中国で「暗号法」が2020年度1月1日から施行されました。法案が施行されたということは、国家として取り組んでいくことになります。念頭に置かれているのは仮想通貨で使われているブロックチェーン技術であり、ブロックチェーンに関わる育成製作も発表されています。そんな暗号法について詳しく解説いたします。
中国の暗号法ってなに?
暗号と聞くと何やら陰謀がうごめく秘密めいた内容だと考える人、ビットコインのような暗号通貨と考える人がいらっしゃるかも知れません。一体どのようなものなのでしょうか?中国の暗号法について具体的に紹介します。
中国の暗号法
中国の暗号法は、2019年10月末に、全人代常務委員会で採択・公布され、2020年1月から施行されました。
暗号法は、暗号の応用と管理を規範化し、関連分野の発展を目的とした総合的な法律と言われています。国家機密保護のための「コア暗号」や「普通暗号」のほか、「商用暗号」などに分類しています。
商用暗号技術の研究や開発、応用、転化などを踏まえ、関連産業発展を促進すると規定されています。
ブロックチェーン技術の採用
中国では2017年9月に、コイン上場による資金調達が禁じられ、2018年1月にはビットコインのマイニング企業への優遇処置も停止されました。結果的に多くのマイニング企業が事業停止したという経緯があります。
このように、暗号資産に対する禁止処置が強化されて来たのですが、その反面、中国人民銀行により、独自のデジタル通過発行の検討が報道されました。つまり、中央銀行がコントロールできない暗号資産をシャットアウトしたかったのです。
暗号資産の運営として、ビットコインなどで使われているブロックチェーン技術が重要なのですが、これに関しては多くの分野に応用可能な技術として重視しているのです。
ブロックチェーン技術は改ざんを防止しやすく、安全性が高いため、当初より国益になるとの判断がなされています。
実際、2018年のブロックチェーン産業の規模は6700万元(約10億円)程度でしたが、中国政府が後押しにより2022年には4億5900万元に増加すると予想されています(中国の調査会社、前瞻産業研究院)。
デジタル技術は監視しやすい
中国では電子マネーの利用が進んでおり、ORコードによるモバイル決済利用者は、44%に昇るとのことです(2019年8月時点)。
とはいえ、電子マネーになれば、最終的に国民の財布の紐を握れるという見方もあります。つまり、デジタル化促進によって監視体制の強化が見て取れるわけです。
現金はお金の流れが見えにくいですが、電子マネーの場合はお金の流れが記録されているため、トレースすることが可能です。
政府発行のデジタル通貨であればなおさら監視がしやすいため、暗号法の背景には監視があるとも噂されています。
デジタル人民元もスタート?
政府発行のデジタル通貨として取り沙汰されているのが、デジタル人民元です。習近平総書記は、中国共産党中央政治局開催のブロックチェーン研究会で、「ブロックチェーン技術への重視と投資を加速していく」と述べました。
その上、上海の「第1回外灘金融サミット」では、黄奇帆副理事長が中国独自のデジタル通貨(DCEP)の発行可能性に触れています。
これら中国要人の発言によって、デジタル人民元の動向が注視されるようになりました。特に黄奇帆副理事長は「中国人民銀行がDCEPの研究に5~6年かけており、機は熟した」という主旨の発言をしたことで真実味を増しているようです。
その際、ブロックチェーン技術をベースとした新しい暗号式電子通貨システムと明言しており、今後の動向がさらに注目されています。
中国の暗号法とは?:まとめ
中国の「暗号法」は2020年度1月1日から施行され、デジタル人民元の動向やブロックチェーン技術との兼ね合いの中で、国家プロジェクトとして取り組んでいくことになります。
監視という側面は否定できない内容ではありますが、全く新しい暗号式電子通過システムとして期待されています。今後の関連業界の動向と合わせて注視すべき内容です。