです。

とはいえ、「借りた物を返す」ということは当然のことであり、この改正によって取引上の変化が生じるというわけではありません(条文を見るだけで権利と義務が明確化されたということに意味があります)。

賃貸借の存続期間の上限延長(20年→50年)

新 民法604条 旧 民法604条
賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。 2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から50年を超えることができない。 賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。 2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。

改正前民法では、建物の所有を目的としない土地の賃貸借には、借地借家法の適用がないため賃借権の存続期間は20年が上限とされていました。

しかし、現在の取引においては、ゴルフ場や大型事業の用途のために20年を超える長期間の土地の賃貸借を前提とする契約への需要も高まっているといえます。特に、太陽光発電パネルの設置(メガソーラー事業)のケースでは、再生可能エネルギー特措法(FIT法)の関係上、当初から20年を超える事業となることが前提となる場合がほとんどといえます。

また、不動産以外でも重機の賃貸借などは長期間の利用を前提とすることも珍しくありません。今次改正では、そのような社会的な要請があることも踏まえ、賃貸借期間の上限を20年から50年に延長することになりました(※旧法時代に締結された賃貸借契約であっても、更新時に賃貸借期間を50年と改めることは可能です)。

なお、本条は、「これより長い期間を定めたときであっても」という文言が残されていることから、旧法の場合と同様にある強行規定であると解釈されます。

借地借家法・農地法が適用される契約は適用対象外

賃貸借であっても、借地借家法が適用される賃貸借契約(たとえば、建物の所有を目的とする土地の賃貸借や建物の賃貸借)には、604条の規定は適用されません。

とはいえ、借地借家法が適用される賃貸借については、存続期間の「下限」が30年とされています(借地借家法3条)ので、民法改正の影響はほとんどないといえるでしょう。

不動産賃貸借権に基づく妨害排除請求権の明文化

民法605条の4(不動産の賃借人による妨害の停止の請求等)※新設規定

不動産の賃借人は、第六百五条の二第一項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
一 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき その第三者に対する妨害の停止の請求
二 その不動産を第三者が占有しているとき その第三者に対する返還の請求

この民法605条の4は、不動産の賃借人の妨害排除請求権を明文の規定として認めたものです。

妨害排除請求権とは、たとえば、物件に不法占拠者がいるような場合に、この者に対し妨害(占有)の停止を請求できる権利のことを指します。

この条文は新設規定ではありますが、妨害排除請求権それ自体は、基本的な物権的請求権(所有権などの物権に基づいて当然に請求できる絶対的権利)であり、これまでも判例や学説においては、賃借人にも一定の権利が認められていました(下記判例参照)。

【参考判例】最高裁昭和28年12月18日民集7巻12号1515頁

賃借人による賃借物の修繕

民法607条の2 (賃借人による修繕) ※新設規定

賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
一 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
二 急迫の事情があるとき。

長期間の賃貸借契約が締結される場合には、その契約中に賃借物を修繕しなければならない事情が発生する場合もあります。たとえば、住まいの賃貸借などでは、自然災害が原因で雨漏り、窓ガラスの破損といった事態が生じることもありますし、重機の賃貸借でも機械の故障が生じることもあるわけです。この場合には、その賃借物について処分権限のある賃貸人が修繕義務を負うのが原則となります(民法606条)。むしろ、賃貸人のものである以上、賃借人は勝手に修理するわけにはいかないわけです。

しかし、「賃貸人がすぐに修繕してくれない」という場合に、「賃借人が何の対応もできない」というのでは、賃借人にとってはあまりにも酷といえます。たとえば、屋根に大きな穴の開いた家にそのまま住み続けろというのは、あまりにも気の毒であるわけですが、この点について、改正前の民法は具体的なルールを設けていませんでした。

賃借人が賃借物を修繕するための要件

今次改正によって、民法607条の2が新設されたことによって、賃借人には、次の2つの場合に、独自の修繕権限が認められることになりました。

  • 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき
  • 急迫の事情があるとき

このうち、「相当な期間」、「急迫の事情」という文言の解釈がポイントになってきますが、この点は、修繕を要する原因となった損傷の程度や修繕しなかった場合の賃借人の負担といった個別事情に応じて判断されることになるでしょう。たとえば、「すぐに修繕をしなければ賃借物が契約上の用途を果たせずに、賃借人に多大な損害・リスクが生じる」という場合であれば、「急迫な事情がある」と考えるというわけです。

修繕費用の負担

本条に基づいて修繕を行った費用は(修繕義務のある)賃貸人が負担するのが原則です。したがって、賃借人が立て替えた場合には賃貸人に請求できます。

ただし、目的物が破損したことについて「賃借人にも過失があるとき」には、その程度に応じて修繕費用を負担すべきといえることに注意する必要があるでしょう。

特約で対応することは可能か?

