LegalSearch (リーガルサーチ)

特許権とは?認められる要件や取得方法を解説!

特許権とは

今回の記事では、知的財産権の1つである「特許権」について、認められる要件や取得方法などを分かりやすく解説します。

特許権とは

特許権とは、発明(自然法則を用いた技術的思想の創作のうち、高度のもの)を守る権利です。

発明の種類

特許法第2条では、特許の対象となる発明を以下の3種類に大別しています。

特許権を取得するメリット

特許権を取得すると、主に下記3つのメリットを得られます。

特許権の存続期間

特許法第67条では、特許権の存続期間を「出願日から20年間」としています。ただし、行政からの許可を得るのに時間を要する発明(医薬品や農薬など)に関しては、例外的に5年を限度として延長することが認められています。

特許権が認められる要件

特許権が認められるには、特許法で規定された下記5つの要件を満たす必要があります。

産業上の利用可能性がある

特許法第29条柱書では、特許権を認める大前提として「産業上利用できる」ことを明記しています。

「産業上利用できる発明」とは、かんたんに言うとビジネスで利用できる発明を意味します。したがって、ビジネスで使えない発明や実験段階の発明、現実的に実現困難な発明は特許権が認められない可能性が高いです。

新規性がある

特許法第29条1項では、発明の新規性を特許権を認める要件としています。新規性とは、出願時点で発明が世間一般に知られていないことを意味します。

したがって、下記のケースに該当する場合には新規性がないとみなされ、特許権は認められません。

進歩性がある

特許法第29条2項では、発明の進歩性を特許権を認める要件としています。進歩性とは、既存の技術を使って容易に思いつかないような発明であることを意味します。

したがって、下記のような場合には進歩性がないと判断され、特許権は認められません。

先願の発明である

特許法第39条に規定された先願の発明であることも、特許権を取得する上で忘れてはならない要件です。

簡単に言うと、同一の発明に関して複数の出願がされた場合には、最初に出願した人のみが特許権を取得できます。したがって、すでに他の企業や人物が出願済みの発明に関しては、基本的に特許権は認められません。

ただし、同一の日付に2つ以上の出願があった場合には、出願人同士による協議によって特許権を得る1名を決める必要があります。協議が不成立となると、誰も特許権を取得できないので注意が必要です。

反社会的な発明でない

特許法第32条の規定により、公の秩序や善良の風俗、公衆の衛生を害するおそれがある発明は、例外なく特許権が認められません。

特許権を取得する方法・流れ

特許権を取得するには、以下に挙げた6つの手順を踏む必要があります。

手順1:出願

まずはじめに、以下の書類を特許庁長官に提出する必要があります。

手順2:方式審査

出願を終えると、特許法に規定された要件を満たしているかどうかが審査されます。要件を満たしていない部分に関しては、補正が命じられるケースもあります。

手順3:審査請求

次に、出願日から3年以内に審査請求を実施する必要があります。出願しただけでは審査は行われない上に、3年以内に審査請求を行わないと出願は取り下げたものとみなされるので注意しましょう。

手順4:実体審査

審査請求された出願は、特許庁の審査官によって特許権を得るための要件を満たしているかが審査されます。

なお要件を満たしていない場合には、出願を拒絶した理由が通知されます。なお拒絶された場合には、意見書を提出する形で拒絶理由に反論することが認められています。

手順5:出願公開

特許の出願日から1年6ヶ月が経過すると、出願した内容が公開されます。ただし出願者にとっては、第三者から発明を模倣されるリスクが高まります。そのため特許法第65条では、出願公開後にその発明を利用した第三者に対して、補償金を請求する権利が認められています。

手順6:特許査定・設定登録

特許権の要件を満たしていると判断されると、特許を認める旨が記載された「特許査定謄本」が交付されます。最後に、特許料の納付により特許権の設定登録が行われ、正式に特許権を獲得したことになります。

特許権とは?:まとめ

特許権は、自社で発明した発明を守る上で重要な権利です。不当に利益を害されることのないように、積極的に特許権は取得しておくのが好ましいでしょう。

参考:特許法 e-Gov

モバイルバージョンを終了