国内のドローン規制について分かりやすく解説
- 2020/10/29
- 法令コラム
ビジネスの世界においても、ドローンが活用されるようになりました。映像、物流、農業を始め活用範囲はさらに広がる様相を示しています。しかし、その一方でドローンの飛行には様々な法規制があることを失念してはいけません。使用者の都合だけで、どこでも自由に飛行できるわけではないのです。ドローンを活用したビジネスチャンスを掴むためにも、ドローンの法規制について理解を深めていきましょう。
航空法の規制対象になるドローンとは
航空法の一部が改正され、平成27年からドローンの飛行ルールが新たに設けられました。
規制対象となるドローンは、「構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの(200g未満の重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)のものを除く)」とされています。
これにより、重量が200g以上のドローンの飛行に際しては、航空法の規制が適用されることになります。
重量には、本体の他にバッテリーが含まれます。ただし、取り外しが可能なプロペラガードや後付けをするカメラは対象外です。
ドローンの飛行で許可を要する範囲は
ドローンを次のエリアで飛行させる場合には、事前に国土交通大臣の許可を受ける必要があります。
- 空港等の周辺の空域
- 地表または水面から150m以上の高さの空域
- 人口集中地区の上空
それぞれどのようなエリアが該当するのか解説をしていきましょう。
空港等の周辺の空域
国土交通大臣が指定する空港の周辺地域(空港の敷地・区域やその周辺概ね300mの地域)の上空では、ドローンを飛行させることは禁止されています。
指定された空港周辺地域の上空でドローンを飛行させる場合は、空港管理者の同意及び都道府県公安委員会等への事前通報が必要です。通報は、飛行開始時間の48時間前までに行うこととされています。
地表または水面から150m以上の高さの空域
地表または水面から150m以上の高さの空域を飛行させる場合には、予め空域を管轄する管制機関と調整を行ったうえで、国土交通大臣の許可を受ける必要があります。
人口集中地区の上空
人口集中地区は、国勢調査の結果に基づき、一定の基準以上に人口が集中している地域に設定されます。実際に飛行させたい場所が「人口集中地区」に該当するか否かは、国土地理院の「地理院地図」で確認することができます。
ドローンの飛行で守るべきルールと罰則
ドローンは、禁止エリアでの飛行許可の他に、飛行で守るべきルールが定められています。また無許可での飛行やルールを逸脱した飛行に対しては、罰則規定が適用されることがあります。具体的にどのような規制があるのか解説をしていきましょう。
ドローンの飛行で守るべきルールとは
ドローンの飛行に際しては、飛行させる場所とは無関係に、次のルールを厳守することとされています。
- アルコールや薬物等の影響下で飛行させないこと
- 飛行前に安全確認を行うこと……機体点検、周辺状況、気象情報、バッテリー残量などの確認が必要です
- 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
- 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと……不必要な騒音を出すこと、急降下、他人への急接近が禁じられています
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること……夜間の飛行は禁止されています
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること……夜間の飛行は禁止されています
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること……夜間の飛行は禁止されています
- 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと……イベント会場での飛行は禁止されています
- 爆発物など危険物を輸送しないこと
- 無人航空機から物を投下しないこと
5.~10.のルールに抵触する方法でドローンを飛行させる場合は、あらかじめ、地方航空局長の承認が必要です。承認を得ないでこれらの方法により飛行させると、「航空法で禁止されている飛行方法」として罰則の対象になります。
ドローンの違反飛行に対する罰則
ドローンを違反飛行させた場合、航空法に定める次の罰則が適用されることがあります。
- アルコール又は薬物の影響によりドローンの正常な飛行ができない可能性があるにもかかわらず、公共の場所の上空でドローンを飛行させた場合……1年以下の懲役または30万円以下の罰金
- 飛行禁止エリア内でドローンを無許可で飛行させた場合……50万円以下の罰金
- 承認を得ないで「航空法で禁止されている飛行方法」によってドローンを飛行させた場合……50万円以下の罰金
ドローンの飛行許可申請方法
ドローンを「飛行禁止空域」で飛行させる場合や原則禁止された飛行方法を行おうとする場合は、飛行開始予定日の10開庁日までに申請書類を提出する必要があります。申請はオンラン申請、郵送及び持参のいずれかの方法が選択できます。それぞれ、どのように申請をするのか紹介していきましょう。
オンライン申請
オンライン申請は次のURLから手続きを行います。
操作はすべてWebブラウザ上で実施するので、特別なソフトウェアは不要です。
郵送による申請
郵送による申請は普通郵便でも可能ですが、確実に配達記録が残る簡易書留の方が安心です。発行された許可書等の郵送を希望する場合は、返信用封筒と郵便料金相当の切手を同封します。
持参による申請
申請窓口まで申請書類を持参のうえ提出をします。受付時間は午前9時から午後5時までです。許可書等の郵送を希望する場合は、返信用封筒と切手を提出します。
緊急を要する場合の申請
公共性が高くかつ人道的な支援などのためにドローンを飛行させる場合は、飛行予定日の10開庁日前までに申請という規定にかかわらず、電子メールまたはファクシミリによる申請でも受け付けてもらえます。ただし、別途すみやかに正規の申請方法による申請が必要です。
申請先
許可申請等は、禁止されている飛行区域によって申請先が異なります。
「人口集中地区の上空」でドローンを飛行させたい場合は、国土交通省地方航空局に飛行許可申請をします。また航空法で原則禁止されている方法で飛行させたい場合は、同局に飛行承認申請をします。
「地表または水面から150m以上」または「空港周辺」の空域で飛行させる場合は、国土交通省の各空港事務所に飛行許可申請をします。
他法令による規制
ドローンの飛行では、航空法による許可や承認を受けていても、他法令の禁止事項によって、飛行ができないことがあります。ドローンの飛行に対して、どのような法令が関係してくるのか紹介していきましょう。
道路交通法
公道上でドローンを離着陸や飛行をする行為は、道路交通法第77条の「道路において工事若しくは作業をしようとする者」に該当すると解されているので、道路使用許可申請書を所轄の警察署に提出する必要があります。
小型無人飛行禁止法
ドローンの悪用により、国政中枢機能がマヒしないように、国会議事堂や政党事務所の事務所の上空においてドローンを飛行させることは、原則として禁止されています。
都市公園法
都市公園は、一般市民が憩いの場所として利用する場所であることから、ドローンの飛行や持ち込みが禁止されていることがあります。
自然公園法
優れた自然の風景地を保全するために、立入禁止地区への進入が制限されているとともに、他の利用者の迷惑になる行為が禁じられています。
条例
各地方自治体で、独自にドローンの飛行を禁止する条例が定められていることがあります。条例により飛行を禁じられたエリアでは、たとえ国土交通大臣の許可を受けていても飛行ができないことがあります。
飛行に際しては、事前に飛行予定の地方自治体にドローンに関する条例の有無を確認してください。
国内のドローン規制について分かりやすく解説:まとめ
ドローンには、人口密集地などの飛行が禁止されているエリアがあります。またイベント会場などの人の集まる場所での飛行が禁止されています。
航空法では、こうしたエリアで、200g以上のドローンを飛行させる際には、国土交通大臣の許可や承認を受ける必要があると定めています。
また航空法ばかりでなく、飛行させる場所によっては、道路交通法や各自治体の条例などの規制もありますから、飛行に際しては、飛行エリアの市区町村役場に問い合わせをしてください。