本条は「任意規定」と解されるので、本条のルールとは異なる特約を設けることは可能です。

実際にも改正前民法における賃貸借契約では、本条と同様の特約を盛り込むことで対応しているケースが多いといえます。その意味では、本条の規定が新設されたことによる賃貸借契約の実務への影響もさほど大きくないといえます。

ただし、特約によって対応する際には、消費者契約法10条などの規律に十分注意する必要があります(賃借人が一方的に不利になる条項は無効です)。

賃貸物件を退去する際の原状回復義務

民法621条(賃借人の原状回復義務)※新設規定

賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

賃貸借契約における賃借人には、契約解除・終了(部屋の退去)の際には、原状回復する(借りた部屋を元通りに戻す)義務がありますが、改正前の民法では、使用貸借における規定を準用することのみを定めているだけで、具体的なルールを定めていませんでした(改正前民法616条)。

そのため、賃借人が負担すべき原状回復義務の程度は必ずしも明確とされていなかったといえ、実際にも原状回復費用の負担のあり方についてトラブルとなるケースも少なくなかったといえます。

本条は、そのような問題をふまえて、これまでの判例理論を明文化する形で、賃借人が負う原状回復義務の程度を明確に定めたものといえます。

賃借人が原状回復を負わない2つの場合

次の2つの場合には、賃借人は原状回復義務を負わないことになります。

  • 賃借物の損傷が「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗および賃借物の経年変化」によって生じた場合
  • 賃借物の損傷が「賃借人の責めに帰することができない事由」によって生じた場合

通常損耗の基準

これまで賃借人の原状回復義務については、通常損耗を回復する義務についてトラブルになるケースが少なくありませんでした。改正民法は、この点について「賃借人には原状回復義務(修繕費用を負担する義務)はない」ということを明文化した点では、今後のトラブル防止という観点で大きな意味があります。

とはいえ、建物の賃貸における原状回復義務について、今次改正前から国土交通省のガイドライン(下記リンク参照)が策定されているように、「通常損耗について賃借人は回復義務を負わない」という理解が一般的でした。その意味では、民法改正によって賃借人の負担が減ったというわけではないといえます。

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省ウェブサイト)

特約で対応する際の注意点

原状回復義務についての規定も任意規定ですので、特約によって別の定めをすることは可能です。

ただし、この場合も賃借人が一方的に不利になるような特約条項は、消費者契約法10条により法的には無効となる点に注意する必要があります。

敷金についてのルール

民法622条の2 (敷金) ※新設規定

賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

わが国の賃貸借では、賃借人が賃貸人に「敷金」を差し入れることが多いといえます。しかし、改正前の民法では、敷金の取り扱いについて具体的なルールが定められていなかったため、トラブルになることも少なくありませんでした。

敷金の法律上の定義

まず、本条では敷金の定義が明確にされました。この点については、「いかなる名目によるかを問わない」と明示されたことに注意しておく必要があるでしょう。保証金、建設協力金といった他の名目で賃借人から賃貸人に金銭が交付された場合であっても、その実質が「賃借人の債務の担保」であった場合には法律上は敷金として取り扱われることになるからです。

敷金に関する基本的ルール

本条では、賃借人が敷金の返金を請求できる時期などの基本的なルールについての定めも設けられています。その内容は下記のとおりです。

  • 敷金の返還は、物件の引き渡し後に請求可能
  • 賃貸人(家主)は、賃借人が債務を履行しないときには、一方的な意思表示によって敷金と相殺可能
  • 賃借人は、敷金をもって債務の弁済に充てることはできない

ただ、これらのルールは、これまでも判例法理によって実務的に通用してきたルールですから、本条によって新しいルールができたというわけではありません。

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賃貸借契約中に賃貸人が変わった場合のルール

民法605条の2 (不動産の賃貸人たる地位の移転)※新設規定

前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
2 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
3 第一項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
4 第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。

民法605条の3(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)※新設規定 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。

賃貸借契約は契約期間が長くなる場合も多く、契約の途中で賃貸人が別の人に替わる(賃貸人が賃貸物を他人に譲渡する)こともありえます。

特に、不動産の賃貸借では、セル&リースバックなどの手法が普及してきたことなどの事情もあり、不動産の賃貸借契約中に不動産が譲渡された場合の取り扱いなどについて規定を整備することになりました。

☆不動産が譲渡された場合の賃貸借関係~譲渡によって立ち退きを迫られうるか?

