【会社を休眠させる】廃業する前に検討したい、第三の選択肢について

廃業する前に検討したい、第三の選択肢について

会社を廃業しようか検討中の場合、休眠させるという方法もあります。休眠をすれば会社を消滅させずに事業活動を止めることが可能です。この記事では、会社を休眠させるメリットデメリットを解説した上で、会社休眠の方法と知っておくべき豆知識を紹介します。

会社を休眠させるのは廃業とどう違う?

会社の廃業とは、法務局で解散登記を行い、会社清算の手続きが必要となります。この手続きを行うと、会社は消滅するため、「廃業=会社消滅」となります。 一方、会社の休眠は、文字通りお休みさせることを指します。事業活動を停止してお休みさせるのです。「休眠=会社は消滅しない」となりますので、会社は存続することになります。「休業」も休眠と同義語です。

みなし解散は解散登記不要

ただし、休眠した会社を放置しておくと、解散したものとみなされる可能性があります。株式会社は、登記最終日から12年を経過した場合には休眠会社となります(会社法472条)。

そして、休眠会社は法務大臣が官報公告後2カ月以内に、事業を廃止していない旨の届け出をしないと、解散したものとみなされます。 つまり、休業届を出さなくても、12年間放置すると休眠会社となり、事業を廃止していないという届け出がなければ、みなし解散となります。

会社休眠のメリットデメリットとは?

会社を休眠させる場合、あらかじめメリットとデメリットのそれぞれを想定しておきましょう。手続きしてから後悔しないために、メリット・デメリットのバランスを踏まえた上で決定する必要があります。それぞれの内容を具体的に解説いたします。

会社休眠のメリット

廃業する場合には、司法書士などの専門家に依頼することが一般的で、解散登記費用や清算手続き費用など、10万円~20万円程度の費用がかかります。

しかし、休眠の場合には、税務署と市区町村に休業届を出すだけで、特に費用はかかりません。手続きはシンプルですので、手間もかかりません。 また、行っていない事業を放置している場合には、法人住民税が均等割りにてかかりますが、休眠する場合は免除・減免されます(自治体による)。廃業や放置するよりも、休眠したほうが余計な費用を抑えることが可能です。

会社休眠のデメリット

役員の任期が満了した場合は、休眠中であっても変更登記が必要となります。役員変更登記をしなかった場合は、代表者に100万円以下の過料が発生する可能性があります。会社を休眠していると忘れがちとなりますので、しっかりと管理しておきましょう。

会社休眠の方法と知っておくべき豆知識

会社を休眠するには、具体的にどのような方法を取るのでしょうか?ここでは休眠手続きの流れを紹介した上で、必要な費用についても触れたいと思います。

休眠手続きの流れ

会社の休眠は、「事業停止」「異動届出書の提出(税務署)」「休業届を提出(都道府県市町村)」という手順を踏みます。まず、事業停止とは、会社の一切の事業を停止する必要があります。事業活動自体がないことが休眠の大前提となります。
次に、税務署に異動届出書を提出します。異動届出書は税務署でもらうか、国税庁の公式サイトからダウンロード可能です。
その後、休業届を提出します。休業届は都道府県税事務所や市区町村役場に提出します。ここまでを行えば、登記簿上だけ存在している会社となります。 事業を再開したい場合には、休業届を出した税務署や市区町村に再開届を行いましょう。

休眠に必要な費用

休眠にかかる費用は特にかかりません。税務署、都道府県税事務所、市区町村役場に書面を提出するだけですので、自分で行えば余分な費用負担がないのです。

もしも、役員変更届や税務申告を含め、行政書士や司法書士、税理士などの専門家に依頼する場合には、それ相応の費用がかかります。
具体的な費用はどこまで専門家に依頼するかや、各事務所、サービス内容によって異なります。無料相談に応じてくれるところがほとんどですので、専門家に依頼する場合は一度相談してみましょう。

確定申告は必要

休眠しても、確定申告は必要です。所得がなければ法人税はかかりませんが、2年連続して申告しなければ、青色申告の承認が取り消されます。休眠中に無申告の年度があると、欠損金の繰越しの適用が受けられませんので、確定申告に留意が必要です。

廃業する前に検討したい、第三の選択肢について:まとめ

会社の廃業を検討している場合には、一旦休眠を検討してみましょう。休眠をする場合は廃業よりも費用や手間が抑えられるほか、事業の再開も可能です。そのため、無理に廃業する必要はありません。
ただし、役員変更登記や確定申告を忘れないよう注意が必要です。手続きは書類を提出するだけですので、特に迷うことはないでしょう。

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