【初めての】第三者委員会とは?良く耳にするけど分からないホントのこと

第三者委員会とは

はじめに:第三者委員会とは何か

昨今、いわゆる企業不祥事が発生した際に第三者委員会が設置されることが増えており、ニュースでも見聞きする頻度が増えてきました。

この第三者委員会ですが、どのような人が委員をしているのか、具体的な役割は何か、会社との関係はどうなっているのか等については、あまりよく知られていないように思われます。そこで、第三者委員会の「最低限これだけは知っておきたい」基本的な知識について解説していきます。

第三者委員会を設置する目的

何らかの不祥事が発生し報道により世に知られることとなった場合、テレビやインターネットを介した報道等により、その企業のブランドイメージやレピュテーションに大きな影響を生じることとなるのは想像に難くありません。そこで企業としてはそのような不祥事が発生した際に、その原因究明や再発防止策の検討等をとることで、社会的信用の低下を防ぐ必要が生じます。

しかしながら、とりわけ規模が大きな不祥事においては企業が通常の業務の傍らで調査対応するのは現実的ではなく、また企業自身による調査では社会的信用を取り戻すのは難しいケースも多く考えられます。そこで、このような場合に第三者委員会の設置を選択することになります。

第三者委員会は特に法律等によって設置が求められているものではなく、各企業が任意に設置する組織です。そのため、第三者委員会と一口にいってもその目的は様々ですが、通常は一定の不祥事が発生した際に、その問題に関して原因究明を行うとともに、再発防止策を調査・検討し、報告することを目的とするのが一般的です。

第三者委員会の役割

第三者委員会の中心的な役割は、上記の目的に沿って、事実関係の調査・分析を行い、最終的に調査報告書を提出することです。そのため第三者委員会はまず、発生した問題に関連する社内文書の提出や実際に送受信されたメールの開示を求めたり、従業員に対して直接ヒアリングを行ったりしながら、事実関係を把握していくことになります。そのうえで、事実関係を分析しながら不祥事が発生した原因を分析し、これらの調査・分析の結果を調査報告書にまとめて企業に提出することになります。

委員の選任・設置運営費用

第三者委員は弁護士や会計士などの専門家から選任されるのが一般的です。第三社員には一定の独立性が求められることになりますが、特に選任方法に決まりがあるわけではありません。

第三者委員会の設置運営にかかる費用(第三者委員の人件費、交通費等)は、不祥事の規模によって大きく異なります。特に第三者委員の人件費は所要時間に応じて計算されることが多いため、企業規模が大きかったり、事実関係が複雑であったりすると、その額が数億円に上ることもあるそうです。

第三者委員会の限界

第三者委員会は、上記のとおり企業において発生した不祥事を調査・報告することが主な職務となりますが、その職務遂行にあたっては多くの問題点があります。

例えば、第三者委員会あくまでも企業が任意に設置した組織にすぎず、警察や監督官庁などとは異なり強制的な調査権がないこと、かけられる費用や時間が限定的であること、第三者委員は必ずしもその企業のビジネス環境に精通しているわけではないこと、第三者委員はあくまで企業が依頼者であるため完全な独立性は担保されないことなどが挙げられます。また企業側が負担する第三者委員会の設置運営費用も大きな問題となります。

企業側が予想していた額より多く費用がかかってしまうこともあり、これが後に第三者委員会側と問題になるケースもあるようです。

日弁連によるガイドライン・第三者委員会報告書格付け委員会

第三者委員会を設置する企業が増加したことや第三者委員会には上記のような限界があること等を踏まえて、2010年に日本弁護士連合会により「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」が公表されました。これは、このガイドライン通りに運営することを求めるものではなく、あくまでベストプラクティスをまとめたもの(必ずしもガイドラインの全てを遵守する必要があるわけでないという扱い)ではありますが、実務上参照されることが多くなっています。

また第三者委員会による調査の規律をもたらし、その報告書の社会的信用を高めることを目的とした第三者委員会報告書格付け委員会という組織が2014年に設立されました。この委員会は、世に公表された第三者委員会による報告書を第三者の立場から4段階(「評価に値しない」を含めると5段階)で評価し公表しています。

おわりに

昨今、不祥事に際して設置される第三者委員会を見聞きする機会は多くなっており、今後もその傾向が続くものと考えられます。第三者委員会は、今後も格付け委員会を始めとする社会の目に晒されながら、中立性をより高く、また費用面でもより負担の小さい運営が求められていくことになりそうです。

著者:弁護士3年目、企業法務を中心に取り扱う弁護士A

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