賃貸借の対象である不動産が譲渡されてしまった場合には、その譲渡(典型的には売買)によって、賃貸借契約が消滅するのかどうかといったことが、問題になりえます。

つまり、「賃貸人(家主)が替わったことにより、賃借人が立ち退きを迫られることがあるか」という問題です。

この点について、改正民法605条の3は、「対抗要件を備えた賃貸借があるとき」には、賃貸人の地位の移転によって、譲受人(買主)は、賃貸人としての地位も承継すると定めています。

つまり、賃借人が賃貸借契約の対抗要件を備えていれば、その後に賃貸物件が譲渡されたとしても、立ち退きを迫られることはないということです。

なお、賃借人が対抗要件を備える場合の典型例は、賃借権の登記をすることですが、借地借家法が適用される賃貸借契約の場合には、土地の賃貸借ではその土地に自らが建てた建物の登記、建物の賃貸借の場合には物件の引き渡し(占有)によって、対抗要件を備えるものとされています(借地借家法10条・31条)。

敷金返還義務などの承継

上記の場合には、物件の譲受人(買主)は、譲渡人(売主)の賃貸人としての地位をそのまま受け継ぐことになりますので、賃借人に対して負っている債務(修繕費用の償還義務・敷金の返還義務)も受け継ぐことになります(同条4項)。

なお、敷金の返還は、物件を賃貸人に引き渡したときに請求権が現在化されることになるので、賃借人は敷金を差し入れた相手ではなく、物件引き渡し時の賃貸人に請求することになります。

賃貸人の地位は賃借人の承諾なしに移転できる

民法605条の3では、賃借物の譲渡がなされた場合の賃貸人たる地位の移転は、譲渡人(売主)が賃貸人であった場合には、賃借人の承諾を得ずに行えることが新たに明文化されました。

この点は、一般原則(民法539条の2)の例外規定として位置づけられることになります(たとえば、いわゆる債権譲渡は債務者の承諾が必要です)。

このような例外が認められるのは、賃貸借契約には属人性が薄い(賃借人に対し目的物を使用できる権限を保障すれば債権者が誰であるかは大きな問題にならない)ことを挙げることができるといえます。

賃貸人たる地位を留保する合意

民法605条の2第2項は、不動産譲渡の当事者間で合意があるときには、譲渡後も賃貸人の地位を移転させない(所有権を買主に引き渡した売主がそのまま賃貸人の地位にとどまる)ことを認めています。

この規定は、いわゆるセル&リースバックがなされる場合に特に意義のある規定といえます。従前であれば、不動産の売却により賃貸人の地位も譲受人に移転し、賃貸人の地位を譲渡人に戻すためには、賃借人の承諾が必要と考える余地があったからです。

同項が定められたことにより、賃借人の承諾を得る手間が軽減されることは、賃貸不動産の流動化取引を促進させる大きな原動力になるといえるでしょう。

賃借人が抱えるリスクへの対応~賃貸人が賃借人に対抗するための要件

とはいえ、賃借人にとっては、自分の知らないところで、賃貸人が替わることで、「見ず知らずの人から賃料の請求を受ける」というリスクを抱えることになります。特に、賃借物の譲渡にトラブルが生じている場合には、双方から賃料の支払を求められて対応に困るということもあるかもしれません。

民法605条の2第3項は、このような場合をいわゆる「対抗問題」として処理することを定めています。つまり、賃借人としては、身に覚えのない者から債務の履行を求められたときには「登記を要求する」ことができる(所有権登記を備えている者に賃料を支払えば義務を果たしたことになる)というわけです。

特約の存在に注意

賃借物の譲渡についての民法の規定は任意規定と解されるので、これとは異なる特約を定めることが可能です。実際にも、物件の譲渡や賃貸人の地位の承継については、制限をかける特約が交わされているケースは少なくないと思われます。

したがって、企業が不動産を取得する場合や、不動産を取得している企業を買収する場合などには、必ず当該不動産について成立している契約の詳細について十分なチェックを行う必要があるといえるでしょう。

民法改正で賃貸借契約はどう変わったのか:まとめ

賃貸借契約についての改正点のほとんどは、これまでの判例法理・取引慣行を条文化したものといえます。

その意味では、民法改正によって新たな注意点が大幅に増えるというわけではないといえます。

とはいえ、民法改正後も解釈に委ねられている論点や、そもそも最高裁判例が存在しない(判例の見解が一致しない論点)が残されていないわけではありません。B to Bの賃貸借契約は、契約期間も長く、契約額もかなり巨額となるケースが多いだけに、これまでと同様に慎重な対応が必要であることは変わらないといえるでしょう。

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