内定承諾書はいつ返送するべき?

内定承諾書はいつ返送するか

就職活動をした企業からの採用が内定すると、内定承諾書が送付されてきます。

内定承諾書に署名をして返送をすれば、その企業に就職をする運びになりますが、自分の一生を左右することですから、そんなに簡単に決められるものではありません。中には、できるかぎり時間をかけて、じっくり検討したいと思う人もいるのではないでしょうか。この記事では、内定承諾書は、いつまでに返送をすればいいのかについて明らかにしていきます。

内定承諾書とは

内定承諾書とは、入社希望者が企業からの内定を承諾し、その企業へ就職すること誓約する書類です。企業によっては入社承諾書、あるいは入社誓約書と呼ばれることもありますが、本質的に差異はありません。

入社する側の立場だと、提出先の企業へ就職する意思表明となりますが、これを受けた企業にとっては、入社予定者を確定させる意味をもちます。内定承諾書を受取った企業は、内定者が入社することを前提に様々な準備を進めていきます。

提出に際して最も気をつけなければいけないことは、内定承諾書の意義を深く考えず、軽率に署名をして返送することです。

たとえば、内定承諾書を送付した後に別の企業からも内定承諾書が届くことがあります。たとえ後から内定がきた企業の方が本命だったとしても、複数の企業に内定承諾書を返送することは、信義にもとる行為です。

また返送した後で問題点に気づいて辞退を申し出ると、企業側のそれまでの準備が台無しになり、多大な負担をかけてしまうことになります。

つまり、内定承諾書の返送に際しては、家族、能力、環境、相性などあらゆることを総合的に考慮したうえで決断をする必要があるのです。

企業が内定承諾書の提出を求める3つの理由

なぜ企業は早い段階で内定承諾書の提出を求めてくるのでしょうか。それには、主に3つの理由があります。

1:入社の意思を改めて確認する

理由のひとつは、内定者の意思を改めて確認するためです。

面接の段階で「御社が第一志望です」と答えた入社希望者も、他社での説明会や選考結果によって、志望順位が変わることがあります。実際に、内定を通知した後に別の企業に入社することを理由に内定を辞退する人は少なくありません。

企業は、内定者が入社することを前提に様々な準備を進めていきますから、入社日直前で内定辞退が発生すると、大きなダメージを被ることになります。そのため企業は、内定を通知した段階で、改めて入社意思を最終確認することを目的に、内定承諾書の提出を求めるのです。

2:内定辞退を防ぐため

内定承諾書自体には法的拘束力はありませんが、企業に入社の意思があることを誓約することで、内定者に、無闇に内定辞退はできないという心理的拘束力が働きます。

もしも内定承諾書の存在がないとすれば、時間の経過とともに入社の意思が希薄になっていくことも考えられます。その結果、入社日の直前になって、突然入社を辞退するという顛末もあり得るのです。 内定承諾書には、入社希望者の入社の意思を固め、その意思を入社日まで持続させる役割が期待されています。

3:無用なトラブルを防ぐため

企業から送られてくる内定承諾書の様式には、「内定期間中に下記事項が生じた場合は、採用内定を取り消されても不服申し立てはいたしません。」として、次のような事項が列記されているのが一般的です。

  • 健康上の問題で、就業が困難となった時
  • 書類等に虚偽が発覚した時
  • 来春に卒業できなくなった時
  • 犯罪行為またはそれに類する非行を犯し、もしくは貴社の社員として不適切ないし品位を害する事由が生じた時
  • その他、勤務に支障をきたす事象が認められた時

これにより、入社までに大学を卒業できなかった場合や、履歴書等に虚偽が発覚したときなどに、企業は大きなリスクを負うことなく、内定を取り消すことが可能になります。

内定承諾書はいつ返送すればいいのか

内定承諾書の提出期日として設定されている期限は、受け取ってから10日前後としている企業が一般的です。企業から送られてくる内定承諾書の様式は、内定の連絡から数日後か、あるいは内定通知書に同封されて送られてきます。

内定承諾書に期限を記載していないという企業も少なくありませんが、だからといって悠長にしているわけにはいきません。期限が定められていない場合であっても、承諾書が届いてから、1週間以内には投函するようにしましょう。

返送の延期はお願いできる

就職は自分の一生を左右することですから、重大な決断を要します。内定承諾書の提出に苦慮して、なかなか決断できない場合は、企業にお願いすることで、3週間~1ヶ月程度まで延ばすことは可能です。ただし、期限内に返送が困難だと感じたら、早めに企業に連絡を入れることが重要です。

期限ぎりぎりになって延長を懇願するのは、社会人としてのマナーに欠ける行為になります。また、どれくらい延ばせば結論が出せるのかという、自分自身の期限を決定しておくことも失念してはいけません。

延長を依頼すると、採用担当者から理由を聞かれることがあります。その際には「他社の最終選考結果が1週間後に出る予定なので待っている」といった事情を正直に伝えた方がいいでしょう。事実に基づかない言い訳は、企業側の不興を招きかねません。

この際に大切なことは、採用担当者に直接伝えることです。不在の際は、席に戻る時間の目途を確認して、再度電話を入れるようにします。第三者を介しての伝言では、保留をお願いすることへのお詫びの気持ちが伝わりません。

返送は添え状を同封する

内定承諾書を返送する際は、ただ所定の様式のみを封筒に入れるのではなく、添え状を同封するのがビジネス上のマナーです。

文例に掲げているように、添え状は書類を送付する際のいわば挨拶文です。これにより、内定を決めてくれた企業への感謝の気持ちと、同封書類として何を何枚入れたかを明らかにします。

【添え状の文例】

令和○年○月○日


株式会社○○
人事部 ○○○○様

〒○○○-○○○○
○○県○○市○○町3-45-6
見本 文例
電話:○○○-○○○○-○○○○
Email:○@○○○.com


内定承諾書送付のお知らせ
拝啓 時下、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 このたびは内定通知書をご送付いただきまして誠にありがとうございました。
貴社に内定をいただくことができ、大変光栄に思っております。
入社後は、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
つきましては、下記の書類をお送りいたしますのでご査収ください。

敬具

内定承諾書 1部


以上

内定承諾書には法的拘束力はない

内定諸諾書は、企業にとってはもちろん、入社希望者にとっても重要な意味をもつ書類であることは言うまでもありません。しかし現実には、入社への意思確認をするための書類であるので、法的な拘束力はありません。民法では、労働契約は解約の申し出から2週間で解約できるとされているので、2週間前までに辞退を申し出れば、たとえ内定承諾書を提出した後であっても辞退することができます。

しかし、だからといって思慮なく安直に内定承諾書を提出することは控えましょう。自分の将来に真剣に思いを馳せたうえで、ぜひ入社したいと決断をした後でなければ提出するべきではありません。

内定承諾書を受取った企業は、承諾してくれた内定者が入社することを前提にして、様々な準備を開始します。承諾書を提出した後の辞退は、企業側に多大な負担をかけることになるのです。

内定承諾書はいつ返送するべき?:まとめ

内定承諾書の提出期日として設定されている期限は、受け取ってから10日前後としていている企業が一般的です。

返送は、早い方が望ましいのはたしかですが、それよりも重要なのは、自分の決断が揺るぎないことを自覚することです。内定承諾書を返送した後に、内定を辞退することになる状況が、最も企業に大きな負担をかけることになるからです。

内定承諾書の返送に際しては、期限に間に合う範囲で、十分に熟考したうえで決断をしてください。期限内にどうしても決断できそうもない場合は、企業の採用担当者に懇願すれば、1カ月の程度の延長であれば認めてもらえます。

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