労働組合のメリットとデメリットをわかりやすく解説

労働組合がない会社はブラック企業?!労働組合の仕組みとメリット・デメリットについて

労働組合とは、労働環境の改善などを目的に労働者が主体となって結成する組織です。多くの企業に存在する労働組合には、果たしてどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

この記事では、加入する従業員側と会社側それぞれの視点から、労働組合のメリットとデメリットを分かりやすく解説します。

労働組合のメリット(従業員側)

労働組合に加入する従業員は、下記4つのメリットを得られます。

不当な取り扱いに対抗できる

最大のメリットは、不当な理由による解雇や減給、ハラスメントなどに対抗できる点です。

労働組合法により労働組合は、不当な取り扱いについて会社と半強制的に交渉することが認められています。

そのため、個人だと相手にされないような案件でも、労働組合に加入していれば、会社に真摯な対応を求めることが可能です。

経営陣に要望を通しやすくなる

福利厚生や賃金の安さなどに関して、経営陣に要望を通しやすくなる点も労働組合に加入するメリットです。

たとえば給与が安いと感じても、個人で上層部と交渉して給与の額を変えてもらうのは難しいです。しかし労働組合に加入していれば、会社と対等な立場で交渉できるため、経営陣に要望を通しやすくなります。

社内での交流が増える

多くの労働組合では、定期的に交流会と称したパーティーや飲み会を開催しています。こうした交流会に参加すれば、普段の仕事では関わらないような他業種・他部署の人と交流を持つことができます。

労働組合のメリット(会社側)

労働組合があると、従業員のみならず会社側にもメリットがあります。会社側が得られるメリットは下記の3つです。

健全な組織風土を醸成できる

労働組合の存在は、ハラスメントやサービス残業などの抑止力となります。従業員に対する不当な取り扱いが減るため、結果的に健全な組織風土が醸成されます。

健全な組織風土が醸成され、ブラック企業としてバッシングを受けるリスクを減らせる点は、企業にとって大きなメリットでしょう。

従業員のモチベーションアップ・離職の防止

労働組合がしっかり機能すれば、従業員にとって働きやすい労働環境になります。その結果、従業員のモチベーションが向上したり、離職率が低下する効果が期待できます。

モチベーションの向上や離職率の低下は、長期的に見ると業績に対して良い影響を与えます。労働組合は、業績の面でもメリットがあるわけです。

従業員間の団結力を高めることができる

他業種や他部署間で従業員が交流を深めることで、全社的な団結力が増すメリットも期待できます。

会社全体で団結力が高まることで、部門を横断した新規事業やプロジェクトなども円滑に進みやすくなるでしょう。

労働組合のデメリット(従業員側)

労働組合への加入には、実はデメリットもあります。労働組合への加入を検討している方は、下記3つのデメリットに注意しましょう。

組合費の支払いが必要

労働組合に加入している間、組合員は組合費を支払わなくてはいけません。毎月数千円もの出費が発生する点は、一般的なサラリーマンの方にとっては手痛いデメリットです。

労働組合での労働が増えてしまう

労働組合に加入すると、支出のみならず労働も増えてしまいます。たとえば定期的に開催するイベントの企画や組合活動に関する書類の作成などが、労働組合での労働に該当します。

つまり労働組合に加入すると、日頃の業務に加えて、報酬を得られない仕事が追加で発生するわけです。日々の業務が精一杯という方は、加入前にこのデメリットに我慢できるか十分検討しましょう。

一度入ると辞めにくい

絶対とは言えませんが、労働組合は一度入ると辞めにくいケースが多いです。というのも、労働組合の中にも人付き合いがあります。お世話になっている上司との付き合いなどを断ち切ってまで、労働組合を辞めるとなると相当な覚悟や勇気を要します。

意外と見落としがちなデメリットなので、労働組合に加入する際は注意しましょう。

労働組合のデメリット(会社側)

労働組合が社内にある場合、会社側には下記2つのデメリットが生じます。

労働組合との交渉などに労力がかかる

労働組合が交渉を申し出た場合、法律により企業は半強制的に交渉に応じなくてはいけません。

労働組合との交渉が生じた場合は、日程調整や場所の用意、交渉内容の検討などにかなりの準備を要します。また、実際の交渉では労働組合からいちじるしく不利な条件や要望を押し付けられることもあり、その対応で精神的に疲弊するおそれがあります。

福利厚生費や人件費などが増える場合がある

2つ目のデメリットは、労働組合との交渉の結果、福利厚生などの費用が増える場合がある点です。たとえば労働組合との交渉により賃金をアップすることが決まった場合、人件費が大幅に増えてしまいます。

費用が増えると、それだけ事業に使えるキャッシュフローや利益も減ってしまいます。労働組合がある会社の経営陣は、このデメリットにも日頃から注意を払う必要があるでしょう。

労働組合のメリットとデメリット:まとめ

今回見たように、労働組合には加入する従業員と会社、それぞれにメリットがあります。しかしメリットと同時に、いくつか注意すべきデメリットもあります。

一概に労働組合を良いもの(悪いもの)と見なすのではなく、メリットとデメリットを比較検討した上で、加入や対応を行うことが大切です。

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