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高まる法務×テレワークの必要性

法務×テレワークの必要性

コロナ、オリンピック…社外で業務を行う必要性が高まる

コロナウイルスによる感染被害の大規模な拡大により、世界的に外出が困難な状況になっています。無論、日本も例外ではありません。現在、多くの企業がテレワークを余儀なくされています。

また、コロナウイルスによる感染被害が終息したら、今まで通り出社して業務を行える日々に戻るとは言い切れないところがあります。日本はこの先、東京オリンピックを控えています。そして、多くの外国の方が来日することにより、交通機関の混雑が予測されています。そうなれば、また出社が困難な状況となるでしょう。

こうしたことから、日本企業にとって、社外においても業務効率を下げることなく業務を行えるようなテレワーク体制を構築する必要性が高まっています。

それでも法務担当は会社へ行かなければ仕事ができない

このように、テレワークの必要性が高まっている状況であっても、法務に関しては一筋縄ではいきません。これは法務という業務内容によるものであり、企業がテレワーク体制を構築したからといって解決される問題ではありません。「うちの会社は、しっかりテレワーク体制が構築されたからどの部署も社外での業務も問題ないだろう」などと考えていると、法務の業務は滞ることになるでしょう。

法務×テレワークを可能にするには、まず法務×テレワークにおける課題を認識する必要があります

法務×テレワークの課題

契約書は社外へ持ち出せない

法務の業務の中に、契約書のチェックがあります。これは、自社に不利益な条項は含まれていないか、条項の内容を自社の運用上履行が可能であるかなどをチェックする業務です。

契約書には、社外の人間に見られてしまってはいけない情報が、一つの契約書においても沢山盛り込まれています。また、契約書に限らず、契約に関する自社の重要な書類を参照することがあります。ほとんどの企業は、こうした機密情報を社外に持ち出すことは禁止されているのではないでしょうか。

テレワークの法的問題

契約書や会社の情報について社外に持ち出すことについて禁止する旨の規定がなかったり、原本の持ち出しは禁止されていて、そうした情報が入っているパソコンを持ち出すことについては禁止されていなかった場合でも、法務担当者はこれらを社外へ持ち出すことは避けたがるでしょう。

例えば、契約書には自社の情報だけでなく契約の相手方の情報も含まれています。多くの契約書には秘密保持義務を規定した条項があり、これに違反した場合には損害賠償を負う旨の規定がなされています。契約書を社外に持ち出して、万が一これを紛失し、または契約書に記載された内容が社外の人間に流出した場合、損害賠償責任を負うことになるばかりか、ステークホルダーの信用も損ないかねません。

したがって、法務はテレワークをするにあたり、このようなリスクを負うことは極力避けたいのです。

印鑑は会社に眠る

問題は先の持ち出しに関するものに止まりません。契約書は、法務のチェックを経た後に記名・押印がなされます。では、押印をするための印鑑はというと、会社にあります。押印のない契約書を相手方に郵送するわけにもいきませんので、ここで契約書はストップしてしまうことになります。

他部署との連携がストップ

法務は、法務の中で独立して完結させられる業務が一般的には極々限られています。先の契約書を例にしますと、営業の方が取ってきた案件について契約を締結するために、法務が契約書を作成しチェックします。製品の仕様に関する点など、法務では詳しく分からない部分などについては案件を取ってきた営業の方や詳しい方に聞くほかありません。

Web会議などによって、離れている場所であっても一定程度のやり取りや相談は可能ではありますが、実際に相談して現物をお互いに確認し合いながら話を進めることと比較したら、効率は低下するでしょう。

会社にある書物を参照できない

法務といえども、法律について何でも詳しいわけではありません。法科大学院を修了し、司法試験に合格された方でも、触れたことのない法律は山ほどあります。特に、企業に入ると各分野に必要な細かな法律についても解釈や見解が求められます。

そうなると、法務の方は、リーガルマインドをもって該当する法律の専門書を読み、理解し、「今回のケースではこの法律は適用されるのか否か」などの回答を出します。法務業務にとって専門書は欠かせないものなのです。予め「この本とこの本は必要だから持って帰ろう。あとは、なくても大丈夫かな」と当たりをつけることは出来ますが、いつ、どのような法的知識が求められるか予測できない部分もあります。 したがって、テレワークを開始して会社にある専門書を確認できないとなると、法務としての回答を出すことが困難となってしまう場合があります。

もし法務がテレワークをしなければならなくなったら

先に挙げたように、法務がテレワークを十分に行うには課題が多数あります。しかし、コロナウイルスのような不測の事態により、それでもなお多くの企業の法務担当者はテレワークを余儀なくされています。このような場合、法務はどのようにテレワークをすべきか、法務に配慮したテレワーク体制をどのように構築したら良いか、考える必要があります。

業務を絞って自宅に持ち込む

業務を絞って自宅に持ち込むというのが、一般的なテレワークのあり方ではないでしょうか。法務担当者が複数名いる企業であれば、日ごとに出社組とテレワーク組を分け、交互に出社させることで、役割を分担することが可能です。

しかし、契約書の作成やチェックは、引き継いで業務を分担することが困難な業務です。したがって、役割を分担した場合であっても、企業によっては出社していない状態では契約書の作成やチェックの業務は一旦止まらざるを得なくなるといえます。

電子契約サービスを利用する

これまで例に出してきた契約書に関しては、電子契約サービスを利用することで多くの課題は解決されます。電子契約サービスにログインすれば、手元に書類がない場合であっても、契約書の作成やチェックが可能となります。また、パソコン内部に契約書等のデータを残す必要がなくなるため、リスク面においても大幅に削減することができます。

また、法務以外の方も、ユーザーとして登録することにより、電子契約サービス内に登録した契約書などのデータを閲覧できるようになるので、契約書の内容を離れた場合であっても共有することが可能になります。

法律に特化した書籍閲覧サービスを利用する

現在では、月額支払うことで無制限に閲覧することができるサービスがあります。このようなサービスを利用することで、急に参照したい専門書が必要になっても、自宅からアクセスし、閲覧することができます。

また、テレワークに限らず、会社にはない専門書が必要となった場合でも、このサービスを利用することで、わざわざ購入することなく専門書を参照することができます。

高まる法務×テレワークの必要性:まとめ

現在では、文書管理システムのような法務マネジメントサービスや判例検索システムに限らず、電子契約サービスや書籍閲覧サービスなど、法務を古典的手順から開放するようなサービスが展開されています。このようなサービスを利用することで、テレワークを行った場合であっても業務効率の低下を最小限にすることができ、法務×テレワークの実現が可能となるでしょう。

社会は日に日にデジタルトランスフォーメーションが進んでいるにも関わらず、法務では依然として古典的手順に則った業務が行われています。テレワークの必要性が高まっているこの状況をきっかけに、法務においてもデジタルトランスフォーメーションが図られることになるといえます。

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