業務委託契約書とは、個人事業主が仕事を行う場合や、フリーランスや他社に業務を外注する際に必要となる契約書です。この記事では、業務委託契約書の概要や印紙の有無、テンプレートをご紹介します。
業務委託契約書の概要
業務委託契約書とは、企業が雇用契約を結んでいない相手(個人事業主や法人)に業務を代わりに行ってもらう際に締結する契約書です。法律には「業務委託」という名称がないため、実際には「請負契約」または「委任(準委任)契約」のいずれかの契約で作成します。
たとえばホームページの作成を制作会社に依頼する場合や、外部の経営コンサルタントとコンサルティング契約を締結する場合に、業務委託契約書が必要となります。
業務委託契約書に収入印紙は必要?
業務委託契約書を作成するに際して、最も気になるのが収入印紙が必要かどうかです。同じ業務委託契約書でも、契約内容によって収入印紙が必要かどうかは異なります。
後からペナルティを課されないためにも、あらかじめ収入印紙が必要なケースとそうでないケースを知っておきましょう。
委任だと不要、請負契約では原則必要
結論から言うと、委任契約に該当する業務委託契約書には収入印紙は不要です。 一方で請負契約に該当する業務委託契約書の場合には、原則収入印紙が必要です。ただし契約金額が1万円未満の場合には、請負であっても収入印紙は必要ありません。
請負かどうかの判断方法
「仕事の完成」を目的とする契約内容ならば請負、「業務の遂行」を目的とする契約内容であれば委任と判断します。
実際の判断方法は契約ごと異なるのでケースバイケースです。完成物の仕様や基準が細かく契約書に規定されている場合は「請負契約」であると判断するのが一般的です。
※この章でお伝えした内容はあくまで一般論です。実際に請負か委任かを判断するには、法律に関する専門知識を要します。ご自身で判断に迷ったら、かならず法律の専門家(弁護士など)にご相談しましょう。
業務委託契約書の書き方
次に、業務委託契約書の書き方(記載内容)を解説します。業務委託契約書には、主に下記内容を盛り込みます。
- 委託業務(どんな業務を委託するのか)
- 委託期間(どれくらいの間業務を委託するのか)
- 委託料金と支払い(業務の報酬と報酬をいつまでに支払うか)
- 成果物の権利帰属(作成された成果物の権利は誰のものか)
- 秘密保持(情報の漏洩を禁止すること)
- 報告義務(相手の求めに応じて業務の報告を行うこと)
- 契約解除(契約違反の場合に契約を解除し、損害賠償を請求できること)
- 協議(上記で定めていないことについて、その都度協議して定めること)
必要に応じて、業務の再委託に関する事項や、管轄の裁判所に関する事項を盛り込むケースもあります。
業務委託契約書の注意点
業務委託契約書を作成するにあたっては、下記2つの点に注意が必要です。
委託業務の範囲は明確にしておく
業務委託契約書を作成する上で、最も注意すべきは委託業務の範囲です。
委託する業務の範囲が明確でないと、希望していた範囲までの業務内容を相手方が遂行してくれない可能性があります。逆に受託側から見ると、業務範囲が明確でないと、後から追加で業務を任されるかもしれません。
こうしたリスクを避けるためにも、委託業務の範囲は明確にしておくことが重要です。
偽造請負に該当するリスクがある
業務委託契約の場合、仕事を受けた側は基本的には自由に業務を進めることが可能です。業務委託という形態をとったにも関わらず、委託した側が指揮命令を行うと「偽装請負」とみなされるリスクがあります。
偽装請負とは、本来は雇用契約を結ぶ必要があるにも関わらず、業務委託契約(請負契約)を締結している状態を意味します。偽装請負に該当した場合、企業側は処罰を受けるリスクがあります。
偽装請負に該当しないためには、指揮命令などを行わないことで、雇用関係があるとみなされないようにすることが重要です。
業務委託契約書のテンプレート
よほど複雑な契約内容でない限り、インターネット上にあるテンプレートを使って業務委託契約書を作成するのがオススメです。テンプレートにはあらゆる契約内容に共通した重要事項がすでに記されているため、空欄を埋めたり記載内容を多少変えるだけで、簡単に業務委託契約書を作成可能です。
無料でダウンロードできるテンプレートの中でも、特にオススメは文例書式テンプレート集というサイトで公開されている「業務委託契約書テンプレート(Word・ワード)」です。最低限業務委託契約書に必要な項目が記載されている上に、Word文書で作成されているため誰でも手軽に活用できます。
業務委託契約書必要となったら、まずはこのテンプレートを使って作成してみましょう。万が一内容に不足があれば、弁護士などを介して本格的な業務委託契約書を作成すると良いでしょう。
業務委託契約書とは:まとめ
業務委託契約書は、外注先や発注先とのトラブルを避ける上では必須の契約書です。作成自体は難しくないものの、収入印紙の有無が契約内容によって異なる点には注意しましょう。