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確定申告時の医療費控除計算にはご注意を

確定申告時の医療費控除計算

年間で支払った医療費がある程度大きい方は、確定申告の際に「医療費控除」を適用し、納税額を減らすことができます。しかし医療費控除の計算には落とし穴があり、気づかずに大損する可能性があります。

そこで今回は、医療費控除の計算で注意すべきポイントを解説します。

医療費控除とは

医療費控除とは、支払った医療費が10万円を超えた場合において、200万円を上限に所得から控除できる制度です。なお本人だけでなく、生計を一にする配偶者などの親族が支払った医療費も控除が認められます。

医療費控除の対象

主に以下の費用が医療費控除の対象となります。

要するに、病気や障害などの治療、介護などにかかった医療費を控除できるわけです。一方で疲労回復を目的としたマッサージや美容整形、健康増進を目的とした医薬品の購入などにかかる費用は控除対象外となるので注意しましょう。

※参考: No.1122 医療費控除の対象となる医療費 国税庁

医療費控除の計算式

医療費控除の金額は、以下の計算式を使って簡単に求めることができます。

つまり補てん金額を考慮しない場合、年間で10万円以上の医療費がかかった方であれば、医療費控除を適用できるのです。たとえば医療費が40万円、所得が500万円の場合、医療費控除額は40万円−10万円=30万円となります。

確定申告の際には「補てん金額」に注意!

確定申告の際には、ご自身で医療費控除額を計算する必要があります。そこで注意したいのが「補てん金額」です。実は多くの方が補てん金額を差し引く方法に対して誤解しており、それが原因で税金を損している可能性があります。

補てん金額は「給付金の対象となる費用の金額が上限」

先ほどの計算式を見ると、保険などで支払われた補てん金額を全額差し引かなくてはならないと思うでしょう。ですが実は、給付金の対象となる医療費の額が差し引く金額の上限となります。

たとえば医療費が50万円、民間の保険から入院給付金として120万円を受け取ったとしましょう。この場合、補てん金額は120万円ではなく、支払った医療費の金額(50万円)となります。

補てん金額の計算を間違えるとどのくらい損をするのか?

どのくらい損するかを理解しやすくするために、下記の簡単な例を使って考えてみましょう。

間違った認識(70万円を全額補てん金額として差し引く)に基づいて計算すると、医療費控除は以下のとおり0円となってしまいます。

一方で正しい認識に基づくと、給付金のうち補てん金額として引くべきなのは「妻が支払った医療費の上限額(40万円)」です。したがって医療費控除は、以下のとおり計算されます。

所得税率が10%であると仮定した場合、50万円×10%=5万円も節税できる計算です。間違った認識で計算する場合と比べて数万円以上も納税額が変わってくるため、必ず正しい方法で医療費控除額を計算しましょう。

医療費の補てんとして給付されないものは差し引く必要がない

がん診断給付金をはじめとして、給付金の中には医療費の補てんを目的としないものも少なくありません。あくまで医療費控除における補てん金額は、医療費の補てんを目的に支給されるものが対象です。

したがって、医療費の補てんが目的でない給付金に関しては、補てん金額として差し引く必要はありません。こちらも誤った認識で差し引くと、納税額が大きく増えるおそれがあるので注意です。

過去の確定申告を間違えて行った場合は「更生の請求」を行おう

この記事を読んでいる方の中には、「補てん金額を余分に多く差し引いてしまい、納税額が本来よりも多くなってしまった」という方も少なくないでしょう。そのような方も、過去5年分までであれば、確定申告の内容を訂正する手続き(更生の請求)を行えます。

更生の請求を行えば、払いすぎた税金を取り戻すことができます。確定申告の手続きと比べると面倒ではあるものの、人によってはかなりの金額を取り戻せるのでぜひチャレンジしてみましょう。

確定申告時の医療費控除計算にはご注意を:まとめ

医療費控除の計算には落とし穴があり、やり方を間違えると税金を払いすぎる事態となります。余分な税金を支払わずに済むためにも、今回お伝えした内容をもとに確定申告を行っていただければと思います。

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