会社設立時に必要な書類を一気に紹介!

会社設立時に必要な書類

会社を設立するためには、会社登記が必要です。手続きは、司法書士等の専門家に依頼するという方法もありますが、要領を掴めば会社登記申請は、けっして自分でできないわけではありません。この記事では、会社設立を考えている人のために、会社登記に必要な書類を紹介します。

定款の認証で必要な書類

会社登記(法人登記)申請の際には、公証人から認証された定款の添付が求められます。つまり、会社登記申請に先立って、定款の認証を受ける必要があるのです。ここでは、まず定款の認証で必要な書類から解説をしていきましょう。

定款の認証手続きの流れ

定款の認証は次の流れで進めていきます。

  1. 認証をしてもらう公証人役場を確認……会社の本店の所在地を管轄する法務局に所属する公証人に認証してもらいます。公証人がいる公証役場は複数ありますが、管轄内であれば、どこを利用しても構いません。
  2. 定款(案)の事前チェックを受ける……公証役場に電話を入れて、担当となる公証人に定款(案)の事前チェックをお願いした後に、FAXかメールで送付します。
  3. 公証役場で認証手続き……公証人のチェック完了後、発起人が公証役場に出向きます。代理人による申請も可能です。

定款認証で必要となる書類等

定款の認証で必要になる書類は次のとおりです。

  • 定款 3通
  • 発起人の印鑑証明書 各1通
  • 発起人の実印
  • 発起人の印鑑証明書……発行後3カ月以内
  • 本人確認書類……運転免許証、マイナンバーカード等
  • 収入印紙 4万円
  • 認証費用等 約5万2千円……定款の認証費用は5万円です。この他、謄本の費用がありますが、定款の枚数によって異なります。これらの費用は現金で支払います。

電子定款の認証

定款は、上述のように書面で作成したものを認証してもらう他に、電子定款を認証してもらう方法があります。

電子定款は、紙で作成しないので、4万円の印紙税が適用されません。一方で、カードリーダーやPDF変換ソフトを準備する必要があり、さらに電子証明書を取得する手間を要します。

これらの機器やソフトを所有していない場合は、電子定款の認証手続きを司法書士や行政書士に依頼する方法もあります。印紙代の4万円が節約できるので、実質的に割安で専門家の手により認証手続きが行えます。

定款認証は、会社登記申請よりも専門知識を要します。定款作成を手掛けて困難だと感じたら、定款認証のみ専門家に依頼して、会社登記申請は自ら行うという方法も選択できます。

登記で必要な書類

会社登記は、管轄の法務局に申請します。登記申請に際しては、どのような書類が必要になるのか紹介していきましょう。

登記で必要な書類一覧

会社登記に際しては、次の書類が必要です。

書類名
署名捺印者
印鑑の種類
登記申請書 代表取締役 会社実印
登録免許税納付用台紙    
CD-R等の媒体    
定款 発起人 個人実印
発起人の決定書 発起人 個人印(できれば実印)
取締役の就任承諾書 取締役 個人印(できれば実印)
代表取締役の就任承諾書 代表取締役 個人実印
監査役の就任承諾書 監査役 個人印(できれば実印)
代表取締役の印鑑証明書    
代表取締役以外の本人確認証明書    
払込を証する証明書 代表取締役 会社実印
取締役などの調査報告書 取締役、監査役 個人印(できれば実印)
資本金の額の計上に関する証明書 代表取締役 会社実印
印鑑届出書 代表取締役 会社実印、個人実印
印鑑カード交付申請書 代表取締役 会社実印

各種様式は、法務局のホームページからダウンロードすることができます。

法務局/商業・法人登記の申請書様式

登記申請の段階で、印鑑登録をする会社実印が必要になりますから、早い段階で会社名を決定して、印鑑の作成を進めておきましょう。

登記申請書

「商号」は、「(株)」と省略せず「〇〇株式会社」と記載します。

「登記の事由」には、「令和〇年〇月〇日発起設立の手続終了」と記載します。

「登記すべき事項」は、各項目を記載したデータが、そのまま登記されます。CD-Rに書き込む場合は「別紙CD-Rのとおり」とします。あるいは、オンラインにより提出する場合は、「別紙のとおりのオンラインにより提出済み」と記載します。

登録免許税納付用台紙

登録免許税分の収入印紙を貼り付けます。

登録免許税は資本金額の0.7%です。ただし15万円に満たない場合は、15万円です。したがって、資本金が2,100万円以下であれば15万円になります。100円未満の端数は切り捨てます。

