デジタル庁の発足。どんなことをやるの?

デジタル庁の発足

デジタル庁の発足は、2020年9月に発足した菅内閣の看板政策です。連日ニュースで取り上げられるものの、どのような組織なのかいまいち理解できている方は少ないと思います。そこで今回の記事では、デジタル庁が行う具体的な業務内容や発足によりどのように世の中が変わっていくかを解説します。

デジタル庁とは?

デジタル庁とは、行政のデジタル化を進めるために新設される組織です。菅内閣の目玉政策の1つであり、早くとも2021年〜2022年4月の発足が示唆されています。

行政が抱える課題から見えるデジタル庁発足の目的

デジタル庁が発足される真の目的は、縦割り行政によるIT関連業務の非効率性の改善にあると言われています。

各省庁では、個別にITシステムの調達や運営を行っており、それにより業務の重複やコストの無駄といった非効率性が生じています。また、各省庁が個別にITシステムを持つことで、組織を横断したデータの活用やシステムの運営が現状困難となっています。こうした事情から、コロナ禍では給付金などの政策実行に多大な時間がかかってしまいました。

また、マイナンバー普及の遅れを改善することも、デジタル庁が解決すべき課題の一つとして注目を集めています。 政府は、デジタル庁を発足しマイナンバーの普及やIT業務の一元化を実現し、行政手続きの効率化やスピード向上を実現したいというわけです。

デジタル庁の人員はどうなる?

現時点で政府は、官民を問わず能力の高い人材を集めた上でデジタル庁を発足したいとしています。また平井デジタル改革担当大臣は、デジタル庁のトップについて民間からの起用を念頭に置いていることを明らかとしています。

デジタル庁の具体的な業務内容

現時点では、デジタル庁が具体的に取り組むこととして、以下4つの業務内容が挙げられています。

国と自治体のシステムを統一

デジタル庁のメイン業務となると予想されるのが、国および自治体のシステムを統一することです。現時点でバラバラに導入されているITシステムを統一し、省庁間はもちろん、行政機関と地方自治体の間でもスムーズにデータのやりとりを行えるようにすることを目標とします。

マイナンバーカードの普及促進

もう一つデジタル庁が重点的に取り組むのが、マイナンバーカードの普及促進です。普及促進に向けて、健康保険証や運転免許証など本人確認で用いられる規格の統合を目指すとのことです。

行政手続きのオンライン化

従来行政手続き(住民票の発行など)を行うには、役所等に出向き面倒な書類の作成や提出などを行う必要がありました。こうした事態を解消する目的で、デジタル庁ではスマートフォンを使って行政手続きをオンラインで行える世の中を実現するとしています。

医療や教育分野におけるIT活用の規制緩和

新型コロナウイルスの影響により、三密を避けられるオンライン診療やオンライン教育の需要が高まっています。しかし医療や教育分野には規制が多く、こうしたサービスを受けるのは簡単ではないのが現状です。

デジタル庁では、医療や教育分野での規制を緩和し、オンライン診療・教育を問題なく受けられるようにする業務も担うとのことです。

デジタル庁の発足で世の中はどうなる?

ではデジタル庁の発足により、世の中はどのように変容するのでしょうか?現時点では予測に過ぎませんが、スムーズにデジタル庁が役割を果たせば、以下のような効果が期待できます。

行政手続き全般の迅速化

各省庁や自治体のシステムが統合され、データが共有されることで、行政手続きにかかる時間の短縮が予測されます。利用する市民側からすると、行政手続きに要する時間が短くなることで、浮いた時間を趣味や副業などに活用できる効果も期待できるでしょう。

中小企業の生産性や収益力の向上

政府が主体となってデジタル化を進めれば、その影響は全国各地にある中小企業にも波及すると考えられます。中小企業でもIT化が進めば、一定の時間で行える業務の量が増えたり(生産性の向上)、ITを駆使した新しい商品・サービスの創出により収益力が向上する効果が見込めます。

東京一極集中の解消

行政手続きや企業活動のデジタル化が進めば、場所を選ばず働いたり行政上の手続きを行えるようになります。そうなると、現在課題となっている東京一極集中の解消につながると考えられます。

東京一極集中の現状が解消されれば、首都圏では混雑の解消、地方では経済の活性化と、都心と地方それぞれにとってメリットがもたらされるでしょう。

デジタル庁の発足:まとめ

ジタル庁の発足は、今後の日本にとって間違いなくプラスとなる出来事です。縦割り行政をはじめとして解決すべき課題はあるものの、IT通の平井大臣が本腰を入れている点や、民間からリーダーを起用する点を考えると、課題の解決につながる可能性が高いと考えられます。

今後デジタル庁をめぐる動きがどのように進展するか注目です。

参考記事
「デジタル庁」新設へ 首相 “経済社会の大転換がこの場から” NHK
デジタル庁創設へ基本方針 年内に、首相指示 日本経済新聞
平井卓也大臣が語る「デジタル庁創設」の真意 東洋経済ONLINE

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