刑事事件Q&A

職務質問を拒否することはできるのでしょうか?

職務質問は、「任意」のものであるため、法律上の建前は拒否できることになっています。

 職務質問をすることができる根拠は、警察官職務執行法2条1項の「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。」という規定です。

職務質問は、権力を行使できる「強制処分」と異なり「任意処分」であるため、容易に拒否することができるように思えます。

しかし、判例は職務質問の際に強制に至らない程度の有形力を行使することを適法であると判断しているため、実際には職務質問を拒否することは難しいかもしれません。

職務質問が犯罪の発見のきっかけとなることが多く、治安維持ための必要性が高いことが理由であると思われます。

職務質問の時に所持品検査をすることは法律上認められている?

警察官職務執行法は2条1項で「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。」と規定するのみで所持品検査には明文の規定を設けていません。

しかし、判例は「所持品の検査は、口頭による質問と密接に関連し、かつ、職務質問の効果をあげるうえで必要性、有効性の認められる行為であるから、同条項による職務質問に附随してこれを行うことができる場合がある」(最判昭53年6月20日刑集32巻4号670頁)として、職務質問に付随する所持品検査を一定の限度において許容しています。

 そして、この判例は、犯罪予防や早期鎮圧等が警察の責務であることを考えれば、任意に行われる職務質問においても、捜索といえるような強制に至らない限度であれば許容される場合があるとも述べています。

「逮捕」にはいくつか種類がある?

被疑者を逮捕するには、それが法律に根拠がある方法であることが必要です。

逮捕には、通常逮捕(刑事事件訴訟法199条1項。以下、法令名略)、緊急逮捕(210条1項)、現行犯逮捕(212条1項、2項)の三種類があります。

まず、「通常逮捕」とは、裁判所から逮捕令状をもらって行う逮捕を指します。「通常」とある通り、最も原則的な逮捕です。

次に、「緊急逮捕」とは、重大な犯罪で、その対象者が当該事件の加害者である可能性が極めて高く、逮捕をする緊急性が高い場合に、裁判所からの令状なくして逮捕できるものとするものです。

最後に、「現行犯逮捕(含、準現行犯逮捕)」とは、犯行中や犯行直後に逮捕することで、加害者を間違える可能性が極めて低いことを理由に、逮捕状なくしてできる逮捕の形態です。

なお、「通常逮捕」と「緊急逮捕」については、一定以上の地位の警察官や検察官しかすることが認められていない(199条2項)ですが、「現行犯逮捕」は、被害者や目撃者など一般人でもできることになっています(212条、213条)。

自動車検問は強制的に協力させられますが、それでも職務質問と同じなのでしょうか。

職務質問(警察官職務執行法2条1項)と同様、自動車検問においても任意ではあるものの、運転者の負う義務を考慮し、一定程度の有形力行使によって自動車検問を行うことを許容していると考えられます。

判例は、自動車検問について、「警察法2条1項が『交通の取締』を警察の責務として定めていることを考えると、交通の安全及び交通秩序の維持などに必要な警察の諸活動は、強制力を伴わない任意手段による限り、一般的に許容されるべきものであるが」それが国民の権利、自由の干渉にわたるおそれのある事項にかかわる場合には、任意手段によるからといって無制限に許されるべきものでないことも・・・明らかである。」(最判昭55年9月22日刑集34巻5号272頁)と述べています。

加えて、この判例は、自動車検問が「自動車の運転者は、公道において自動車を利用することを許されていることに伴う当然の負担として、合理的に必要な限度で行われる交通の取締に協力すべき」ものであること、自動車検問が「相手方(運転者)の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法」であるとも、述べています。

「万引き犯」にはどの時点でなってしまう?

窃盗罪は、刑法235条(以下、法令名略)において「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と規定されている犯罪です。

まず、「他人の財物」とは、原則、他人が所有している物をいいます。
次に「窃取」とは、他人が占有する財物を、当該占有者の意思に反して、自己又は第三者の支配下に移す行為を言います。

万引きについて考えると、窃盗罪が成立する、すなわち、窃盗が完成するのは店を出た時点であると考えられます。

つまり、万引きをした(しようとした)人が店舗を出た時点で、店が占有している商品(この時点では、商品は店の所有にあります。そのため「他人の財物」に該当します)を、店の意思に反して、確定的に自己の支配下に移したと考えられます。そのため、「窃取」したといえ、窃盗罪(235条)が完成することになります。

 また、刑法243条は「第235条・・・・の罪の未遂は、罰する」と規定しているため、窃盗未遂罪には刑罰が科されるということです。  窃盗未遂罪は、犯人が万引きをしようと思い、商品を自分のカバンの中に入れた時点で成立します。つまり、店の中でカバンに入れた時点で、窃盗未遂罪は成立します。

 もっとも、事実上の支配を取得したかどうかは、財物の大きさや、財物搬出の容易性、占有者の支配の程度等の事情を合わせて判断されます。スーパーやコンビニでの万引きの場合、店舗内にある商品がポケットやカバンに入る大きさのものがほとんどであること、またそれらのものをスーパーの外に持ち出すことは簡単であることなどから、カバンやポケットに入れた時点が既遂時期であるとも考えられます。

判例は、店頭にある靴下を懐に収めた時点で窃盗(既遂)が成立するとしています(大判大12・4・9刑集2巻330頁)。

友達から借りた漫画やゲームを返さない「借りパク」は何罪になる?

この場合、横領罪(252条1項)が成立すると考えられます。

 例えば、A君はB君にゲームを貸す約束をし、B君にゲームを貸出しましたが、B君はゲームを返したくないと考えるようになり、A君はゲームを返してもらえないという場面で考えてみましょう。

横領罪は「自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。」(252条1項)となっています。ここでの「横領」とは、不法領得の意思の発現行為をいいます。この「不法領得の意思」とは、委託の任務に背いて(信頼関係を無視して)、権限がないのに所有者でなければできないような振舞いをする意思をいうのです。

今回の例では、B君の持っているゲームはA君のものですから「自己の占有する他人の物」に該当します。そして、A君が貸してくれているにも拘らず、所有者のように振舞おうとするB君の行為は、「横領」に当たるといえます。そのため、B君には「横領罪」(252条1項)が成立します。

 したがって、友人から借りた物を自分のものにしてしまう行為は、刑法上「横領罪」となってしまいます。

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