リーガルテックとは?海外と日本のリーガルテック事情

リーガルテックとは

近年のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の潮流に伴い注目を集めている「リーガルテック」。

キーワードとしての知名度に反して「いったい何なのか」、「具体的にどういったサービスがあるのか」ということまで世間へ広まっているとはいいがたいのが実情です。

この記事では、「リーガルテックとは何か」「どのようなサービスがあるのか」を見ていきたいと思います。

まず、リーガルテックとは、法律(リーガル)と技術(テック)を組み合わせた言葉で情報通信技術を法律分野に導入することによって新しい価値を提供する製品・サービスのことを指します。

FinTech、EdTech、AgriTechなど、既存分野とテクノロジーを融合させる「XTech」の一種で、他のXTechと併せて情報技術の発展とコロナ禍によるデジタル化の要請が強まっていることを受けて急速に需要が高まっている要注目ワードです。

リーガルテック先進国アメリカの現状

リーガルテックの発祥はアメリカといわれており、現在でも日本と比べてはるかに大きな市場があると言われています。

  • 米国では訴訟の件数が多いほか、判例法主義が採用されており過去の裁判所の判断を元に判決が出されることから、訴訟にあたり過去の事例を調べる必要性が高いこと
  • 米国の裁判制度には「ディスカバリー」という証拠開示制度があり、当事者が裁判に関連する証拠を幅広く収集し、膨大な書証としてあらかじめ裁判所に提出する必要があること

などの理由から大量の情報に短時間でアクセスする需要が高く、早くからデジタル化が進展したと考えられています。

日本でのリーガルテック事情

日本でも近年リーガルテックが注目を集めていますが、訴訟補助技術の他にも様々な法律の分野でテクノロジーを用いたサービスがあります(もちろん、米国でも訴訟補助技術以外のジャンルが台頭しています)。

リーガルリサーチ

法律そのものや関連文献を収録し検索できるようにすることでアクセスを容易にするサービスです。

LegalSearch(無料)
リーガルテック株式会社が提供する法令・判例検索エンジンです。XMLベースの独自のデータ加工技術により、高速検索が可能となっています。なお、同名のポータル(ここです!)も併設しており法律関連ニュースの情報も手に入れられます。

TKCローライブラリー(有料)
株式会社TKCが提供する法令・判例・文献検索エンジンです。300,000件(執筆当時)を超える判例を検索することができるほか法律雑誌などを幅広く検索することができます。

LEGAL LIBRARY(有料)
株式会社Legal Technologyが運営する、法律専門書などを検索するサービスです。専門性の高い書籍から実務書までを収録し、それらが一括で全文検索可能となっています。

電子契約サービス

電子契約や契約書その他の書類の管理、AIレビューを行うサービスです。日常の契約締結や書類保管の義務を軽減します。コロナ禍で話題になったいわゆる「脱ハンコ」のサービスもここに分類されます。

CLOUDSIGN
弁護士ドットコム株式会社が提供する電子契約サービスです。契約書の電子締結・管理を行うことができ、外部サービスともAPI連携することで幅広い使い方が可能です。

Keiyaku.Ai
リーガルテック株式会社が提供する電子契約サービスです。安全性の高いブロックチェーン基盤のシステムを用いており、契約の作成・締結・保管までカバーするワンストップのサービスです。

DocuSign
DocuSign, Inc.が提供する契約書の電子締結サービスです。契約書の締結をオンラインで行える他SalesforceなどとAPI連携することで電子契約の保管・管理が行えます。

LegalForce
株式会社LegalForceが提供する契約書審査サービスです。契約書をAIがレビューし、危険性を判断する他契約書の編集や関連サービス「LegalForceキャビネ」による契約書管理などを行えるサービスです。

オンライン商標登録サービス

商標の登録申請をオンラインで行うことができるサービスです。公的機関の側でもマイナンバーカードを使ってコンビニで公的書類を発行できるようになるなど、デジタル化に伴う公的な施策も進められています。

Toreru
特許業務法人Toreruが運営するオンライン商標出願サービスです。オンライン上で簡単に商標出願が可能なプラットフォームのほか商標検索エンジンや、商標関連情報メディアも併設したソリューションとなっています。

Tokkyo.Ai/商標
Tokkyo.Ai株式会社が運営するオンライン商標出願サービスです。商標をはじめとする特許検索エンジンや知財情報ポータルを併設した総合プラットフォームです。

訴訟関係のリーガルテックサービス

訴訟に先立って法律問題を弁護士へ相談するプラットフォームや、訴訟を補助するサービスです。

AOS Fast Forensic
AOSデータ株式会社が提供するフォレンジック(裁判用データ復元)ツールです。USBをパソコンに差すだけでPCのデータ収集が可能で、電子データに基づく証拠収集の補助ができます。

弁護士ドットコム
弁護士ドットコム株式会社が運営する法律相談ポータルです。弁護士にオンライン上で法律相談が可能なポータルサイトです。

まとめ

訴訟や日常の法律業務、法律相談まで、法律が関与する事柄が多岐にわたる故にリーガルテックは幅広い分野で発達しています。今後、他のXTech分野と同様リーガルテックはさらにその発展を加速させていくでしょう。

今回紹介したサービスなどの発達・発展はもちろん、まだ見ぬ法務業務、法律事務の効率化ツール・サービスの出現も間近に迫っているかもしれません。

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