2021年、日本国内におけるM&Aの件数は前年比14.7%増加の約4,300件となり過去最多を記録したというデータもあるくらい、件数を右肩上がりに増やしているM&A。
近年は、金融政策の緩和やDXの推進といった点も追い風となり、今後も件数が増加することが期待できます。
今回は、いまさら聞けない「M&Aとは?」から、その方法とメリットについて解説していきます。
M&Aとは
M&Aとは、「Mergers and Acquisitions」の略で、日本語に直訳すると「合併」と「買収」です。2つ以上の会社が合併するケースや、ある会社が他の会社を買収するケースなど、企業間の提携をひとまとめにして「M&A」といいます。
M&Aの目的とメリット
M&Aを行う目的は大小様々ですが、大きく分けて2つあります。
1つは、合併や買収をすることで企業の大きな成長を見込めるというビジネスシナジーです。そして2つ目は、売り手側がキャピタルゲインを得て、投資資金を回収するイグジットです。
細かく見ていくと、後継者がいない企業が、自社の企業を継続できる企業に事業を売却したり、従業員の雇用を守るためであったり、個人資産の増加を狙ったケースなどもあります。
これらはM&Aの目的であり、大きなメリットともなります。
M&Aの種類
M&Aには、抗議のM&Aと狭義のM&Aと呼ばれている2種類の枠組みがあります。
合弁会社を設立する場合や、株式の持ち合いを行う場合を含む「広義のM&A」もありますが、狭義的な意味で「M&A」という場合は以下のような分類となります。
企業は、これらM&Aのスキームのうち、自社にとってどれが一番企業価値向上につながるかを検討します。
相手企業は完全に子会社化したいと考えた場合のスキームと、事業の一部を譲り受ける場合では当然スキームも、リスクも、金額も異なります。
M&Aと一口にいっても、様々であるという認識を持ったうえで、自社の目的と最も合致する方法を選択しましょう。
なお、どのスキームを取るにしてもそれぞれ登記事項や会社法をはじめとする様々な法的手続きが発生することとなるためその工数についても把握しておく必要があります。
M&Aの流れ
M&Aは大きく分けて以下のような流れで進んでいきます。
自社が何を目的にM&Aを行うか、いわゆる「自社のニーズ」を把握したら、M&Aの対象企業をリストアップし、絞り込んでいきます。
次に対象先にアプローチし、具体的な情報を交換します。もちろん双方合意が前提ですが、これがまとまると、具体的な金額をはじめ、資料を開示し最終条件を決定していきます。
DD(デューデリジェンス)では、ビジネス、財務、税務、法務といったあらゆる観点からリスクを検出し、それを元に交渉していくことになります。
M&Aにかかる期間
M&Aにかかる期間は、平均すると9か月といわれています(参考:M&Aはどのくらい時間がかかる?M&Aプロセスの概要を解説)。
しかしながら、当然M&Aの規模や交渉状況、会社規模や意思決定フロー、社会や経済事情による変化によってクロージングまで5年以上を要するものもありますので、結局のところケースバイケースとなります。
また、クロージングして終了ではなく、事業譲渡といった場合には運用フローやノウハウなどの引継ぎが発生することがあります。その場合はさらに数か月から数年かかるものもあります。予定より時間がかかってビジネスチャンスを逃してしまったということのないようにしましょう。
まとめ
M&Aは、手続きが複雑であることはもちろん、相手方との生きた交渉をし、自社に有利なように進める必要があります。
売主側であれば、当然自社の価値が高いと考えていますし、買主側であれば相手からの提出資料に基づき、契約書をはじめとするあらゆる手段を用いてリスクをコントロールする必要があります。
とくに、この場では初めて対面する相手方であれば、双方の意見がすぐにまとまることは難しいのではないのでしょうか。
そのようなパワーをかけた先に、双方にとって大きな利益が生まれるように進めるには専門家の選定が非常に重要なポイントとなります(専門家を入れないという選択肢はないといってよいでしょう)。
M&Aを検討した最初の段階から自社のリスクを適切に洗い出し、適切なアドバイスをしてもらえる専門家を見つけてください。