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国際紛争解決手段「国際仲裁」とは!?

打倒GAFA

2021年12月キリンホールディングスがミャンマーの国家系企業との現地合弁解消に向け、シンガポール国際仲裁センター(SIAC)に仲裁を提起したと発表しました。

キリンホールディングスのように、企業の海外進出が一般的となった現代、企業にとって紛争の可能性は国内だけでなく、海外にも拡大しています。言語や文化だけでなく、法律も異なる海外において紛争解決を行うことは、企業にとって莫大なエネルギーを消費するものです。そんな国際紛争における解決手段の1つが「国際仲裁」です。

仲裁過程を非公開で進めることができるなど、企業において多くのメリットがある「国際仲裁」ですが、皆さんはどのくらいご存知でしょうか。

本記事では、「国際仲裁」と「裁判」の違いやメリット、また「国際仲裁」における日本の現状などをご紹介いたします。

「国際仲裁」とは?

「国際仲裁」とは国際的な取引において、当事者の同意に基づき、当事者以外の第三者である仲裁人に判断を委ね、「仲裁判断」を下す紛争解決手段です。

※この仲裁判断は裁判における判決と同等の効力があります。

「国際仲裁」と「裁判」の違い・メリットとは?

1)執行の容易性

「裁判」は基本的に現地の法律を基本とするため、国際執行が容易ではありません。一方、「仲裁」は世界160ヵ国以上が参加しているニューヨーク条約の加盟国においては原則、承認、仲裁判断の執行が可能です。

※ニューヨーク条約に規定された拒絶理由、各法域特有の拒絶事由にあたる場合は例外有り。

2)秘密性

「裁判」は原則、手続き・判決共に公開となります。一方、「仲裁」は、手続き・仲裁判断ともに非公開で進めることができるため、企業秘密の保護、レピュテーションリスクの回避が可能です。

3)中立性

「裁判」における判断者は裁判官、「仲裁」における判断者は仲裁人です。

 裁判官を当事者が選択することは不可能ですが、仲裁人は当事者が選択可能です。

4)柔軟性

「裁判」は全ての過程をオンラインで完結させることはできません。一方、「仲裁」はオンライン手続きが主流となっています。

5)迅速性

上告制度のある「裁判」とは違い、「仲裁」は原則、一審性であるため早期に解決できることも多いとされています。

JCAAが発表した2011から2020年の間に終結した仲裁事件における平均手続期間は12.8か月でした。(仲裁廷成立日から仲裁判断日まで。手続停止期間を含む。)

※引用:https://www.jcaa.or.jp/arbitration/statistics.html

「国際仲裁」における注意点

「国際仲裁」を利用する際に、必ず必要となるのが当事者間の合意です。

紛争が発生した後に、仲裁合意を結ぶことも不可能ではありませんが、契約締結時に予め「仲裁条項」として規定しておいた方が無難と言えるでしょう。

日本における「国際仲裁」

世界的に見ると、法的紛争解決手段として「仲裁」が多く利用されるようになってきている一方、日本を仲裁地とした「仲裁」が行われるケースは未だ多くありません。

実際、仲裁当事者が日本企業である場合でも、日本以外の諸外国を仲裁地に選定するケースが多いのが現状です。

これらの原因としては、かつて先進的な仲裁専用施設がなかったこと、仲裁における知識や経験のある仲裁人・仲裁代理人が多くないことが考えられています。

そこで、近年日本においても以下のような、新たな動きが見られます。

2018年2月:「一般社団法人 日本国際紛争解決センター」設立(JIDRC)

2018年5月:日本初国際仲裁・ADR専用審問施設「日本国際紛争解決センター(大阪)」大阪・中ノ島に開設

2020年3月:「日本国際紛争解決センター(東京)」が東京・虎ノ門に開設

まとめ

メリットが多いように見える「国際仲裁」。日本においても専門機関が増えるなど、国際取引において「仲裁」という手法が一般化する日は、そう遠くないかもしれません。

世界的に自由な海外渡航を難しくしたコロナウイルスの蔓延もオンライン主流で手続きを進められる「仲裁」普及の一役を買いそうです。

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