粉飾決算による罰則の事例5選!

粉飾決算

粉飾決算とは、不正な会計処理を行うことで、自社の業績を実態とは異なるものにする行為を意味します。粉飾決算は基本的に違法となりますが、具体的に行った行為や状況によって下される罰則は異なります。

そこで今回は、粉飾決算による罰則の事例を厳選して5つご紹介します。

有価証券報告書の虚偽記載

有価証券報告書の虚偽記載とは

「有価証券報告書の虚偽記載」とは、外部の利害関係者(株主など)に対して自社の経営状態について開示する書類(有価証券報告書)の項目について、事実とは異なる内容を記載することを意味します。

大半の粉飾決算の事例では、この虚偽記載により刑事罰が問われます。例えば堀江貴文氏が経営していたライブドアや、カルロス・ゴーン氏が大きな話題となった日産などの粉飾決算では、虚偽記載により罰則を受けています。

罰則の具体的な内容

有価証券報告書の虚偽記載については、金融商品取引法の第197条に具体的な罰則が規程されています。

金融商品取引法の第197条では、「有価証券報告書もしくはその訂正報告書であって、重要な事項につき虚偽の記載のあるものを提出した場合」に、「10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金を科す」と定めています。

参考:金融商品取引法 第197条 e-Gov

詐欺

粉飾決算による詐欺とは

粉飾決算を行うと、詐欺罪に問われる場合もあります。詐欺とは、人を騙して財産を交付させたり、不法に利益を得たりする行為を意味します。

粉飾決算に基づいて作成された決算書類を用いて、銀行などの金融機関から資金を調達した場合に詐欺罪に問われます。例えば、成人式の振袖レンタルで話題となった「はれのひ」の経営者が、粉飾決算により不正に融資を受けたとして詐欺罪で逮捕されました。

参考:「はれのひ」元社長を逮捕 粉飾決算で融資詐欺容疑 成人式晴れ着トラブル 産経新聞

罰則の具体的な内容

詐欺罪の罰則内容に関しては、刑法の第246条に規定されています。具体的には、粉飾決算により詐欺を行うと10年以下の懲役刑が科されます。

参考:刑法 第246条 e-Gov

違法配当

違法配当とは

粉飾決算により、本当ならば実施できない配当(蛸配当)を実施した場合には、会社法第963条で禁止している違法配当に該当し、罰則を受ける可能性があります。

違法配当に対する罰則は、オリンパスや三洋電機などの粉飾決算で問われたことで有名です。

罰則の具体的な内容

違法配当に対する罰則については、会社法第963条にて具体的に規定されています。粉飾決算により違法配当を行った場合、会社法の規定によって5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金が科される決まりとなっているので注意です。

参考:会社法第963条 e-Gov

特別背任

事例の概要

特別背任罪とは、会社法の第960条に規程された罰則です。具体的には、自己または第三者の利益を図り、または株式会社に損害を加える目的で、取締役がその任務に背く行為を実行し、当該株式会社に財産上の損害を加えることを特別背任といいます。

つい最近では、日産のカルロス・ゴーン氏が逮捕されたことで有名となった特別背任ですが、粉飾決算により株式会社に損害を与えた場合も特別背任罪に問われる可能性があります。

罰則の具体的な内容

特別背任罪に関する罰則は、会社法第960条に記載されています。その内容に基づくと、粉飾決算により特別背任罪が認められた場合、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金刑が科せられます。

参考:会社法第960条 e-Gov

民事責任による損害賠償

ここまでは刑事責任に基づく罰則をご紹介しましたが、粉飾決算を行うと民事責任による損害賠償責任を負う可能性もあります。具体的には、下記のケースに該当する場合は民事責任を負わなくてはいけません。

  • 粉飾決算により有価証券報告書に虚偽の記載を行い、その旨を知らないで有価証券を取得した者に損害を与えた場合
  • 粉飾決算により決算書類に虚偽の記載を行ったことで、第三者に損害を与えた場合
  • 粉飾決算の影響で株価が下落したことで、株主に影響を与えた場合

民事責任が問われて大きな話題となったのが「東芝の不正会計」です。不正会計によって損害を受けた株主は、損害賠償の請求を求めて「東芝事件株主弁護団」を結成し、民事責任を同社に求めています。

参考:東芝を脅かす巨額損害賠償請求 株主は確実に勝てる?認められない可能性も? Business Journal

粉飾決算による罰則の事例5選:まとめ

会社法や金融商品取引法など、粉飾決算を行うとあらゆる法律により罰則が科されます。また刑事責任とは別に、民事責任により損害賠償を請求される可能性もあります。

実際に多くの企業が、粉飾決算により多額の賠償金を科されたり、取締役が懲役刑などの罰則を科されたりしています。中には堀江氏のように、実刑判決という重いペナルティを受けるリスクも考えられます。粉飾決算の罰則は非常に重いため、日頃から粉飾決算を行わないように細心の注意を払う必要があるでしょう。

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