弁護士会とは。どういった仕組みなのか?

弁護士会とは

弁護士法によって定められた組織である弁護士会は、弁護士が所属する組織として重要な役割を担っています。今回の記事では、弁護士会の仕組みや活動内容、弁護士自治について詳しく解説します。

弁護士会とは

弁護士会とは、弁護士法によって定められた組織です。弁護士法第31条では、弁護士会の目的を「弁護士および弁護士法人の使命および職務にかんがみ、その品位を保持し、弁護士および弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士及び弁護士法人の指導、連絡及び監督に関する事務を行うこと」としています。

簡単にいうと、弁護士や弁護士法人の指導や連絡、監督を行う目的で弁護士会は運営されているのです。

弁護士会の仕組み

弁護士会の仕組みについて、特に重要となるポイントは下記の4つです。

弁護士会は「法人」である

弁護士法第31条2項により、弁護士会は単なる組織ではなく、「法人」組織として運営を行なっています。

地方裁判所の管轄区域ごとに設置されている

同法第32条の規定により、弁護士会は地方裁判所の管轄区域ごとに設立することになっています。地方裁判所は、北海道内には4つ、それ以外の45都道府県には1つずつあります。また、例外的に東京都内には3つの弁護士会(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)が設置されています。

以上より、日本には合計で52の弁護士会が存在しています。

弁護士に対しては、弁護士会への加入が強制となっている

同法第9条では、弁護士となるには「入会しようとする弁護士会を経て、日本弁護士連合会に登録請求をしなければならない」と規定しています。つまり、弁護士には弁護士会への加入が強制されているのです。

日本弁護士連合会との関係性

日本弁護士連合会とは、全国各地にある弁護士会および弁護士・弁護士法人の指導や監督業務を行う組織です。つまり、すべての弁護士会をまとめる組織と言えます。弁護士会と同様に、日本弁護士連合会は法人として運営されています。

なお同法第8条、第9条では、弁護士となるには「日本弁護士連合会に備えた弁護士名簿への登録」と「日本弁護士連合会への登録請求」が必要としています。

同組織は、弁護士の登録に関する業務も担っていると言えます。

弁護士会の活動内容

では一体、弁護士会は具体的にどのような活動を行なっているのでしょうか?この章では、主要な4種類の活動について紹介します。

指導・監督業務

弁護士法の記載にある通り、弁護士会では弁護士・弁護士法人の指導や監督に関する業務を行なっています。具体的には、懲戒や紛議調停などを行なっています。

法曹養成・弁護士研修

弁護士会では、弁護士などを目指す司法修習生や、現役の弁護士に対して養成や研修の業務を行なっています。特に弁護士向けの研修は、弁護士における業務の改善を実現する手段として有効に機能しています。

法律相談や弁護士紹介、紛争解決

弁護士会では、定期的に一般人向けの法律相談や弁護士紹介、紛争解決などの業務も行なっています。こうした活動では、所属する弁護士が一般市民が抱えている法律問題に対して、最適な解決策や対処法を提案します。

弁護士会への相談や紹介にかかる費用は、各組織や内容によってさまざまです。中には無料で行われるものもあります。トラブルなどで困っている場合は、まずお近くの弁護士会に相談してみるのがお勧めです。

一般人に対する法教育

弁護士会では、一般人の法的トラブルの解決だけでなく、一般人向けの法教育も行なっています。具体的には、法律の基礎や司法制度、考え方を理解してもらうための教育活動が行われています。

弁護士自治とは

弁護士会について理解する上で、知っておかなければならないのが「弁護士自治」という考え方です。弁護士自治とは、簡単にいうと弁護士に対する監督業務について、上位組織(監督官庁)の規律や指示を受けずに行うことを意味します。言い換えると、弁護士会が自らのルールで弁護士の登録や懲戒などの業務を行います。

自治という考え方は、税理士や司法書士などの他の士業にはありません。税理士などの国家資格には監督官庁があり、資格を有する税理士や司法書士等は、監督官庁から監督を受けることになります。

弁護士業務の目的が「人権擁護」であることに、弁護士にだけ自治が認められている理由があると言われています。弁護士が擁護対象とする依頼者の中には、国や地方の自治体を相手に争う方も少なくありません。

弁護士および弁護士会が国の機関に監督されていると、国・地方自治体を相手に争う際に、十分な弁護活動を行えなくなるおそれがあります。そこで弁護活動を保障するために、弁護士には自治という制度が設けられているのです。

弁護士会とは:まとめ

弁護士会は、弁護士の活動を監督したり、一般人向けに法的トラブルの解決などの支援を行なったりと、多くの役割を担っています。弁護士会の活動および目的を理解することで、同時に弁護士がどのような士業であるかについても理解を深めることができるでしょう。

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