任天堂の法務部は、なぜ最強と言われるのか?勝訴した5つの裁判から見るしたたかな戦略

任天堂の法務部は、なぜ最強と言われるのか?勝訴した5つの裁判から見るしたたかな戦略

日本が誇るゲームメーカー任天堂の法務部は、「最強の法務部」だという伝説があります。ゲームファンの間で最強伝説がささやかれるのは、任天堂がさまざまな裁判で勝訴してきたからです。この記事では任天堂法務部について解説します。

任天堂が勝訴した裁判

任天堂はさまざまな裁判で争ってきましたが、その多くは勝訴となっており、ユーザーの間で最強伝説が語り継がれています。まずは任天堂が勝訴した5つの裁判を見てみましょう。

ドンキーコング裁判

任天堂のゲームである「ドンキーコング」は、映画「キングコング」の権利侵害だとして、1982年にユニバーサルからロイヤリティを求めて訴訟を起こされました。

当初支払うつもりだった任天堂ですが、アメリカ子会社のハワード・リンカーン弁護士が、ドンキーコングとキングコングは違う動物だと反論できると自信をのべ、法廷闘争となりました。

結果的に「キングコング」の著作権の保護期間は切れており、任天堂の勝訴となりました。このドンキーコング裁判が任天堂の法務部が最強という伝説、「任天堂法務部最強伝説」の幕開けだと言われています。

ティアリングサーガ裁判

ティアリングサーガ裁判は、任天堂の「ファイアーエムブレム」が、エンターブレインが発売した「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」と酷似しているとして、任天堂がエンターブレインや開発元に対して訴訟を起こしました。

任天堂の言い分は認められませんでしたが、弁護士費用や売り上げの一部の支払いをエンターブレイン側が課されることになり、和解が成立することとなりました。

3DS裸眼立体視特許裁判

任天堂が逆転勝訴した裁判として、「3DS裸眼立体視特許裁判」があります。元ソニーの社員が、2003年に任天堂本社で裸眼立体視の仕組みを提供したところ、許可なくニンテンドー3DSに採用されたとして賠償金を請求しました。

ニューヨークの1審では任天堂側に対して賠償金29億円支払いを命じた(2014年1月)ものの、2014年12月に任天堂側が控訴し、差し戻し審となった2016年4の判決で、特許侵害がなかったものとして任天堂側が逆転勝訴しています。

マリカー裁判

公道カートの「マリカー」が、任天堂のキャラクターのコスチュームとセットで外国人旅行者に貸し出し、その上屋号である「マリカー」の商標まで取得してしまいました。

マリカーはマリオカートの総称であるため、任天堂は2016年9月、特許庁に対して商標取り消しを求めました。2017年1月に任天堂の異議申し立てが棄却されたことを受け、任天堂は2月に不正競争防止法違反および著作権法違反として訴訟を起こしました。

結果的に2018年9月に任天堂が勝訴し、マリカー側に1千万円の支払いが命じられました。

マリカー(現在はMARIモビリティ開発社に改称)し、2018年9月28日に知財高裁に控訴し、法廷闘争は続く見込みとなっています。

ユリゲラー裁判

超能力やマジックで知られるユリ・ゲラーは、2000年にポケットモンスターに登場する「ユンゲラー」は、無断で自分のイメージを使ったものだとして、6,000万ポンドの賠償を求めました。

しかし、米連邦地裁によると、ユンゲラーという名称が日本でしか使われていないとして、任天堂が勝訴する形となりました。

任天堂法務部はなぜこんなに強いのか?そのしたたかさとは

では、任天堂法務部はなぜこんなに強いのか、任天堂法務部の仕事内容としたたかさについて類推いたします。

任天堂法務部の強さとしたたかさ

法務部とは法律事務を行っている部署のことです。任天堂公式サイト内の「法務」では、「国内外の取引先との契約締結、製品やサービスの法規制の適合性調査、株主総会の運営、社内のコンプライアンス教育」とあり、訴訟に対して万全の体制を敷いていることが伺えます。

一般的な法務部は、契約書の作成から審査までを行う「契約・取引法務」、株主総会や取締役会などが合法的に行われているかチェックする「機関法務」、訴訟などに対応する「紛争訴訟対応」が主な仕事です。任天堂の法務部も同様にこれら業務を行うのですが、そのレベルが極めて高いのでしょう。

高いレベルを求める理由として、実は任天堂のゲーム専用機の売上は全体売上の96%(2020年3月期)を超えています。また、500億円以上研究開発費をかけることでヒット商品の下支えをしている実情もあります。これらのことを考えると、ゲーム関連の知的財産を守ることは非常に重要な経営課題なのです。

任天堂法務部は、これまで培った高度な専門知識や経験で、多面的視点による事業活動を行っています。社内だけでなく社外の関係者との連携も踏まえ、契約や法規制の適合性調査、株主総会などの運営、社内コンプライアンス教育など、徹底した法務戦略を取っています。

ステークスホルダーや社会からの信頼を前提にしながらも、自社を守るしたたかさは、常勝を続ける判決からも見て取れます。

任天堂の法務部は、なぜ最強と言われるのか?:まとめ

最強を謳われる任天堂法務部は、さまざまな裁判で勝利してきました。そこには徹底した法務部の戦略としたたかさがあり、それらが任天堂に勝利をもたらしてきたのでしょう。
ユーザーから最強伝説が流れるほど、任天堂法務部はしっかりと仕事をしているのです。

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