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石垣食品の子会社における不適切会計に関する第三者委員会報告書の概要

石垣食品の子会社における不適切会計

この記事では、石垣食品株式会社の子会社にて不適切会計が行われていた問題を事例に、第三者委員会の活動スケジュールや調査結果をご説明します。不適切な会計処理問題を事例に用いて、第三者委員会の活動内容や本件問題の概要をお伝えします。

問題の背景

本件は、石垣食品株式会社の子会社である 新日本機能食品において、過去に提出した有価証券報告書に誤りがあった問題です。

本件における第三者委員会の役割と委員選定のポイント

本件の第三者委員会の役割と委員選定

本件の第三者委員会は、調査にあたって下記3つの役割を担いました。

なお本件では、下記3名の委員で構成されました。名目上は「特別調査委員会」となっていますが、独立性の高さから実質的には第三者委員会と同様の調査が行われました。よって今回は、第三者委員会として解説します。

第三者委員会の活動スケジュール

次に、本件問題が発覚した経緯から、第三者委員会の調査報告書が提出されるまでの経緯を解説します。

本件の発端となったのは、外部からの指摘で子会社である新日本機能食品について、不適切な会計が行われた可能性があると発覚したことでした。事実を調査するために同社は、2020年2 月17日に取締役会により社内調査委員会を設置し、調査を開始しました。

調査により問題は収束するかと思われましたが、調査の過程で本件問題のうち一部に関して、親会社である石垣食品の関係者の指示・関与が疑われる事案が見つかりました。事態を重くみた同社は、同年3月13日に特別調査委員会(第三者委員会)を設置し、より独立性の高い調査を実施し始めました。

調査はおよそ1ヶ月にわたり行われ、同年4月10日に調査報告書が提出されるに至りました。問題が発覚してから調査が終わるまでの経緯は以下の通りです。

本件の調査のポイント

本件は不適切な会計という専門性が高い案件であったため、公認会計士が中心となって会計データの分析や資金に関連する資料の分析などが重点的に行われました。また、子会社のみならず親会社のPCに対してもデジタルフォレジック調査が行われており、専門的な調査が大々的に行われたと言えるでしょう。

第三者委員会によって何がわかったのか

第三者委員会の調査により判明した事項

第三者委員会の調査により、下記の項目にて本来行うべき会計処理とは異なる会計処理が見つかりました。

一部の会計処理に関しては、子会社役職員および石垣食品の役職員によってわざと行われたことが発覚しました。特に2018年3月期の連結損益計算書に与える影響額は-5032.8万円と、非常に大きな金額となっていました。

第三者委員会の調査によって生じた費用・影響

同社は第三者委員会の調査で生じた費用については明らかにしていません。ですが、実態とは異なる会計処理を行った影響で、2018年3月期第3四半期から2020年3月期第2四半期までの有価証券報告書等の数字に訂正が生じました。

ただし株価に関しては、第三者委員会の調査報告書が提出された当日(4月10日)から次の日以降にかけて、下落は見られませんでした。少なくとも本件により、投資家をはじめとした社会からの信用は低下していないと言えるでしょう。

根本的な原因

本件の問題が発覚した根本的な原因として、調査報告書では下記が指摘されています。

当時同社は、2014年3月期から2017年3月期まで、3期連続で営業損失を計上しており、2018年3月期に黒字を計上しなければ、上場廃止に追い込まれる状況でした。このような危機的状況下であったために、不適切な会計処理を行ってでも業績を伸ばすというプレッシャーがあったと考えられます。

また、現場の人員に会計のルールを守る姿勢が不足していたことや、不正をチェックする機能が機能していなかったことも、不適切な会計を助長する要因であったことが調査報告書から見て取れます。

石垣食品の子会社における不適切会計:まとめ

本件は、業績をごまかすために不適切な会計処理を行った問題でした。場合によっては株主をはじめとした利害関係者の利益を損なう行為といえます。

本件のような問題を調査する第三者委員会には、問題を徹底的に究明し、利害関係者の利益を害さないように、的確な再発防止策の提言が求められるでしょう。

参考文献

特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ 石垣食品株式会社

過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び決算短信等の訂正並びに2020年3月期第3四半期の四半期報告書及び決算短信の提出に関するお知らせ 石垣食品株式会社

石垣食品(株) yahoo!ファイナンス

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