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法務部も知っておくべき財務デューデリジェンスとは?

共和コーポレーションの架空循環取引

M&Aの件数はここ数年増加を続けており、2010年の約1600件に対し、2020年は約4000件と2倍以上となっています。

今回は、近年ますます注目が集まるM&Aにおいて必要不可欠な知識である「財務デューデリジェンス」について解説していきます。

M&Aにおける財務デューデリジェンスの定義

財務デューデリジェンスとは、買収対象の会社の財務情報を把握するために行われる調査のことをいいます。

M&Aにおいては買収対象の会社がどのような財務状態にあるかという点をしっかりと調査し、調査結果を慎重に見極めて、クロージングに向けた交渉を進めていく必要があります。

この点、財務デューデリジェンスを行わないと適正価格での買収が難しくなるため、買い手企業は必ず外部専門家を入れたうえで買収対象の会社における財務実態の把握とリスクの検出を行います。

財務デューデリジェンスの目的

財務デューデリジェンスを行う目的として、粉飾決算などの税務的な問題点を抱えていないかといった調査や、財務諸表に現れていない簿外債務が存在しないかといった点を洗い出すというものがあります。

もし、買収後に、税務処理が実態と乖離していたり、税務関係の申告が漏れていたりといった事などが発覚すると、買い手企業は予想外の大きな損失を受けかねません。

そこで買い手側の企業は、過去の財務状況や損益に関する状況、資金状況などを調査し、将来的に数字がどのようになっていくかという点を中心に分析を行います。

過去の数字をみて、未来を見ることができる力が必要です。

ここでは、単純な財務状況だけではなく、実際の事業内容として、買収をした場合に自社の事業とどの程度シナジーが生じるかといった点も検討したうえで将来的な数字を検討する必要があるため、経営陣や事業部と一体となりデューデリジェンスを行うことが必要です。

基本的に、会社を売りたいと考えている企業は、高値で買ってほしいと考えるのが自然です。そういったことから自社を実態よりも良く見せようとする傾向にあることが想定される場面が多いので、監査法人や公認会計士、税理士といった外部専門家に相談し、慎重に進めていきましょう。

実務の流れ

財務デューデリジェンスを行う際は、専門家に相談することは大前提ですが、大きく分けて①プロジェクトスコープの確定、②実地調査・ヒアリングという流れで進んでいきます。

①プロジェクトスコープの確定

プロジェクトスコープの確定フェーズでは、調査対象の範囲について確定します。たとえば、財務諸表や帳簿などの書面について、どの範囲の事業において、どの期間の資料を実際に調査するかといったことを細かく決めていきます。

範囲が確定したら、買収企業に関係書類を提出するよう依頼を行います。

②実地調査・ヒアリング

次に、プロジェクトスコープに従って提出を要求した書類について、実物を調査します。最近では、バーチャルデータルームなどのクラウドサービスを利用し、クラウド上で関係書類をやり取りするといったことも行われているようですが、関係書類を社内の鍵がかかる会議室などに集めてもらい、そこに実際に赴き、調査するといった運用が行われることもあります。

書面だけでは読み取れない項目については、関係者にヒアリングをしたりといったことも行われます。

法務が財務デューデリジェンスを知っておくべき理由

財務デューデリジェンスについては、財務担当のみならず、法務担当者においても状況を把握しておく必要があります。

なぜなら、財務デューデリジェンスで調査された事項は、事業計画に大きくかかわり、調査結果によってはM&A自体がディールブレイク(取引不可)となってしまうような可能性を孕んでいるためです。この点から、法務担当者はM&Aの基本合意に沿った手続きが進んでいるかという点についても状況把握をしておく必要があるということができます。

また、法務は日頃より社内のコンプライアンス体制や、取引が適切に実行されているかといった社内体制についてチェックする役割を担っています。

法務担当者が日頃より会社の取引実態を把握しておくことで簿外債務の発生のリスクや粉飾決算のリスクについて注意喚起を促すことも可能になります。

仮に、自社が買収される側の企業となった場合は、自社の体制が、他社による財務デューデリジェンスに耐えうるかという観点から日頃のチェックを行うことで、ディールブレイクとなってしまう要因を取り除くことができるかもしれません。

まとめ

今回はM&Aにおける財務デューデリジェンスというテーマで意義と流れ、なぜ「財務デューデリジェンス」について法務担当者が知っておくべきかという点を解説しました。

M&Aにおいて、直接的に企業価値算定の根拠になる項目なので、担当者はしっかりとおさえておきましょう。

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