LegalSearch (リーガルサーチ)

離婚Q&A

夫婦間の合意による離婚が認められる要件を教えてください。

一定の要件のもと、夫婦間の離婚が認められています(協議上の離婚。民法第763条)。

その要件は、
①戸籍法や戸籍法施行規則等の「法令の定めに従った届出」(形式的要件)
②夫婦間の離婚意思(実質的要件)です。

 届出の形式としては、書面(離婚届)による届出のほか、口頭での届出も法令に定められておりますが(戸籍法第37条)、実務では書面による届出によるものが殆どとなります。

 なお、離婚をすると婚姻のときに姓を変えた者は、婚姻前の姓に戻ります(民法第767条1項)。

この場合、婚姻後も婚姻のときに変えた姓を使いたい場合は、婚姻の日から3か月以内に届出をしなければなりません(民法767条2項、戸籍法77条の2)。

離婚の方法について教えてください。

 離婚をする方法については、

①当事者の合意のみで離婚をする方法と、
②裁判手続を利用する方法があます。

 裁判手続としては、家庭裁判所の調停と訴訟が利用できますが、訴訟を提起する前にまず調停を申し出なければなりません(家事事件手続法 第257条1項)。

 当事者の合意のみで離婚をする場合は、戸籍法などの法令に定める方法に従い市区町村に届け出ることにより離婚が成立します。  裁判手続きを利用した離婚の場合は、調停成立、判決確定などにより離婚が成立し、その後、市区町村に届け出をします。この場合の届け出は、既に離婚が成立しているため報告的な意味合いに留まります。

離婚事由である不貞行為について教えてください。

裁判で離婚をするには、離婚事由が認められる必要があります(民法第770条1項)。

不貞行為は、離婚事由の一つとして民法第770条1項1号に規定されています。

 不貞行為とは、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます(最判昭和48年11月15日民集27巻10号1323頁)。

 この場合、配偶者以外の者を強姦した事例につき離婚を認容した判例があることから相手方が自由な意思を有していたか否かは問いません(最判昭和48年11月15日民集27巻10号1323頁)。

 また、生活苦のため妻が売春をした事例につき離婚を認容した判例があり(最判昭和38年6月4日家月15巻9号179頁)、不貞行為に至った理由は原則考慮されません。

夫婦の一方の不貞行為により離婚に至った場合、夫婦の他方は誰に対して何の慰謝料請求ができますか?

離婚に伴う慰謝料には、①離婚原因(不貞行為)と
②離婚をしたこと自体の慰謝料があります。

夫婦の一方の不貞行為により離婚に至った場合、夫婦の他方は不貞行為をした者に対して①離婚原因と②離婚自体の両方の慰謝料請求ができます。

次に、不貞行為の相手方に対しての慰謝料請求は①離婚原因(不貞行為)の慰謝料請求はできます。

②離婚をしたこと自体についての慰謝料は、「離婚による婚姻の解消は、本来、当該夫婦の間で決められるべき事柄である」ことから、「第三者がそのことを理由とする不貞行為責任を負うのは、当該第三者が、単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである」(最判平成31・2・19)として原則否定されています。

愛人を作って出て行った夫側からの離婚請求は認められますか?

愛人を作って出て行った夫は、婚姻破綻について原因を作った側であり、有責配偶者といえます。

有責配偶者からの離婚請求は、原則認められませんが(最判昭和27・2・19民集6巻2号110頁)、一定の要件の下に認容する判例もあります(最大判昭和62・9・2民集41巻6号1423頁)。

一定の要件とは、①相当期間の別居、②未成熟子の不存在、③請求が認められた場合に相手方配偶者が過酷な状態に置かれる等著しく社会正義に反するような特段の事情がないことの3要件です。

未成熟子とはいえ(要件②)、4人の子のうち3人は成人、1人が高校2年生の場合に有責配偶者からの離婚請求を認めた判例もあります(最判平成6・2・8家庭裁判所月報46巻9号59頁)。

 また、双方有責の場合、夫婦の一方にもいくらかの落ち度が認められるが、他方により多大の落ち度があるときには、前者の離婚請求は認められる(最判昭30・11・24民集9巻12号1837頁)とした判例もあります。

離婚に際し、子を引き取らなかった実親の養育費の支払い義務について教えてください。 子を引き取らなかった親が再婚し、子が再婚相手と養子縁組をした場合はどうなりますか。

養育費とは、子の監護をしている親が他方の親に対して子の監護に関する処分(民法第766条)として請求できるものです。

額の算定は実務上、東京・大阪養育費等研究会「簡易迅速な養育費等の算定を目指して-養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案」(判タ1111号285頁)が多く用いられます。

基本的な考え方は、「子のために消費されたはずの生活費がいくらであるのかを計算し、これを義務者・権利者の収入の割合で按分し、義務者が支払うべき養育費の額を定める。」というものです。

 養親には未成熟子に対する扶養義務が生じるため、まず養親が監護親と共に養子を扶養することになります。養子縁組の解消、養親の死亡などから養親が未成熟子を扶養することが出来なくなった場合には、子を引き取らなかった実親が養育費を負担します。