AIが著作者に?3分で分かるAIの著作権問題

AI(人工知能)という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか?

近年では映画やドラマ、アニメなどでAIが人間を手助けする存在として描かれたり、人間を支配しようとする脅威として描かれたりとさまざまな描かれ方をしているのを目にする機会も増えたのではないでしょうか。

どういう形であれ人間に対して大きな影響を与えるものであることは間違いありません。
この機会にAIがどういうもので、AIが物を作り出したときにどのような権利関係となるのかをおさえておくと今後生きていくうえで参考になるかもしれません。

AIとは

AIはArtificial Intelligenceの略で、これまで人間がやってきたような作業や判断をコンピュータなどの人工的なシステムを用いて行うことができるものをいいます。
AIについてはこれまで多くの研究がなされてきて、松尾 豊 氏(東京大学大学院工学系研究科科 准教授)は「人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術」と定義しています。

AIの著作物と法的保護

昨今、BRANDMARK( https://brandmark.io/ )など、AIがデザインを自動生成するサイトがあったりと、「AIがなにかを作る」ということは、容易に想像がつきます。
これまで人間がやってきたような創作をAIが行うというのは何も不思議な事ではありません。  
著作物の定義についてはこちら・・・「著作権とは」>

では、AIが創り出したデザインなどの著作物は誰が権利を持つのでしょうか。
一般的には、著作物はあくまでも人が思想や感情を創作的に表現したものをいうと理解されていますので、人の創作的な関与が必要になります。

この図のようなケースだと、ヒトに著作権が発生します。
著作権が発生すると、経済的利益を保護する「著作財産権」と著作者の人格的・精神的利益を保護する「著作者人格権」が発生します。具体的には以下の通りです。

「著作者財産権」

  • 複製権…著作物を複製する権利
  • 上演権及び演奏権…著作権法に公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として上演し、又は演奏する権利
  • 上映権…著作物を公に上映する権利
  • 公衆送信権等…著作物を公衆に送信する権利
  • 口述権…その言語の著作物を公に口述する権利
  • 展示権…著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利
  • 頒布権…映画の著作物をその複製物により頒布する権利
  • 譲渡権…著作物(映画の著作物を除く)をその原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利
  • 貸与権…著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物の貸与により公衆に提供する権利
  • 翻訳権、翻案権等…著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利

二次的著作物の利用に関する原著作者の権利…二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利

「著作者人格権」

  • 公表権…著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示する権利
  • 氏名表示権…著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は表示しないこととする権利
  • 同一性保持権…著作物及びその題号の同一性を保持する権利(意に反して変更、切除その他の改変を受けない権利)

しかし、ヒトからAIへの「創作に関する指示」には、具体的な指示などある程度の創作的な関与が必要になります。

したがって、AIに大量のデータを学習させ、クリック1つで自動的に新たな著作物(たとえば絵画など)を生成させるような仕組みなど、ヒトの創作的な関与がないとみられる場合においては、著作権法では保護されないことに注意が必要です。

※著作権法で保護されない場合においても、他の法律で保護される可能性はあります。

まとめ

今まで人間がやってきたような創作の一部をAIが行えるようになって数年が経ちますが、年々著作物のクオリティが向上してきています。

AIが著作物を生み出した場合に、誰にどのような権利が発生するかということをおさえておきましょう。

関連記事:「ブランディングに必須!ロゴ・デザイン作成と権利化に役立つサイト5選」(出典:Tokkyo.Ai)

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