契約書の内容を変更する場合、一般的には「覚書」と呼ばれる書面を作成します。この記事では、覚書の意味や作り方、テンプレートをわかりやすくご説明します。
覚書とは?
覚書とは、契約書の内容を変更した際に、変更事項を変更または補足した文書です。覚書を作成すれば、一から契約書を作り直す必要なく、契約内容を変更することができます。
契約書の補足的な文書として作成するものの、契約書と同様に覚書も法的な効力を持ちます。一般的には契約書の内容を変更する場合に作成されますが、会社の名称(商号)を変更したタイミングで、商号変更の旨を覚書として残すケースもあります。
覚書の作り方のポイント
契約書と同様に、覚書の作り方にもいくつかルールがあります。覚書を作成する際には、下記5つのポイントを押さえましょう。
署名と捺印は不可欠
前述した通り覚書は法的効力を持つ書面であるため、各当事者の署名と捺印は絶対に必要となります。具体的には、住所と社名、代表取締役の氏名を記載し、氏名の横に印鑑を押します。
なお「署名」とあるため、パソコンを使って名前を印刷したり、他人に代筆してもらうのではなく、当事者が自らご自身の手で氏名を記載しなくてはいけません。
「契約(書)の名称」と「変更点」を記載
覚書には、変更する契約内容について具体的に記載する必要があります。具体的には、変更対象となる契約(書)の名称と、変更の内容をそれぞれ記載します。
文章では分かりにくいと思うので、具体的な例を下に示します。
「平成30年6月23日にA(以下、甲という)とB(以下、乙という)の間で締結した〇〇契約について下記のとおり変更する契約を締結する。
第3条の「×××」を「△△△」に変更する。
必要に応じて効力が発生する日付を記載
覚書の効力は、何も記載しない場合は署名と捺印を行なった時点で効力を持ちます。
ただし、署名・捺印の時点から効力を持つことを避けたい場合や、特定の日付から効力を持たせたいケースもあるでしょう。その場合には、いつから効力が発生するかを覚書に明記する必要があります。
たとえば前述の例で、変更内容の効力を令和2年2月10日から発生させたい場合は、次の通り記載します。 「第3条の内容は、令和2年2月10日より効力が発生する。」
当事者同士が覚書の内容について合意している旨を記載
当たり前ですが、契約内容の変更については先方から合意を得る必要があります。合意を経ずに突然覚書を渡すと、不信感を持たれるので注意が必要です。
絶対に必要という訳ではないものの、各当事者が内容変更について合意している旨を覚書に盛り込んでおくと良いでしょう。合意している旨を覚書の中に記載しておくことで、効力をより確実なものにできます。
収入印紙の貼り付けが必要となるケースもある
覚書が課税文書に該当する場合、収入印紙の貼り付けが必要となります。収入印紙とは、課税文書に課される印紙税を納税するために用いるものです。
下記の条件に該当する場合は、覚書は課税文書となり収入印紙の貼り付けが必要です。
- 印紙税法別表第一に掲げられている課税事項に該当する
- 印紙税法第5条の規定により定められた非課税文書でない
- 当事者間で課税事項を証明する目的で作成された文書である
結論から言うと、ビジネス上重要な項目について記載されている場合は課税文書となります。基本的には印紙税法を各自確認して、寡勢文書に該当するか判断する必要があります。ご自身で判断しきれない場合には、税務署に判断を仰ぐのが確実でしょう。
参考:印紙税法 e-Gov
覚書のテンプレート
最後に、覚書の作り方の一例と、無料でダウンロードできる覚書のテンプレートをご紹介します。
覚書の作り方の例
ここまでお伝えした作り方を基に、簡単な覚書の一例を示すので参考にしてください。ただしここで示すテンプレートはあくまで一例ですので、実際にはご自身の契約状況によって適切な形式に直してください。
平成30年6月23日にA(以下、甲という)とB(以下、乙という)の間で締結した〇〇契約について、下記のとおり変更する旨を合意し、契約を締結する。
第3条の「×××」を「△△△」に変更する。
第3条の内容は、令和2年2月10日より効力が発生する。
令和2年1月15日
甲住所 〇〇県××市〜
会社名:〇〇株式会社
代表者氏名:△△ 印
乙住所 〇〇県××市〜
会社名:〇〇株式会社
代表者氏名:△△ 印
以上
無料でダウンロードできる覚書のテンプレート
インターネット上には、無料でダウンロードできる覚書のテンプレートもたくさんあります。テンプレートを見れば一目で覚書の作り方がわかるので、こちらも参考にしてみてください。
参考:覚書のテンプレート・Word | 無料のビジネス書式テンプレート
覚書とは何か?作り方のポイント5選:まとめ
若干の決まりこそあるものの、覚書の作成は契約書と比べるとそこまで難しくありません。契約書の内容を変更する機会があったら、ぜひ今回説明した覚書の作り方を参考にしていただければ幸いです。