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M&Aにおけるデューデリジェンスとは? ~目的と種類について解説~

Businessman working on laptop with DUE DILIGENCE inscription, new business concept

社会人であれば誰もが一度は聞いたことがある「デューデリジェンス」。

今回はデューデリジェンスの目的と種類について解説していきます。

M&Aにおけるデューデリジェンス

デューデリジェンスとは、買収や投資対象である会社の価値について判断することをいいます。専門家の間では「DD」や「デューデリ」と略されることもあります。

突然ですが、ある会社を調べようと思ったときに何を見ますか?

まずは手軽に見ることができる情報として、その会社のホームページや公開されているB/S・P/Lなどの計算書類があります。

さらには、商品を販売している会社であればその会社が実際に販売している商品を使ってみるといった外部に公開されている情報を元に調査をすることになると思います。

しかし、買収や投資をしようと考えた場合にはそれだけでは十分とはいえません。

外部から見るだけでは知ることのできない内部的な情報を、デューデリジェンスを通じて明らかにしていきます。

デューデリジェンスの目的は、意思決定のための情報を集め、デューデリジェンスの対象となった会社を知ることです。

様々なデューデリジェンスを経て、その会社が買収するべき対象か否か、買収するとしたら買収額はどのくらいになるか、買収の障害となるようなことはないか、買収後に自社に対して悪い影響を及ぼさないかといったことを判断します。

デューデリジェンスの種類

では具体的にどのような種類があるのかを紹介します。

デューデリジェンスは大きく分けて以下があります。

1. ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスとは、買収対象の事業そのものを調査することです。買収対象事業の製品、サービス自体や顧客をはじめとした情報を集め、事業自体の将来性や、買収した場合の自社事業とのシナジーを判断し、買収後の算定の基礎とします。

買い手だけで判断が難しい場合にはファイナンシャルアドバイザー等の外部専門家を使うこともあります。

2. 財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスは、買収対象の会社の財務情報を把握するために行われる調査です。計算書類を見るだけでは判断できなかった財務情報を買収価値の算定の根拠とするために行われます。財務情報とビジネスデューデリジェンスで判断した内容を掛け合わせて事業の成長度を分析するといった役割も担います。

財務デューデリジェンスは、公認会計士等の外部専門家が参加することがほとんどです。

3. 税務デューデリジェンス

税務デューデリジェンスは、買収対象の会社が過去に適切な税務申告を行っていたかを確認するために実施される調査です。加えて、予定しているスキームでM&Aを実施したときにどのような課税がされるのかという点も判断されます。ここでも公認会計士や税理士といった外部専門家が参加し、行うことがほとんどです。

4. 法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスは、買収対象の会社の株主状況をはじめ、契約関係や許認可、労務状況や訴訟の有無などを調査し、法的なリスクを洗い出すために実施されます。想定していなかった契約内容に関する問題や労務問題が発生した場合にはM&A自体を取りやめるか、買収金額を減額するといった手段を取ります。

法務デューデリジェンスには弁護士が外部専門家として参加することがほとんどです。

5. 知財デューデリジェンス

知財デューデリジェンスでは、買収対象の会社が取得している特許などの知的財産についての権利範囲や引用情報を調査し、価値算定を行うために実施されます。将来性の高い技術であったり同業他社との競争優位性を確立する参入障壁となり得る特許であったりと、事業に直結する特許を取得していると価値が高くなるといった判断がなされることが多くあります。外部専門家として弁理士が参加することもあります。

6. 不動産デューデリジェンス

不動産デューデリジェンスは、買収対象の会社が土地や建物を所有している場合に、その土地や建物を調査し、会社の判断価値の基礎とするために実施されます。

外部専門家として建築士や、土地家屋調査士が参加することもあります。

7. ITデューデリジェンス

ITデューデリジェンスでは、買収対象の会社がどのような情報システム体制かを調査し、維持コストやインシデントリスクの高低を判断します。

問題点が発見されたら

デューデリジェンスを経て問題点が検出された場合は、取引自体を中止することや、価格の変更、スキームの変更といった対応をする必要があります。

たとえば、株式譲渡による買収を検討した場合に、他社との契約条件によって予定していた株式を譲渡できないという問題点が検出されたとします。その場合は、買収を中止するか、当初の予定を変更して一部の株式のみで譲渡をするか、あるいは株式譲渡ではなく事業譲渡や分割といった別のスキームに変更するといったことが考えられます。

このように、デューデリジェンスを行うことで、当初は知り得なかった問題点が浮き彫りになることがありますので、デューデリジェンスで浮かび上がってきた事項を客観的に分析して最善の判断をできるようにしましょう。

まとめ

今回の記事ではデューデリジェンスの意義と種類を紹介しました。M&Aにおけるデューデリジェンスではどのようなことが行われるのかを知り、会社の価値を上げるためにはどうしたらいいか、また、問題があったときに何をしなくてはならないかを把握しておきましょう。

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