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海賊版サイトの被害が止まらない原因と対策

海賊版サイトの被害

海賊版サイトの被害は、年々深刻化しています。法改正や業界団体の呼びかけがあるにもかかわらず、なぜ海賊版サイトの被害は止まらないのでしょうか?

今回の記事では、海賊版サイトの被害が止まらない原因と、今後取るべき対策をご紹介します。

2020年は海賊版サイトの被害が過去最大になった

出版社などで構成された団体によると、2020年11月における海賊版サイトによる被害額はおよそ350億円に達するとのことです。今年に入って以降被害額は右肩上がりに増加しており、11月に関しては上位5サイトだけで今年1月の9倍にのぼる被害額が生じたとしています。

参考:漫画無断掲載 海賊版サイト 被害額が過去最悪の規模に NHK

海賊版サイトの被害が止まらない原因

社会問題となっていた海賊版サイト「漫画村」の摘発があったにもかかわらず、海賊版サイトの被害は未だ止まる気配を見せていません。海賊版サイトの被害が止まらない最大の原因は、海賊版サイトの多くが海外サーバーを経由して運営されていることです。

海外のサーバーを使って運営されている場合、サーバーの事業者にIPアドレスの開示を要求し、運営者を特定する必要があります。

しかし、海外のサーバー業者に情報開示を請求しても無視されるケースが多く、特定が困難であるのが現状です。また、サーバー提供事業者が日本に拠点を持っているケースでない限り、日本の法制度を適用すること自体困難です。

以上の理由より、運営者の特定・摘発が極めて困難であることから、海賊版サイトの被害は一向に減らないわけです。

改正著作権法では海賊版サイトにどのような対策を立てているか

2021年1月1日より、改正著作権法が施工されています。著作権法の改正では、海賊版サイトの被害を減らすための対策が強化される形となりました。

具体的には、下記2つの改正内容によって海賊版サイトに向けた対策が強化されました。

海賊版サイトからのダウンロードの違法化

1つ目の対策は、海賊版サイトからコンテンツをダウンロードすることの違法化です。

違法にアップロードされたものであると知った上でダウンロードした場合には、私的な利用目的でも原則違法となりました。また、継続的に反復してダウンロードを行うと、刑事罰の対象にもなります。

リーチサイト対策

2つ目の対策は、リーチサイト(海賊版サイトの情報提供や誘導などを行うサイト)に向けた対策です。改正著作権法では、リーチサイトに関する以下の行為が処罰の対象となりました。

リーチサイトの運営やリンクによる誘導を違法としたことで、海賊版サイトの利用ルートを減らす効果が期待できます。

参考:著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案(概要) 文部科学省

海賊版サイトの被害軽減には更なる対策が不可欠

改正著作権法の施行により、海賊版サイトの利用に対する抑止効果が期待されています。

ただし海賊版サイトの被害を根本的に無くすには、まだまだ対策の余地があると考えられます。海賊版サイトの被害を無くす上では、今回の法改正に加えて下記3つの対策が有効です。

サイト運営者に対して削除を要請する

まず漫画家や会社などが単体で行える対策としては、サイト運営者に対して削除を直接要請することが挙げられます。運営者が削除に応じてくれれば、あまり労力やコストをかけずに被害を軽減できます。

ただし、要請に応じない悪質な海賊版サイトの場合には、被害の軽減に難航することになります。

作品の閲覧も規制対象とする

前述した理由から、海賊版サイトの完全な撲滅は困難です。そこで有効と考えられるのが、作品の閲覧も規制対象とする対策です。

今回の法改正では、海賊版サイトからのダウンロードのみが違法となり、ストリーミングにより視聴する行為は規制の対象外となりました。ストリーミング型でコンテンツを配信する海賊版サイトは少なくないため、より海賊版サイトの被害を減らすには閲覧自体も規制対象とする必要があるでしょう。

実際に閲覧しただけのユーザーを摘発することは難しいものの、閲覧を規制対象とすることである程度の抑止効果は見込めます。

海賊版サイトが収益化できない仕組みづくりを行う

海賊版サイトが収益化できない仕組みを作ることも、海賊版サイトの被害軽減に効果的な対策です。

海賊版サイトの多くは、インターネット広告を添付する形で収益化を図っています。そこで政府と民間企業が連携して、海賊版サイトが広告を出稿できない仕組みを作れば、サイト内での収益化を防げます。

収益を得られないようにすれば、運営意欲が減退し、海賊版サイトを閉鎖する事業者の増加が期待できるでしょう。

海賊版サイトの被害が止まらない原因と対策:まとめ

海外サーバーを使っている事業者が多いことで、海賊版サイトによる被害は中々減らないのが現状です。改正著作権法ではリーチサイトの規制やダウンロードの違法化など、海賊版サイトへの対策を強化しているものの、大幅な被害の減少につながるかは不透明です。

被害を大きく減らすには、出版社などが地道にサイト運営者に対して削除を要請すると同時に、閲覧を法律で規制したり、収益化できない仕組みづくりを行ったりといった対策も求められるでしょう。