タバコを吸わない人にとって受動喫煙は迷惑以外の何物でもありません。喫煙者にとっても、知らず知らずの間に他人へ迷惑をかけるのは望まないことでしょう。そこでこの記事では2020年に施行される改正健康増進法について解説します。ぜひ知っておきましょう。
改正健康増進法とは?
国民の健康のため、改正健康増進法が2018年7月に成立し、2020年4月1日から施行されます。改正される法律の内容をひと言でいうと、受動喫煙防止です。
タバコは吸う人だけでなく、他人への健康被害にもつながるため、改正健康増進法では一定の場所以外での喫煙禁止、管理者がすべき処置が定められています。
タバコは、肺ガンを中心とした各種ガンリスクが高まるほか、循環器系の病気、呼吸器系の病気リスクも高めます。今回の改正健康増進法で具体的対策の加速が予想されます。
望まない受動喫煙をなくす
タバコは喫煙者が吸い込む主流煙と、吐き出した副流煙があります。主流煙よりも副流煙の方が健康被害は大きいことが知られています。
タバコを吸う人はリスクを承知の上、自己責任で吸っているのかも知れませんが、副流煙によって喫煙を望まない他人の病気リスクも高めます。改正健康増進法では、望まない受動喫煙をなくすことがテーマの1つとなっています。
改正健康増進法の具体的ルール
改正健康増進法の具体的ルールには、いくつかのポイントがあります。それぞれの内容を見て行きましょう。
屋内は原則禁煙
改正健康増進法によって、屋内が原則禁止となります。利用者の多い施設や交通機関と関連施設、飲食店などで屋内禁煙となり、違反した場合は罰則の対象となります。
経過措置
既存の小規模飲食店の場合、営業への打撃となる可能性もあるため、喫煙可能な部屋を用意しても良いという経過処置があります。
具体的な内容は
「2020年4月1日時点で営業している飲食店」
「資本金5,000万円以下」
「客席面積100㎡以下」となっています。
事業者への支援
受動喫煙対策に対して、事業者への支援があります。支援は財政支援と税制処置の2つがあり、事業者負担を軽減できるでしょう。
財政支援は「受動喫煙防止対策助成金」により、経費を助成する制度です。税制措置は「特別償却又は税額控除制度」で、経営改善設備取得時に30%の特別償却または7%の税額控除が適用されます。
喫煙室標識の掲示義務
改正健康増進法によって、喫煙室標識の掲示が義務付けられます。
義務付けられる表示は「喫煙専用室」「加熱式たばこ専用喫煙室」「喫煙目的室」「喫煙可能室」です。
これら喫煙室設置施設は、施設に喫煙室があることを示す標識も付けなければなりませんので、利用者がそれら施設を把握してから入店するか選べるようになります。
20歳未満は喫煙エリアへ立入禁止
喫煙目的ではなかったとしても、20歳未満の人は喫煙エリアに立ち入り禁止となります。これは屋内のみならず、屋外も含めた全ての喫煙施設が対象であり、従業員も立ち入りできません。万が一、立ち入らせた施設の管理者は、指導や助言の対象となります。
従業員への対策
従業員の受動喫煙防止に対しても努力義務が設けられます。増進法義務のほか、労働安全衛生法に基づくガイドラインが作られました。
義務違反時の罰則
違反者に対しては、助言や指導だけでなく、罰則が適用される場合もあります。違反内容によっても異なりますが、最大で50万円の過料が課せられる場合もあります。ちなみに過料は地方裁判所の手続きで決められます。
2020年4月1日に全面施行
改正健康増進法は、喫煙時に回りへの配慮義務があるものとして、2019年1月24日に一部施行がなされました。同7月1日にも一部が施行され、学校や病院、児童福祉施設や行政期間などの敷地内禁煙となりました。
2020年4月1日からは、原則屋内禁煙として全面施行されることになります。
一部施行の準備期間を経て、2020年東京オリンピックやパラリンピックまでに施行されます。
2020年に施行される改正健康増進法とは:まとめ
改正健康増進法は、受動喫煙を防止するために定められた法律で、施行後は原則屋内禁煙となります。これにより望まない副流煙による健康被害が食い止められ、国民の健康増進が期待されます。
2019年1月から段階的に施行されてきましたが、準備期間を経て2020年に全面施行となります。