厚生年金や健康保険の金額はどうやって決まるの?

厚生年金や健康保険の金額

今回の記事では、厚生年金や健康保険の金額がどのように決まるかをご説明します。

厚生年金や健康保険の金額を求める計算式

厚生年金や健康保険の保険料は、毎月の給料と賞与のそれぞれに発生します。

給与における厚生年金・健康保険の計算式

毎月の給与に関しては、標準報酬月額に厚生年金と健康保険それぞれの保険料率をかけることで、支払う金額を求めます。

保険料額 = 標準報酬月額 × 保険料率

標準報酬月額と保険料率は、全国保険健康協会が公表している「保険料額表」に掲載されています。厚生年金の保険料率は、全国一律で18.300%です。一方で健康保険料の保険料率は、都道府県によって異なります(大体10%前後)。

賞与における厚生年金・健康保険の計算式

一方で賞与については、標準賞与額に厚生年金と健康保険それぞれの保険料率をかけることで、支払う金額を求めます。

保険料額 = 標準賞与額 × 保険料率

標準賞与額とは、税引き前の賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた金額です。標準賞与額を決める基準となる賞与には、賃金や賞与などの名称に関係なく、労働の対価として受け取るもののうち、年3回以下しか支給されないものが該当します。

標準賞与額には、厚生年金と健康保険それぞれについて、以下のように金額に上限が設けられています。

  • 厚生年金:支給1回あたり150万円
  • 健康保険:年間累計で573万円

なお実際に保険料を計算する際には、前述した保険料額表を使います。

「標準報酬月額」と「保険料」の具体的な求め方

毎月の給与の中から支払う厚生年金や健康保険の保険料は、標準報酬月額に基づいて計算されます。この章では、標準報酬月額を求め、そこから保険料を求める方法をご紹介します。

手順1:4月〜6月に支給された報酬の平均額を算出

まずは、4月〜6月に支給された報酬の平均額を求めます。たとえば4月が27.3万円、5月が30万円、6月が36万円の場合、平均額は31.1万円となります。

手順2:保険料額表の中から、手順1で求めた金額が含まれる標準報酬月額を特定する

次に、各都道府県の保険料額表を準備し、その中から手順1で求めた平均額が含まれる等級と標準報酬月額を特定します。

たとえば平均額が31.1万円で東京都の保険料額表を用いる場合、標準月額が23等級(310,000円~330,000円)のゾーンに該当します。したがって、保険料の金額を求める際には、23等級の課税標準月額である32万円を使用します。

手順3:標準報酬月額に厚生年金と健康保険の保険料率をかけることで保険料の金額を算出

あとは、課税標準月額に厚生年金と健康保険の保険料率をかけることで、支払う保険料の金額を求めます。

たとえば課税標準月額が32万円、介護保険第2号被保険者に該当しない、東京都という条件の場合には、厚生年金と健康保険の金額は以下の通り算出されます。

厚生年金の保険料:32万円 × 18.30% = 58,560円
健康保険の保険料:32万円 × 9.87% = 31,584円

ただし、算出された保険料は会社と被保険者(従業員)が折半して支払います。

標準報酬月額を決定・改定するタイミング

標準報酬月額は、主に3つのタイミングで決定・改定されます。この章では、標準報酬月額を決定・改定するタイミングについて分かりやすく解説します。

資格取得

1つ目は、入社などにより新しく厚生年金や健康保険への加入資格を得たタイミングです。このタイミングでは、あらかじめ決まっている報酬額を月額に換算した金額などを参考に、標準報酬月額を決めます。

定時決定

2つ目は、7月1日に行う定時決定です。定時決定では、昇給などによる報酬の変動に対応するために、過去3ヶ月(4月〜6月)の平均月額を算出し、その金額を標準報酬月額とします。ただし、給与計算の対象となる日数に17日未満の月がある場合には、その月を除いて平均額を算定します。

随時改定

3つ目は、報酬額に大幅な変更が生じたタイミング(随時改定)です。具体的には、下記の条件すべてに該当する場合に標準報酬月額の改定を行います。

  • 昇給または降給等により固定的賃金に変動が生じた
  • 変動した月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額と、従来の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた
  • 変動した月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額と、従来の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた

厚生年金や健康保険の金額はどうやって決まるの?:まとめ

厚生年金や健康保険の金額は、お伝えしたように複雑な仕組みにより決まっています。例外などもあるため、仕組みを完璧に理解するのは困難です。

とはいえ、大まかでも金額の決まり方を知っておけば、従業員を雇用する際や、自身のライフプランを考える際に役立つでしょう。より詳しく厚生年金や健康保険について知りたい方は、以下に列挙した参考記事をご確認ください。

参考記事
令和2年度保険料額表(令和2年9月分から) 全国健康保険協会
厚生年金保険の保険料 日本年金機構
賞与の範囲 全国健康保険協会
標準報酬月額の決め方 全国健康保険協会

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