すてきナイスの架空売上計上問題における第三者委員会報告書の概要

すてきナイスの架空売上計上問題における第三者委員会報告書の概要

この記事では、すてきナイスグループ株式会社の架空売上計上問題を事例に用いて、本件問題の概要や第三者委員会の活動内容をお伝えします。

問題の背景

本件では、すてきナイスの行った不動産物件取引に関して、架空の売上計上が行われた疑いが問題となりました。

本件における第三者委員会の役割と委員選定のポイント

本件の第三者委員会の役割と委員選定

本件を調査した第三者委員会は、「事実関係の調査」や「会計処理の適切性の検証」、「再発防止策の提言」などの役割を担いました。

なお本件第三者委員会は、下記3名の委員で構成されました。

  • 委員長:日野 正晴 (弁護士 日野正晴法律事務所)
  • 委員:松井 秀樹(弁護士 丸の内総合法律事務所)
  • 委員:紙野 愛健(公認会計士 紙野公認会計士事務所)

第三者委員会の活動スケジュール

では次に、本件問題の発端から第三者委員会が活動に至った経緯を見てみましょう。

事の発端は、2019年5月16日に金融商品取引法違反の容疑で証券取引等監視委員会と横浜地方検察庁によって、すてきナイスグループへの強制調査が実施されたことです。

粉飾決算の疑いで行われた強制調査を重く受け止めた同社は、客観的な調査の必要性を感じ、2019年5月30日の取締役会にて第三者委員会の設置を決定しました。

調査はおよそ2ヶ月弱にわたって行われ、同年7月24日に調査報告書が提出・公表されました。

事件の発覚から調査完了までの経緯をまとめると、次のようになります。

  • 2019年5月16日 金融商品取引法違反の容疑ですてきナイスが強制調査を受ける
  • 2019年5月30日 取締役会にて第三者委員会が設置される
  • 2019年7月24日 第三者委員会が調査報告書を提出

本件の調査のポイント

本件調査のポイントは、強制調査によって架空売上計上を調べる上で必要な資料が多数押収された点です。

第三者委員会の調査に必要な資料の多くが押収されたため、当初は十分な調査を行えるかが心配されていました。 しかしすてきナイスグループの全面的な協力のもと、役職員へのヒアリングやPCやメールサービスのデータ調査などを行い、質の高い調査を行うことができました。

第三者委員会によって何がわかったのか

第三者委員会の調査により判明した事項

第三者委員会の調査により、不正な売上計上の具体的な概要が判明しました。

不正な売上計上の舞台となったのは、すてきナイスの経営陣である平田氏が実質的に支配していた「ザナック設計コンサルタント株式会社」でした。すてきナイスが所有していた不動産をザナックに売却して売上を計上したことは、会計上不適切な行為でないかが争点となりました。

第三者委員会の調査の結果、「ザナックの本店オフィスがとても小さい場所であったこと」や「アンケートの結果、架空売上の計上に関与していた者が一定数存在すること」などが判明しました。 以上の事実とザナックがすてきナイスに実質的に支配されていたことを踏まえると、当該不動産取引はすてきナイスの売上をカサ増しする目的で行われており、会計上問題があると第三者委員会は指摘しました。

第三者委員会の調査によって生じた費用・影響

第三者委員会の調査費用は明らかとなっていないものの、本件は同社に深刻な影響を与えました。

一つ目の影響は、上場契約違約金として3,360万円の支払いを求められたことです。長年の不正な会計処理により、株主や投資家の利益を毀損したことから、多額の罰金を科された形となります。

二つ目の影響は、株価の大幅な下落です。2019年5月15日時点の終値は1,096円でした。しかし翌日16日に不正会計の疑いで強制調査を受けた結果、終値は796円まで下落しました。その後も株価は下がり続け、第三者委員会による調査報告書が提出された7月24日には終値が615円まで下落してしまいました。

長年にわたって粉飾決算を行っていたことが発覚し、同社の信用性は大きく下がったと言えます。同社が信頼を回復するには、第三者委員会の提案した再発防止策を徹底するとともに、株主たちに対して真摯な対応を心がける必要があるでしょう。

根本的な原因

調査を行なった第三者委員会は、本件問題が生じた根本的な原因を7つ挙げています。その中ても特に大きな原因は、「創業者一家の影響力の強さ」であると考えられます。

すてきナイスグループでは、創業者である平田周次氏と後継者である平田恒一郎氏が圧倒的な影響力や権力を持っていました。 ザナック案件は平田恒一郎氏の意向を踏まえて行われていたために、内部通報制度が機能しなかったり、周囲の経営陣が疑問をぶつけることができなかったと考えられます。

すてきナイスの架空売上計上問題における第三者委員会報告書の概要まとめ

第三者委員会が指摘しているように、本件は株主や投資家の利益を大きく損なう行為です。事実、株主や投資家からの信頼低下が、株価の大幅な下落につながりました。

このような不正な売上計上が止められなかった背景には、創業者一族による支配があったことは言うまでもありません。同社が再び株主や投資家からの信頼を得られる会社になるためには、第三者委員会の提言通り、ガバナンス体制を抜本的に改革しつつ、経営陣の刷新に着手する必要があるでしょう。

参考文献

  • 「第三者委員会」の設置に関するお知らせ
    http://www.daisanshaiinkai.com/cms/wp-content/uploads/2019/05/190530_daisansha8089.pdf
  • 第三者委員会調査報告書の受領のお知らせ
    http://www.daisanshaiinkai.com/cms/wp-content/uploads/2019/05/190724_daisansha8089.pdf
  • すてきナイスグループ(株)【8089】:株式/株価 – Yahoo!ファイナンス
    https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=8089.T
  • 特設注意市場銘柄の指定および上場契約違約金の徴求に関するお知らせ
    https://www.suteki-nice.jp/files/2019/09/2019_09_19.pdf

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