法務担当としてキャリアをどう構築すべきか?

法務担当としてキャリアをどう構築すべきか

法務担当がキャリアを構築する手段は、大きく「マネジメント型」、「スペシャリスト型」、「知識応用型」の3種類に分けられます。どの方面を目指すかによって、求められるスキルやメリット、デメリットは異なります。

今回の記事では、3種類ある法務担当のキャリアについて解説します。

企業内で管理職を目指す(マネジメント型)

法務担当の間でもっとも一般的なキャリアは、現在勤めている会社内で管理職を目指すコースです。

具体的には、取引先との契約に関する折衝や考案を行うリーダークラスや、法務部門全体の管理や戦略法務(法務面から経営戦略に携わる業務)を担う部長クラスを目指すキャリアとなります。

マネジメント型に求められるスキル

法務部門のリーダーや部長は、法律面の実務だけでなく、取引先との折衝や部下のマネジメント、経営陣への助言といった幅広い業務を担います。

よって、企業内で法務担当としてのキャリアを構築するには、法律知識はもちろんのこと、コミュニケーション能力やマネジメント能力、状況判断力など、幅広いスキル・知識が不可欠です。

企業内で管理職を目指すメリット

最大のメリットは、弁護士や弁理士といった資格を持っていない場合でも、キャリアの向上を目指せる点です。法律に関する実績や知識がなくても、他のスキルや実績でカバーすれば、十分リーダーや部長クラスを目指せるでしょう。

また、外資系の法務部門などに転職すれば、1,000万円を超えるような高年収も期待できます。

企業内で管理職を目指すデメリット

あくまで企業内でのキャリア構築を目指すため、一部の外資系を除いて収入や地位を高めることに限界があります。また、従業員数が多い会社であるほど、競争倍率の高さから管理職に就くことが困難となります。

法律の専門家を目指す(スペシャリスト型)

法律の専門家を目指すスペシャリスト型も、法務担当の間では人気のキャリアです。具体的には、特許や商標といった知的財産権を専門とするキャリアや、契約書の作成・審査を専門にするキャリアなどがあります。

また、資格を取得して弁護士や司法書士として働き、独立して企業向けの法律コンサルタントになることも、スペシャリスト型のキャリアとなります。

スペシャリスト型に求められるスキル

マネジメント型と比べると、日々の業務で専門とする領域を中心に、ハイレベルな法律の専門知識が必要となります。また、外国法人との取引が多い企業の場合、英文の契約書を理解できるだけの英語力も求められます。

法律の専門家を目指すメリット

マネジメントや交渉といった、精神的な負荷が大きい業務をあまり行わなくても良い点が最大の魅力です。また、弁護士や司法書士、弁理士といった国家資格を取得することで、市場価値が大きく上昇する点もメリットです。

法律の専門家を目指すデメリット

専門知識の高さが重要である以上、弁護士などの国家資格を持っていないと、キャリア形成で不利となる傾向があります。また、無資格の状態でスペシャリスト型の法務担当として働いていると、転職の際に給与が大幅に減少したり、そもそも採用されなかったりするリスクが高いです。

いずれにせよ、専門性の高さ(≒国家資格の有無)によってキャリア構築の難易度が変わるので、無資格者は注意が必要です。

他職種での活躍や転職を目指す(知識応用型)

法務担当者が目指せる3つ目のキャリアは、他職種での活躍(転職)を目指すことです。

具体的には、内部監査やM&A、ベンチャーキャピタルといった、法律の知識が役に立つ職種での活躍を目指すことになります。

知識応用型に求められるスキル

他職種での活躍を目指す以上、その職種に関する専門知識は不可欠となります。たとえばM&Aの分野で活躍したいならば、法務デューデリジェンスや組織再編に関する知識などが必要です。

他職種での活躍を目指すメリット

職種や会社によって異なるものの、基本的には法律の知識を持つ人材として重宝される傾向があります。また、他の職種に関する専門的な知識や経験を習得できるため、市場価値の向上にもつながります。

加えて、M&Aアドバイザリーやベンチャーキャピタルなど、高年収の業界に転職を果たせる可能性もあります。

他職種での活躍を目指すデメリット

まったく新しい分野で働くため、かなり膨大な量の知識やスキルを習得する必要があります。特にM&Aや内部監査などの業界では、法律と同様に理解するのが難しい用語や概念が盛りだくさんなので注意を要します。

また転職先によっては、ほとんど法律の知識とは無関係の業務を任せられる恐れがあります。「法律知識を活かせると思って転職したのに、営業ばかりやらされる」などという事態になることもあるため、他職種への転向は慎重に検討しましょう。

法務担当としてキャリアをどう構築すべきか?:まとめ

法務担当がキャリアを構築する方向性は、下記の3つに分類できます。

  • マネジメント型:企業内での昇進を目指す
  • スペシャリスト型:法律の専門家を目指す(場合によっては独立や資格取得も検討)
  • 知識応用型:他の職種で法律の知識を役立てる

今回お伝えしたとおり、どのキャリアを目指すかによって、必要となるスキルや知識は変わってきます。

法務担当の方は、目指すキャリアに応じて戦略的にスキルや知識を習得しましょう。

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