パラリーガルとは

日本ではあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、パラリーガルは「法律事務員」と一般には訳されています。主に、弁護士の指示に従って、法律事務所において法律事務業務を行います。

元々訴訟大国であるアメリカで生まれた職業であるため、日本での認知度はまだ低いのが現状です。

日本ではパラリーガルになるためには、特別な資格は必要なく、「これができたらパラリーガルと呼べる」というような明確な定義もありません。そのため、誰でもパラリーガルになることは可能になっています。

パラリーガルの業務内容は多岐にわたります。アメリカのパラリーガルの業務を参考に見てみると、主に3つの業務に分けられます。

パラリーガルの仕事内容

1.文書作成

パラリーガルは、弁護士の補佐として様々な書類の作成にかかわります。契約書や遺言書、倒産案件の書類など色々なものがあります。さらには、訴状や準備書面等、裁判で必要となる書類を作成するケースも少なくありません。

2.調査

弁護士が業務を進めるために、判例や法律書、論文等、過去のデータを調査するのもパラリーガルの仕事です。

3.手続き

パラリーガルの重要な仕事として登記の手続きがあります。登記では会社の設立や役員の変更、株の発行といった手続きに必要な書類を準備したり、申請したりといった業務が発生します。しかし、日本では登記の申請手続は主に司法書士が行うものとされており、資格のないパラリーガルが直接登記申請を行うことはできません。

パラリーガルに関係する資格

法律資格

先ほどパラリーガルになるためには、資格は必要ないといいましたが、法律事務業務を進めていくにあたり、詳しい法律の知識が必要となってくる場面が多々出てくると思います。

そのため、「行政書士」や「司法書士」等の国家資格を持っているとパラリーガルとして仕事がやりやすく、また重宝されるでしょう。行政書士の資格があれば、官公庁に提出する認可書類や権利義務・事実証明に関する書類を作成できますし、司法書士の資格を持っていれば、登記申請手続を直接行うことができるのです。

法律以外の資格

法律系の資格でなくとも、「秘書検定」や「TOEIC」のような民間の資格も持っていると良いでしょう。パラリーガルには、法律以外の幅広い知識も要求されるからです。

規模の小さな法律事務所においては、電話対応やスケジュール調整など秘書業務をパラリーガルが務める場合もあります。また、グローバル化している世の中において、日本語だけでなく英語を話すことができるのはかなり強みです。英語以外の外国語も同様です。

パラリーガルの年収は?

ここまで業務内容を説明してきましたが、実際にパラリーガルとして働くとどれくらい年収がもらえるのでしょうか。

アメリカ合衆国のように、大学などの教育機関がパラリーガルを養成する体制は、日本では整っておらず、特別な学歴や資格を取得していなくても、パラリーガルの職に就くことはできますし、パラリーガルに対する世間認知度は低いのが現状です。そのため、法律に関する専門知識や手続きの流れなど、複雑な実務スキルを修得しなければならないにもかかわらず、パラリーガルの年収は、一般事務の年収と大差ありません。

仮に、新卒で法律事務所に就職することができた場合、初年度の年収は200万~300万円の間で、キャリアを積んでも300万~400万円台で推移していると言われています。パラリーガルの仕事内容の難しさ煩雑さに比べて、思っていたよりも年収が低いと感じる方が多いのではないでしょうか。

なぜパラリーガルの年収は上がりにくいか

パラリーガルの年収が上がりにくい主な理由として考えられるのは、弁護士の業界そのものが過当競争になっている点です。司法制度改革の一環で弁護士人口は増えましたが、法律トラブルの件数は横ばい、もしくは微減の傾向にあります。業界内の過当競争の結果として、経営努力のわりに法律事務所の収入が上がりにくい社会構造となっていると考えられます。

そこで、紛争解決よりも「紛争予防(予防法務)」に重点を置く取り組みが行われています。紛争の件数が減っていることを、それに比例して弁護士の活躍の場が減ると捉えるべきではなく、予防法務という新たな活躍の場を創ろうとしているのです。つまり、いつでも法律相談できる態勢を整えることによって、紛争の芽を、前もって積極的に摘み取る「顧問弁護士」の役割が社会的に普及すれば、法律事務所にとっては安定収益の柱となりえます。

しかし、予防法務は企業にとって収益に直結する業務ではありません。そのため、特に収益体勢が盤石でない中小企業はどうしても後回しになり、弁護士と継続的な顧問契約を締結すること自体が敬遠されがちです。よって、パラリーガルの年収アップまで行きつかないのが現状となっています。

まとめ

これらの話は一般的にみてという話であって、法曹界での需要に応える形でパラリーガルとしての希少価値を高められれば、年収も必然的にアップするでしょうし、法律の紛争が複雑化していく中で、これから先、専門性を持ったパラリーガルの需要はどんどん高まっていくと考えられます。

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