離婚には、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3種類があります。
協議離婚は、離婚届に必要事項を記入し、署名押印し、市町村役場に届け出ることによって離婚となるものです。この協議離婚が一般的な離婚手続きになります。他方、離婚の話がまとまらない場合や一方が離婚に応じない場合に行うのが、調停離婚や裁判離婚です。
それでは、各離婚手続きについて詳しく見ていきましょう。
調停離婚
まず、調停離婚について説明します。
調停離婚とは、家庭裁判所の調停委員という第三者を挟んで話し合いする離婚手続であって、あくまでも夫婦それぞれの意思が尊重されることから、調停不成立となることも少なくありません。調停では、離婚そのものだけでなく、離婚後の子どもの親権を誰にするか、親権者とならない親と子の面会交流をどうするか、養育費、離婚に際しての財産分与や年金分割の割合、慰謝料等、財産に関する問題も一緒に話し合うことができます。
実際には、まず、妻又は夫が調停を家庭裁判所に申し立てます。申立先は相手方の住所地の家庭裁判所です。申立てに必要な費用は、収入印紙1200円分です。その他連絡用の郵便切手も必要となります。
そして、妻、夫それぞれから調停委員が話を聞き、意見の調整を試みます。調停は約4ヶ月間で、回数は約6回から10回程度といわれています。
その後、意見の調整ができ、離婚の合意ができたら、調停成立となり調停調書が作成されます。調停が成立してから10日以内に市町村役場に離婚の届出をして終了となります。
裁判離婚
つぎに裁判離婚について説明していきます。
調停が整わないときには、最後の手段として裁判離婚をすることができます。調停を行わずいきなり裁判を起こすことも可能です。
調停離婚では離婚理由の明確さは求められませんが、裁判離婚をするには、民法で離婚理由が決められています。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
この5つの理由のどれか又は複数に当てはまる場合、離婚の訴えを提起することができます。
弁護士費用
裁判になった場合には弁護士を頼む人が多いので、弁護士費用についてみていきましょう。
弁護士費用は大きく4種類に分けられます。①相談料、②着手金、③成功報酬、④日当・実費です。まず、弁護士に相談する際にかかるのが①相談料です。相場が30分5000円から1万円ですが、無料相談を受け付けているところもあります。②着手金が弁護士に依頼をするときに支払う手付金です。裁判に負けたとしても支払わなくてはならない費用です。③成功報酬については、なにが「成功」であるか弁護士と取り決め、成功した場合に支払う費用です。④日当・実費は、弁護士の交通費や宿泊費、手数料や収入印紙代のことです。
離婚調停における弁護士費用の相場
着手金・成功報酬の相場がそれぞれ20万円から30万円です。これに相談料や実費等を含めると40万円から70万円になるといわれています。
離婚裁判における弁護士費用の相場
調停から引き続き同じ弁護士に依頼するときは着手金が無料となる場合もありますが、約20万円から50万円が着手金の相場となります。成功報酬の相場は20万円から30万円です。親権や慰謝料などを獲得した場合は成功報酬が上乗せされます。結果として100万円以上費用がかかることもあるようです。
弁護士を雇うにはかなり費用がかかることがわかりました。それでも離婚裁判になると弁護士を雇う人が多いのはなぜでしょうか。
弁護士を雇うメリット
最後に、弁護士を雇うメリットについてみてみましょう。
裁判では、裁判官が証拠に基づいて審理を進めます。有利に裁判を進めるためにはどんな事実をどのように証明したら良いか、どんな証拠が必要となってくるのか等、法的な知識や経験が重要となってきます。特に相手側に弁護士がついている場合には自分ひとりで戦うのは難しいといえるでしょう。
また、ほとんどの人は平日に仕事をしているため、裁判所へ行くことは大きな負担になるでしょう。その点、弁護士に依頼した場合、弁護士が訴訟を代わりに行ってくれるので、自分がわざわざ裁判所に足を運ばなくてもよいことになります。
さらに、裁判では様々な書面を作成し提出する必要があります。その書面の作成・提出も弁護士が行います。これが一番大きなメリットではないでしょうか。法律的な書面の作成は普通に暮らしていれば作成する経験が少ないのが一般的です。法律用語等も難しいものが多いのでなかなか一人で書面を作成するのは困難と思われます。
まとめ
以上のように、費用はかかるものの離婚裁判において弁護士を依頼するメリットは高いことがわかりました。裁判は肉体的にも精神的にも多くの負担が当事者にかかります。調停で話がまとまらず、裁判にまでなってしまった場合には、専門家である弁護士に頼むのが良いのではないでしょうか。