CD-R等の媒体

登記申請処理の「登記すべき事項」を入力したデータを記録して提出します。法務局の入力手間を削減するためのもので、データがそのまま登記されます。オンラインで提出する場合は不要です。

発起人の決定書

定款を作成した段階で、会社の所在地を行政区までしか記載していなかった場合に、発起人の過半数で決定した所在地を地番まで記載します。

また公告の方法を電子媒体にしている場合には、サイトのURLを決める必要があるため、発起人の決定書に記載します。

就任承諾書

発起人が、会社設立時に役員を選任しますが、就任を承諾した「取締役」「代表取締役」「監査役」は、それぞれ「就任承諾書」を作成します。

取締役が1名の会社は、自ずとその人が代表取締役になるので、「代表取締役の承諾書」は不要です。 取締役会を置いていない会社は、「取締役の就任承諾書」に取締役個人の実印を押します。

取締役を置いている会社は、「代表取締役の就任承諾書」に代表取締役個人の実印を押します。それ以外の役員の就任承諾書は、認印でも差支えはありません。

代表取締役以外の本人確認証明書

代表取締役以外の役員で印鑑証明書を提出しないときは、次のような本人確認証明書の提出が必要になります。

  • 住民票記載事項証明書(住民票の写し)または戸籍の附票
  • マイナンバーカードのコピー……表面のみ
  • 運転免許証のコピー……表面と裏面

マイナンバーカードや運転免許証のコピーを用いる場合は、「原本と相違ない」と記載して署名捺印をします。

払込を証する証明書

発起人から資本金の払込があったことを証明する書類です。発起人代表者の口座に払込があった金額を代表取締役が証明します。使用する印鑑は会社の実印です。

この書類に発起人代表者の通帳のコピーを添付します。資本金の払込は、定款認証後でなければ無効となります。

取締役などの調査報告書

現物出資がある場合は、「取締役などの調査報告書」を作成します。現物の価額が500万円を超える場合は、弁護士や税理士などの専門家の証明書が必要になります。たとえば土地であれば、不動産鑑定士の鑑定評価が必要になります。 出資金が現金のみで現物出資がない場合は、本書類は作成不要です。

資本金の額の計上に関する証明書

現物出資した場合に、資本金の額が会社法及び会社計算規則にしたがって計上されたことを代表取締役が証明する書類です。

現金出資のみであれば、本書類は作成不要です。

印鑑届出書

会社の実印登録に関する書類です。

印鑑カード交付申請書

印鑑カードは、印鑑証明書を取得する際に必要なものです。この申請書は印鑑カードの交付を受けるための書類です。

会社登記の申請方法

会社登記申請をするのは、会社の本店所在地を管轄する法務局です。申請は、必ずしも直接窓口まで行く必要はありません。郵送またはオンラインによる申請も可能です。それぞれどのように申請をするのか紹介していきましょう。

法務局に直接申請

管轄法務局の窓口に直接出向いて、会社登記申請書を提出する方法です。この日が会社設立日となりますから、日付にこだわる場合は、申請する日を調整しましょう。内容に不備がなければ申請から1週間程度で登記が完了します。

法務局側からは、書類に不備があった場合のみ連絡があります。登記の完了はインターネットで確認することができます。

郵送で申請

会社登記申請書類一式を管轄法務局あてに郵送する方法でも受け付けてもらえます。郵送方法は自由ですが、配達した記録が残る簡易書留や特定記録を利用した方が安心です。

郵送の場合、書類が法務局に到着した日が会社設立日となります。設立日にこだわりがある場合は、配達日指定の郵便を利用した方がいいでしょう。

オンラインで申請

法務局の登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」から、オンラインで登記申請をすることができます。

この申請方法は、専用ソフトをダウンロードし、それを使って申請する必要があります。また、オンライン登記には申請人による電子署名が必要ですから、電子証明書を取得しておく必要があります。

まとめ

会社登記は、まず公証人による定款の認証を経てから、登記申請をする流れになります。

定款の認証は、事前に公証人によるチェックを受けることができますから、定款(案)を作成した段階で、公証人に相談をしましょう。

定款の認証を受けた後に、発起人の代表の個人口座に資本金の払込をします。「払込を証する証明書」に添付するので、払込後の通帳のコピーを用意します。

登記申請は、管轄の法務局の窓口に持参する他に、郵送でも受け付けてもらえます。あるいは申請人の電子証明が取得できるのであれば、オンラインによる申請も可能です。必要な事項をもれなく記載して、不備の指摘を受けなければ、約1週間で登記が完了します。

より専門的な知識を要するのは、定款の作成です。作成が困難だと感じた場合は専門家に依頼して、登記申請のみ自ら行うという方法も選択肢のひとつです。

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