法人登記とは何か? 会社設立のための登記手順を解説

会社設立の手順

法人登記は、会社を設立するうえで欠かせない手続きです。法人登記をすることで、会社は初めて社会的に認知されることになります。この記事では、法人登記とは何かということを明らかにしたうえで、会社設立のための登記の手順や必要書類について解説をしていきます。

法人登記とは何か

法人登記とは、会社名や本社所在地、代表者の氏名、事業の目的などの会社に関する基本的な事柄を法務局に登録したものです。ここでは、法人登記がどのようなものなのか、概要を押さえておきましょう。

法人登記によって会社は認知される

法人登記は、設立した会社の概要を一般に公表することで、会社の社会的信用を保つとともに、安心して取引ができることを目的にしています。

実務面においても、法人登記をすることで、契約などで必要になる会社名義の印鑑証明書を交付してもらえます。また、法人登記後に取得できる登記事項証明書は、会社名義の銀行口座開設を始めとする、様々な手続きに活用できます。

法人登記する主な事項

法人登記には、主に次の事項を登記します。

  1. 商号(会社名)
  2. 本社住所
  3. 公告の方法
  4. 目的
  5. 発行可能株式総数
  6. 発行済株式の総数
  7. 資本金の額
  8. 株式の譲渡制限に関する規定
  9. 役員に関する事項……取締役の氏名、代表取締役の住所・氏名、監査役の氏名
  10. 取締役会の設置、監査役の設置

法人登記申請までの流れ

法人登記は、法人登記申請によって行います。申請に際しては、いくつかの決定すべき事柄があり、そのうえで周到な準備が必要になります。ここでは、法人登記申請に至るまでに、何を決定して、どのような準備をすればいいのか、その流れを解説していきましょう。

会社の形態を決定する

最初に決めるのは、会社の形態です。会社法で定められている会社の形態は、次の4種類です。

  • 株式会社
  • 合同会社
  • 合資会社
  • 合名会社

一般的に広く知られているのは、株式会社ですが、近年は、2006年から設立が認められている合同会社も増えています。

合資会社や合名会社は、出資者が債権者に対して無限の責任を負うことになるため、ほとんど新規の設立はありません。

したがって、会社の形態の選択肢は、事実上、株式会社か合同会社ということになります。

会社の名称(商号)を決める

会社の名称(商号)は、人でいえば顔に該当するものですから、将来の戦略を見据えたうえで慎重に検討しなければいけません。

商号は、自由につけることができますが、次の基本ルールを守る必要があります。

同一の住所で同一の名称は使えない

まったく同じ住所地に同一の会社名を登記することはできません。したがって、同じテナントビル内に同一の会社名は登記できないことになります。

「株式会社」を名称にいれる

株式会社で登記をする場合は、商号の前か後ろに必ず「株式会社」を含めます。「Co.Ltd.」

「K.K.」のような英語表記はできません。

控除良俗に反する名称は認められません

反社会的なものやわいせつな名称は用いることができません。

使用できない文字がある

会社名として使用できるのは、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字です。記号は、一部の限られたものしか使用できません。

使用できない記号としては、?、!、@などがあります。またⅠ、Ⅱ、Ⅲといったローマ数字も用いることはできません。

会社の概要を決める

商号の他に、次の事項を決定する必要があります。

  • 本社所在地
  • 発起人
  • 取締役
  • 取締役と監査役の有無
  • 事業目的
  • 資本金
  • 事業年度

本社の所在地によって、管轄の法務局が決まりますから、本社をどこに置くかは、早い段階で決めておく必要があります。

定款を作成する

定款は、会社の基本的ルールを定めた規則集です。後の紛争を防ぐために、法律上有効な文面構成が求められます。このため、定款は、最終的に公証人の認証を受ける必要があります。

定款に記載する事項は、大きく次の3種類に分類することができます。

  1. 絶対的記載事項……記載していないと無効になる
  2. 総体的記載事項……決めたら記載する必要がある
  3. 任意的記載事項……記載するかしないかは自由である

絶対的記載事項とは

絶対的記載事項には5つの項目があります。これらの事項が欠けていると、公証人から認証を受けることができません。

  1. 目的……どのような事業を行うのかを明らかにする
  2. 商号……会社の名称
  3. 本店の所在地……市区町村までの記載で可
  4. 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額……会社の資本金となる出資額
  5. 発起人の氏名または名称およびその住所……出資者の住所氏名

定款作成を専門家に依頼するには

定款は、発起人自ら作成することもできますが、公証人の認証を受けるためには、一定の法律知識が必要になります。

自力での作成が困難だと判断した場合は、司法書士または行政書士に作成代行を依頼することで解決できます。

定款の認証を受ける

定款は、会社の本店の所在地を管轄する公証役場の公証人に認証してもらいます。

認証に際しては、公証役場に出向く前に、担当の公証人にメールかFAXで定款の文案をチェックしてもらいます。数日後、公証人からチェック完了の連絡が入り、修正箇所があれば合わせて指示があります。

