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相続・遺言Q&A
- そもそも相続って何?
相続は、人が死亡することで開始します(民法882条)。
死亡した人のことを法律上は、被相続人と呼びます。そして、相続とは、被相続人の持つ法律上の地位、つまり被相続人に属していた一切の権利義務を特定の人に包括的に承継させることを言います(民法896条)。逆にいえば、これに該当しないものは相続ではないということになります。
例えば、被相続人が死亡する前に自分が所有している土地を息子にあげる、という例では、被相続人はまだ死亡していませんので、相続には該当しないことになります。
さらに、土地という特定の物だけをあげるという点でも、包括的な承継とはいえないので、やはり相続には該当しないことになります。
- 負債が多い場合でも相続しなければならないのですか?
相続人が相続を望まない場合、民法上、相続を拒否できる制度が設けられています。これを相続放棄(民法第915条第1項)と言います。
相続放棄がされると、放棄した相続人は、はじめから相続人とはならなかったものとみなされます(同939条)。そのため、資産のみならず負債も含めて相続による一切の権利義務を承継することはありません。ただし、以下の点で注意が必要です。
①相続放棄は、自己のために相続があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません(同915条第1項および938条)。
② 相続放棄の申述の前後を問わず、相続財産の全部または一部を隠匿、費消、または悪意で財産目録への不記載などをしてしまうと、単純承認をしたものとみなされ、相続放棄ができなくなってしまいます(同921条参照)。
- 祖父が亡くなった時に、既に父が死亡していた場合、誰が相続するのですか?
被相続人の子(これを「被代襲者」といいます)が、被相続人よりも前に既に死亡している場合、被代襲者の子が相続人となります(民法887条第2項)。この場合の相続人を代襲相続人と呼びます。 代襲相続人の相続分は、被代襲者の相続分と同じとされています(同901条本文)。代襲相続人が数人いる場合には、被代襲者の相続分を頭数で割ることになります(同901条ただし書)。
- 遺言の書き方には決まりがあるのですか?
遺言は、要式行為と呼ばれる法律行為で、民法に定められた方式に従って作成しなければなりません(民法第960条)。遺言には、①自筆証書遺言(同968条)、②公正証書遺言(同969条)、③秘密証書遺言(同970条)という種類があります。
- 遺言執行者とは何ですか?必ず必要なのでしょうか?
遺言執行者とは、その名の通り遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う者をいいます(民法第1012条参照)。
遺言が執行される時点では、遺言者は既に亡くなっているため、遺言の内容を自ら実現することはできません。そこで、遺言執行者が遺言者の代わりに遺言の内容を実現することになります。
遺言執行者は、執行を要する遺言内容が存在している場合に必要となります。具体的には、以下の内容の遺言がある場合には、遺言執行者が必要です。
・遺言による子の認知(同781条2項)
・遺言で推定相続人が廃除された場合(同893条)
・遺言で推定相続人の廃除が取消された場合(同894条2項)
- 法律上、脳死は人の死なのでしょうか?
脳死とは、脳機能は不可逆的に失われているものの、心臓は拍動し血液循環が保たれている状態をいうとされます。
現行の臓器移植法(2009年改正法)によれば、脳死を「死」とする前提で脳死移植が可能とされていますが、同法は一般的に脳死を人の「死」とすることを定めたわけではなく、他の法律の適用上、「死」をどのように位置づけるかは別問題となります。
一般的には、①自発呼吸の停止、②脈の停止、③瞳孔反射機能等の停止の3点により、心臓の停止を判定し、それをもって死亡と認定する三徴候説によって人の「死」が位置付けられているといえるでしょう。