3月決算の企業が多いのはなぜ?押さえておくべき法務のたしなみ

3月決算の企業は何故多い?

企業の決算といえば3月決算が多く、たとえば3月に決算セールが行われているのをよく目にします。しかし、企業の決算は3月と決まっているわけではありません。ではなぜ3月決算が多いのでしょうか?この記事で詳しく解説いたします。

企業の決算とは

決算とは、企業の年間成績を発表することを指します。利益が出ているのか、損失が出てしまったのかを決算書にて発表するのです。
3月決算は前年の4月1日から当年の3月31日までを集計した内容です。6月決算の企業であれば前年6月1日から当年5月31日、9月決算であれば前年9月1日から当年8月31日までの集計となります。

ちなみに決算の申告は決算期から2カ月以内、上場企業は決算期から45日(東証)という基準が設けられています。

決算期は3月が2割

決算は必ずしも3月である必要はありません。実は1月から12月までどの月に決算としても良いのです。ただし3月決算としている企業はとても多く、全体の約2割です。次いで多いのが9月決算や12月決算の1割となっており、3月決算としている企業がいかに多いかが分かります。

3月決算が多い理由

決算が何月でも良いのにもかかわらず、なぜ3月決算が多いのでしょうか?それには大きく分けて3つの理由があります。1つは「公共機関に合わせている」、2つ目は「教育制度に合わせている」、3つ目は「法律の改正を想定している」ということです。それぞれ具体的に解説します。

公共機関に合わせている

国や公共機関は3月決算です。これらを取引先として商品サービスを納入している事業者の場合、同様に3月決算とすることが一般的です。国や公共機関には予算があり、使い切れなければ翌年以降予算が減らされることを懸念して、決算前に多くの発注をするケースがあります。

そのため、取引企業も駆け込み受注を見越した3月決算にするのです。国や公共機関と直接取引している企業が3月決算であれば、下請け企業もそれに合わせて3月決算とすることが多く、連鎖的に3月決算が増えるのです。

教育制度に合わせている

日本の教育制度は4月から新年度となりますので、教育関連事業者も3月決算としています。また、採用の面でも4月入社が多いことから、3月決算だと人件費の戦略が立てやすいです。

法律の改正を想定している

改正した法律が4月1日から施行されることが多く、会計の面で仕訳方法の変更負担が軽減されるため、3月決算だと便利です。

3月以外に決算期とするメリット

3月決算が事業者にメリットが多いことがお分かりいただけたと思いますが、3月決算でなければメリットがないわけではありません。ここでは比較的メリットが多い決算月として、2月決算、9月決算、12月決算のメリットを紹介します。

2月決算のメリット

2月決算は小売業界で採用されているケースが多いです。というのも年明け1月のバーゲンや、ボーナス前後の7月にバーゲンが行われるため、繁忙期が過ぎたころ合いに決算申告すると業務効率が良いのです。

9月決算のメリット

3月決算が多いということは、税理士などの専門家が3月が多忙となります。この時期を回避して半年後の9月決算とする企業も多いです。

12月決算のメリット

個人事業主は確定申告に合わせていることが一般的です。確定申告は前年1月~12月分を当年2月~3月に行うため、12月決算となります。個人事業主が法人化した際に、そのまま12月決算とすることもあるのです。

また、海外企業は12月決算が多く、その影響で12月決算とする企業もあります。大企業の場合は連結決算がしやすいメリットがあったり、年末休業の際に棚卸しやすいというメリットがあります。

3月決算の企業が多いのはなぜ:まとめ

決算は事業者にとっての年間成績申告(発表)であり、一般的に3月決算が多いです。しかし、3月でなければならないのではなく、年間でどの月でも構いません。3月を避けて決算月を設定している事業者も多いです。いずれの場合も、取引先との都合や、事業内容との兼ね合いで決算月を決めています。ぜひ法務のたしなみとして知っておきましょう。

関連記事

ページ上部へ戻る