違いを解説!「優良誤認」「有利誤認」とは?
- 2022/6/15
- 法令コラム
最近は、一般の方でもフリマアプリやネットショップの運営で簡単に商品の売買をすることができるようになっています。商品を売るためにはその商品がどれだけ良いものかを説明・宣伝するでしょう。しかし、その際に気を付けなければいけないことがあります。
不当景品類及び不当表示防止法、いわゆる景品表示法によって消費者を害するような宣伝や商品説明を書くことは禁じられているのです。
優良誤認とは
「優良誤認」とは、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引について、その品質、規格その他の内容を一般消費者に対し、1.実際のものよりも著しく優良であると示すもの、又は、2.事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すものであって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示のことで、不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法と省略します)第5条1号により禁止されています(優良誤認表示の禁止)。
つまり、優良誤認を簡単に言うと『実際にはそうでないにも関わらず「これは質のいい商品だ」と消費者に思わせること』です。
では、具体的に何をどんな風に表記してはいけないのでしょうか?
牛肉のブランド
実際にはブランドではない肉を「国産有名ブランド牛の肉」と表示する
中古自動車の走行距離
実際に走行した距離よりも、少ない走行距離で表示する
LED電球の明るさ
実際には日本工業規格に定められた明るさに足りていないのに、
「白熱電球・ワット相当」の明るさであるかのように表示する
有利誤認とは
「有利誤認」とは、事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引について、価格、その他の取引条件を一般消費者に対し、
1.実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
2.競争事業者に係るものよりも、取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるものであって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示のこと
で、景品表示法第5条2号により禁止されています(有利誤認表示の禁止)。
つまり、有利誤認を簡単に言うと『実際にはそうでないにも関わらず「これはお得な商品だ」と消費者に思わせること』です。
では、具体的に何をどんな風に表記してはいけないのでしょうか?
携帯電話の料金
実際には、自社に不利となる他社の割引サービスを除外した料金比較でありながら、あたかも「自社が最も安い」かのように表示する
商品の内容量
実際には、他社と同程度の内容量しかないにもかかわらず、あたかも「他社商品の2倍の内容量」であるかのように表示する
家電量販店の販売価格
競合店の平均価格から値引きすると表示しながら、その平均価格を実際の平均価格よりも高い価格に設定し、そこから値引きしていた
キャンペーン
常にキャンペーンをしているのに、今だけ30%オフなどといって今だけお得なようにみせる
優良誤認と有利誤認の違い
優良誤認 ⇒ その品質、規格その他の内容について
有利誤認 ⇒ 価格その他の取引条件について
との違いがあります。
つまり、優良誤認は購入する商品・サービス自体に対するものであるのに対して、有利誤認は、その商品・サービスを手に入れるまでのプロセス部分の誤認です。
不作為 ー「忘れていた」に注意!
(忘れていた)消費者にとっては都合がいいのですが、会社の立場としては怖いのは、
不作為(何もしていなかったこと)によって、これに該当してしまう可能性があるということです。例えば、キャンペーン用のWebページを作って、その記載を消さずに放置していた、つまり忘れていたという場合でも、これに該当してしまうということです。
具体的には、「キャンペーン」「30%OFF」「閉店セール」「開店セール」等を忘れていて、
放置していても該当してしまうということです。
違反による処分等
景品表示法違反がある場合は、公正取引委員会、消費者庁、都道府県知事から調査が入ります。その際に、そのような表示が違反でないことを示す必要があります。
逆に言うと、一見、優良誤認に見えるものであっても、根拠があり、不当表示でないと証拠を示せれば問題ないということになります。
もしそれができないと、措置命令が出ます(景品表示法第7条1項)。場合によっては、課徴金の納付まで義務づけられます(景品表示法第8条1項)。また、措置命令に違反すると2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます。
品質については、商品を購入する消費者がとくに重要視する部分です。
また、セールやキャンペーンという広告も消費者にとっては関心の高いものですから、自ら商品を売る側は気を付けなければいけないことがたくさんあります。
商品をより高い値段で売ろうとして虚偽の表示をしてしまうと懲役や罰金に処せられてしまうこともあるので、虚偽記載とならないよう、適切な表示を心がけましょう。