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王将フードサービスの反社会勢力の関与問題における第三者委員会報告書の概要

王将フードサービスの反社会勢力の関与問題における第三者委員会報告書の概要

この記事では、王将フードサービスの反社会勢力との関与問題について、第三者委員会の調査概要を解説します。

問題の背景

本件は、2015年に当時王将フードサービスの代表取締役であった大東氏が射殺された事件に関連して、同社の反社会勢力との関係が懸念された問題です。

本件における第三者委員会の役割と委員選定のポイント

本件の第三者委員会の役割と委員選定

本件において第三者委員会は、王将フードサービスが反社会的勢力と関係を持っているか否かの調査を行うことや、同社のコーポレートガバナンス体制全般を調査する役割を担いました。
なお本件第三者委員会は、王将フードサービスと利害関係を持たない下記の委員で構成されています。

第三者委員会の活動スケジュール

では次に、本件問題の経緯と第三者委員会の活動スケジュールを見てみましょう。

本件問題の発端となったのは、2013年12月19日に王将フードサービスにて当時代表取締役を務めていた大東氏が射殺された事件です。2015年12月13日に一部のマスコミにて、この射殺事件に九州の暴力団組員が関与している可能性があるという報道が行われました。大企業の役員が暴力団と関与していたという疑惑が生じ、連日大きな話題となりました。

この騒動を受けて王将フードサービスは、自社の反社会的勢力との関係性を調査するために、2016年1月5日に第三者委員会を設置しました。調査はおよそ3ヶ月弱にのぼり、同年3月29日に本件調査の報告書が提出されました。

経緯をまとめると、下記のようになります。

本件の調査のポイント

本件調査のポイントは、役員32名に対して幅広くヒアリングを行った点です。同社の重役に幅広くヒアリングを行うことで、会社全体として反社会的勢力との関係があったのかを精査したのだと考えられます。

また取締役が使用していた業務用携帯電話やパソコンの履歴等も調査することで、より事実関係の確認に注力したことが見て取れます。

第三者委員会によって何がわかったのか

第三者委員会の調査により判明した事項

第三者委員会の調査では、同社の反社会的勢力との関係の有無が判明しました。

取引先データや会計データなどを調査した結果、少なくとも第三者委員会の調査に基づくと反社会的勢力との関係は認められませんでした。しかし同社の役職員に対してアンケートを行ったところ、約1.4%の人が反社会的勢力との関係を見聞きしたことがあると回答しています。したがって、客観的なデータでは証拠が見られなかったものの、反社会的勢力との関係がなかったとは言い切れないと考えられます。

また第三者委員会の調査では、同社が反社会的勢力の排除に関する研修を行ったことがないことや、同社が創業者一族に経営を支配されていた会社であったことが判明しています。

第三者委員会の調査とその影響で生じた費用

王将フードサービスは、2016年3月期の決算において、第三者委員会の調査費用として1億2,300万円の特別損失を計上しました。

また同社の問題は、社会的信用の損失として株価に対しても影響を与えました。第三者委員会の最終報告書が提出された当日(2016年3月29日)の終値は4,200円でした。しかし最終報告書によって本件問題の概要が明るみになったことで、翌日には終値が3,500円まで下落しました。

その後株価は騒動前よりも上昇したため、同社は社会的信用を回復できたと考えられます。

格付けの評価

本件第三者委員会の調査報告書は、原因分析の深度等の観点から格付け評価が行われました。本件では6名がA(良い)〜F(悪い)までの5段階により格付け評価を行いましたが、C評価1名、D評価3名、F評価2名と全体的に低評価となりました。

低評価が下された最たる理由となったのは、肝心な部分についてほとんど行われていない点です。そもそも本件第三者委員会は、同社と反社会的勢力との関係を調査する目的で設立されました。
にもかかわらず、関係を調査する上で不可欠な原因究明や元代表取締役専務へのヒアリングは行われませんでした。 以上の理由から、多くの格付け委員は調査が不十分であるとして低評価を下しました。

根本的な原因

本件の第三者委員会は、調査報告書(4ページ)でも述べているとおり、原因究明を目的とした調査を行っていないため、原因については述べられていません。

しかし調査書の記載から推測するに、反社会的勢力に関する研修が行われていないなど、反社会的勢力との関わりに対する認識が甘いことが本件の根本的な原因であると考えられます。

また同社がかつて創業者一族により支配されていた会社であったことにより、反社会的勢力との関係を制御する仕組みが機能しなかったことも原因の一つであると推測できます。

まとめ

本件の第三者委員会は、元代表取締役専務からヒアリングを拒否されるなどしたために、満足のいく最終報告書を作成できませんでした。今回事例のように、必ずしも第三者委員会の調査がスムーズに進むとは限りません。

核心部分に迫ることが第三者委員会の責務ではあるものの、そう簡単に上手くいかない点が調査の難しさであると言えるでしょう。

参考文献

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