会社を設立した時には、法務局で会社登記をしなければなりません。しかし、会社登記は複雑だと感じている人は多いようです。そこでこの記事では経営者や法務部門が理解すべき要点を解説します。ぜひ参考にしてください。
会社登記とは?
会社登記とは、会社設立時に取引上の重要項目を法務局に届ける手続きのことを指します。会社の名前(商号)や所在地のほか、代表者名、事業目的などを一般開示するための手続きです。
株式会社はもちろんのこと、社団法人や財団法人、NPO法人、特例有限会社、持ち分会社も法人登記が必要です。ちなみに、個人事業主は登記不要で、税務署に開業届を出せば済みます。
登記情報は誰でも閲覧可能で、取引をする上での信用となります。登記した内容を変更する際には変更登記が必要となります。 社名変更や移転、代表の住所変更、事業目的に変更(新規事業開始を含む)、役員変更などの際に変更登記をしなければなりません。
会社登記の手続き方法と必要書類
会社登記を行う前に、設立の準備が必要です。会社の概要を決め、類似商号がないかチェックしましょう。同一所在地に同一商号は認められていませんので注意が必要です。
それから、事業目的を具体的に定めた上で、会社の実印を作る必要があります。印鑑証明も取っておかなければなりませんので想定しておきましょう。
ここまでが終われば、会社の規則である定款を作り、資本金を銀行に払えば事前準備は完了です。いよいよ会社登記を行うことになります。会社登記の手順と必要書類について紹介します。
会社登記の手順
会社登記を行う際には、後述の必要書類を揃えて法務局に申請するだけです。書類に不備がある場合は「補正」という訂正が必要となるので気を付けましょう。
登記申請は本店所在地を管轄している法務局に行います。申請後およそ7~10日ほどで手続き完了となります。変更登記の場合は、登記事項に変更があった時から2週間以内に届け出が必要となります。期限を超えていても受付はされますが、代表者に100万円以下の罰金が科せられる場合があるため注意が必要です。
会社登記の必要書類一覧
会社登記の必要書類については、以下一覧表をご確認ください。不足なく準備する必要があります。
設立登記申請書 | 法務局のサイト内にある「商業・法人登記の申請書様式」ページからフォー マットのダウンロード可能。 |
定款 | 定款の謄本が1部必要(作成済みであること)。 |
登録免許税納付用台紙 | 登録免許税の収入印紙用の台紙。登録免許税分の収入印紙をA4の用紙の中心に貼り付ける必要あり。登録免許税は「資本金額×0.7%(株式会社の場合)」。15万円に満たない場合は15万円となる。 |
発起人決定書 | 発起人議事録のこと。発起人が商号や目的、本社所在地などを決定したという書類。定款によって「代表取締役を株主総会で選定する」と指定している際は、発起人決定書に代表取締役の氏名が必要。 |
代表取締役の就任承諾書 | 代表取締役就任承諾の証明書。取締役が1名の場合で代表取締役兼務の場合は不要。 |
取締役の就任承諾書 | 取締役就任承諾の証明書。 |
監査役の就任承諾書 | 監査役の就任承諾書の証明書。 |
取締役の印鑑証明書 | 取締役の印鑑証明書が必要となります。取締役全員分必要。(取締役会がある場合は代表取締役のみで可) |
印鑑届書 | 実印の届け出に必要な書類。 |
出資金の払込証明書 | 出資金払込の際に作った銀行通帳の表紙、裏表紙、入金したことが分かるページのコピー。製本した上で各ページに割り印が必要。表紙には払込証明書との記載が必要。 |
登記すべき事項を記録・保存した記録媒体 | 登記すべき事項は、申請書に代えてCD-Rなどに記録・保存して提出可能。 |
どうやって申請するの?
法人登記の方法は、法務局で直接行う方法、ネットで行う方法、郵送で行う方法があります。それぞれの内容を具体的に見て行きましょう。
法務局で申請
法務局の窓口に出向いて、必要書類一式を提出する方法です。分からないことがあれば窓口で質問ができるというメリットがあります。
先述のように、手続き後7~10日ほどで登記完了となりますが、わざわざ連絡は来ませんので知っておきましょう。 ただし、書類に不備があった時には連絡が入りますので、その際に指定される期限内に再提出が必要となります。
ネットで申請
法務局に出向くのが面倒であれば、ネットで申請も可能です。「登記ねっと 供託ねっと」から手続きをしましょう。
ネット申請の場合は専用ソフトをダウンロードして行います。書類の不備も申請ソフトで行うことができるため、手軽で便利な方法です。 ちなみに、ネット申請の場合は電子署名が必要となりますが、電子定款(定款をPDF化したデータ)を作成している場合には不要です。
郵送で申請
郵送での申請もできます。郵送方法の指定はありませんが、重要書類ですから郵送の証拠が残るように、簡易書留や特定記録で送ることが一般的です。
郵送の場合は発送日ではなく、法務局への到着日が会社設立日となるので知っておきましょう。不備の修整は、法務局に再提出するか、郵送で行うことになります。
まとめ
会社登記は複雑に思えるかも知れませんが、必要書類をきっちりと準備すれば後は提出するだけです。必要書類を揃えるのが面倒に思えるかも知れませんが、手続き自体は複雑ではありませんので、不備なく書類を準備しましょう。