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法人税とは?課税の仕組みをわかりやすく解説

法人税とは

会社を起業・経営する上で、絶対に仕組みを知っておくべきなのが法人税です。法人税の仕組みを正しく理解することで、税金の過少・過大申告をせずに済みます。今回の記事では、法人税の意味や課税ベースの計算方法、税率の現状・推移をくわしく説明します。

法人税とは

法人税とは、法人が事業活動を行うことで獲得する所得に対して課税される税金です。法人税法の対象となる法人には、「普通法人(株式会社や有限会社、医療法人など)」だけでなく、「協同組合等(信用金庫など)」、「公益法人等(学校法人など)」、「人格のない社団等」も含まれます。

法人税の課税ベースとなる「課税所得」

法人税は、収益(売上)ではなく「課税所得」に課税されます。この章では、課税所得の計算方法、および注意点を説明します。

課税所得の計算方法

法人税の課税ベースとなる課税所得は、益金の金額から損金の金額を引くことで計算できます。式に表すと以下のとおりです。

課税所得 = 益金 – 損金

益金とは、「商品やサービスの販売による売上収入」や「不動産(土地・建物)の売却収入」を意味します。一方で損金とは「売上原価」や「販売費」、「災害などによる損失」などの出費を意味します。

課税所得に関する注意点

課税所得を計算する上で注意すべきなのが、益金と会計上の収益、損金と会計上の費用は一致しない可能性がある点です。なぜなら、「会計上は費用・収益とならないものの、税務上は損金・益金となるもの(損金算入・益金算入)」や「会計上は費用・収益となるものの、税務上は損金・益金とならないもの(損金不算入・益金不算入)」があるためです。

下記が損金算入・不算入、益金算入・不算入の一例です。

上記の要素を考慮することで、会計上の利益と課税所得は一致しない可能性があります。たとえば会計上の収益が300、費用が100の場合、利益は300 – 100 = 200です。

ただし、上記費用のうち20が損金不算入となる場合、損金は100−20 = 80となります。従って、課税所得は300−80 = 220となります。

損金や益金の算入・不算入を考慮しないと、正しい税額を計算できないリスクがあります。法人税の課税所得を計算する際には、「損金算入・不算入」、「益金算入・不算入」に注意しましょう。

法人税率の現状

この章では、2021年7月時点における法人税率について解説します。

法人税の税率、計算例

2021年7月現在、普通法人および一般社団法人等、人格のない社団等における法人税率は23.2%です。ただし、資本金1億円以下の法人に関しては、年800万円以下の金額部分の法人税率は15%となっています。

たとえば資本金5,000万円の株式会社で、課税所得が1,000万円の場合、法人税の金額は下記のとおり計算できます。

法人税額 = 800万円 × 15% + 200万円 × 23.2% = 166万4,000円

法人実効税率を海外諸国と比較するとどうなのか?

法人の課税所得には、法人税だけでなく法人住民税や法人事業税なども課税されます。法人に課税されるすべての税金を考慮した税率を「法人実効税率」と呼びます。2021年現在、日本の法人実効税率は29.74%です。簡単にいうと、所得の3割が税金として徴収されるのです。

そんな日本の法人実効税率は、諸外国と比較してどうなのでしょうか?主要6カ国の実効税率は以下のとおりです。

以上より、日本の法人実効税率は世界的に見て高い水準であることがわかります。

法人税の推移

最後に、日本国内における法人税率の推移を確認しましょう。

1980年代の法人税率は40%〜43.3%と非常に高い水準でした。しかし1990年代以降は徐々に税率が下がっていき、2012年には25.5%まで大幅に税率が軽減されました。

以上より、日本の法人税率は依然として国際的に高いものの、一昔前と比較すると下がっていると言えます。こうした法人税の引き下げは、「企業に対して収益力の拡大に向けた前向きな投資や、継続的・積極的な賃上げを行える体質への転換を促すこと」を目的に行われました。 今後も政府の方針によって、法人税率の引き下げが行われる可能性はあると考えられるでしょう。

法人税とは?:まとめ

本記事のポイントをまとめると以下のとおりです。

今回お伝えした法人税の知識を参考に、法人の税務処理にチャレンジしていただけますと幸いです。

参考資料
法人課税に関する基本的な資料 財務省
「法人税」を知ろう—もっと知りたい税のこと 財務省

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