修正が完了した定款は、発起人または代理人が直接公証役場に持参します。郵送での受付は行われていません。提出する書類は次のとおりです。

  • 定款……3通
  • 発起人全員の印鑑証明書……各1通
  • 収入印紙……4万円
  • 認証費用……約5万2千円
  • 発起人の実印

代理人に手続きを行ってもらう場合は、委任状の他、代理人の認印、代理人の本人確認書類が必要になります。

資本金を入金する

定款の認証が終了したら、発起人の代表者の個人口座に会社の資本金を入金します。定款の認証後に入金することが重要ですので、入金日あるいは振込日には十分注意をしましょう。

資本金の払い込み証明書を作成する

入金した後は、銀行通帳の表紙、表紙の次の裏表紙、出資金の入金が記載されたページをコピーし、これらをまとめた「払い込み証明書」を作成します。

払い込み証明書には、会社の実印を押します。

会社実印を事前に作成する

払い込み証明書に会社実印を押しますが、その後登記手続きの段階でも会社実印は必要になります。

このため、定款の文案を作成している段階で、並行して会社実印を発注した方がいいでしょう。会社を経営していくうえで、銀行印と角印も必要になってきます。印鑑を発注する際には、「会社実印」「銀行員」「角印」をセットで揃えましょう。

法人登記申請に必要な書類

法人登記に必要な準備が整えば、いよいよ法人登記申請を行います。ここでは、法人登記に必要な書類について解説をします。

なお、登記申請は発起人自らが行うことができますが、手続きが煩雑だと判断した場合は、司法書士に申請代理を依頼することで手続きを進めることができます。

登記申請必要書類一覧

法人登記申請には、次の書類が必要です。

書類名署名者 使用する印鑑
登記申請書    
CD-ROM等の電子記録媒体    
定款発起人 個人実印
発起人の決定書発起人 個人印(できれば実印)
取締役の就任承諾書取締役 個人印(できれば実印)
代表取締役の就任承諾書代表取締役 個人実印
監査役の就任承諾書監査役 個人印(できれば実印)
代表取締役の印鑑証明書、その他の役員の本人確認証明書    
払い込みを証する証明書代表取締役 会社実印
取締役などの調査報告書取締役、監査役 個人印(できれば実印)
資本金の額の計上に関する証明書代表取締役 会社実印
印鑑証明書代表取締役 会社実印、個人実印
印鑑カード交付申請書代表取締役 会社実印

登記申請書

登記申請書は、法務局の「商業・法人登記の申請書様式」ページからダウンロードすることができます。

CD-ROM等の電子記録媒体

「登記すべき事項」は、申請で記載されたものが、そのまま登記されます。たとえば、「登記すべき事項」を登記申請書に書き込むと、法務局で一から入力することになるので、時間と手間を要します。また入力ミスのリスクも否定できません。このため「登記すべき事項」のデータを入力したCD-Rなどの電子記録媒体を提出することで、迅速に登記を進めることが可能になります。

定款

公証人から認証を受けた定款の謄本を添付します。

登録免許税納付用台紙

登録免許税納付用台紙に、登録免許税分の収入印紙を貼り付けます。株式会社の登録免許税は「資本金額×0.7%」ですが、算出された金額が15万円に満たないときは、15万円になります。

収入印紙は郵便局などで購入し、登録免許税納付用台紙に貼り付けて提出します。

発起人決定書(発起人議事録)

発起人決定書は、会社の発起人が商号や目的、本店の場所などを詳細に決定したことを記載した議事録です。

定款に記載した本店所在地が、市区町村までである場合、番地までを含む詳細な住所を、この決定書で示します。また、定款で「代表取締役を株主総会で選定する」と記載しているのであれば、この発起人決定書に代表取締役の氏名を記載します。

代表取締役の就任承諾書

代表取締役の就任承諾書は、代表取締役に就任することを承諾したことを証明する書類です。取締役が1名だけであれば、必要ありません。

取締役の就任承諾書

取締役の就任承諾書は、取締役への就任を承諾したことを証明する書類です。

監査役の就任承諾書

監査役の就任承諾書は、監査役への就任を承諾したことを証明する書類です。監査役を設置しない場合は不要です。

取締役などの調査報告書

現物の出資がある場合は、設立時の取締役などの調査報告書を提出します。

資本金の額の計上に関する証明書

金銭出資のみであれば、この書類は不要です。

印鑑届出書

印鑑届出書は、会社の実印登録をするための書類です。

印鑑カード交付申請書

会社の印鑑証明書を取得するためには、印鑑カードが必要になります。この印鑑カードを交付してもらうために必要なのが、印鑑カード交付申請書です。

会社設立のための登記手順を解説:まとめ

法人登記に際しては、多くの書類をそろえる必要がありますが、特にハードルが高いのが定款の作成です。

定款には、事業の目的、商号、本社の所在地など、会社を経営していくにあたっても基本的な事項を盛り込まなくてはいけません。そのうえで公証人の認証を受けるという流れになりますから、法律的に齟齬(そご)のないものを作成する必要があります。

また資本金をいくらにするのかということも、定款を作成する段階で決定する必要があります。会社法の改正によって、近年は、1円の資本金でも認められるようになりました。しかし、資本金は会社の信用にもかかわる事柄ですから、資本金の決定は、慎重かつ広範な判断が必要になります。

法人登記申請が煩雑だと判断した場合は、司法書士に依頼することで、手続きをスムーズに進めることができます。

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