景品表示法は、消費者が質の良くない商品やサービスを買わないように、不当な広告の表現を規制する法律です。一見すると問題が無いように見える広告表現でも、実は景品表示法に抵触している可能性があります。
優良誤認表示
優良誤認表示の意味
優良誤認表示とは、実際の商品・サービスよりも品質等が著しく優れていると表示したり、事実とは異なるにも関わらず競合他社の商品・サービスよりも品質等が著しく優れていると表示することです。
優良誤認表示が疑われた場合、その事業者は消費者庁から表示が正しいことを客観的に証明する資料の提出を要求されます。ここで合理的な資料を提出できない場合、 表示に合理的な根拠がないと見なされ課徴金などのペナルティが課されます。
優良誤認表示の具体例
優良誤認表示と見なされるものには、主に下記のものがあります。
⑴「絶対」や「完全」、「唯一」といった断定的な広告表現
たとえば、「絶対に痩せる」とか「簡単に稼げる唯一の方法」などという広告表現は、優良誤認表示として景品表示法に抵触します。
⑵実際の商品の品質よりも優れているものであると表示
たとえば、ただの牛肉を「霜降り和牛」と表示した場合、景品表示法に抵触します。
⑶成分や素材等について実際よりも多く表示
実際には100mgしか入っていないビタミンCについて、1000mg入っていると表示すると、景品表示法に抵触する恐れがあります。
有利誤認表示
有利誤認表示の意味
有利誤認表示とは、ある商品・サービスの価格や取引条件について、実際の価格・取引条件や競合他社の商品・サービスよりも著しく有利であると表示することです。
有利誤認表示の具体例
下記の広告表示は、有利誤認表示に抵触する可能性があります。
⑴不当な二重価格表示
二重価格表示とは、比較対象となる高い値段を同時に示すことで、商品の安さを際立たせる手法です。 すべての二重価格表示が有利誤認となるわけではなく、主に下記のケースで景品表示法に抵触します。
- 実在しない商品の価格と比較
- 過去に売ったことのない価格と比較
- 実際には存在しないメーカー小売価格と比較
参考:二重価格表示 消費者庁
⑵確証なく他社よりも安いと表示
たとえば、合理的な根拠なく「業界最安値」と表示した場合、景品表示法に抵触する可能性があります。
おとり広告
おとり広告の意味
おとり広告とは、商品・サービスが実際には買えないにも関わらず、買えるかのように表示している広告です。
おとり広告の具体例
具体的には、下記4つの広告表現がおとり広告となり、景品表示法に抵触するとされています。
⑴商品・サービスについて、取引を行うための準備がなされていない場合の表示
たとえば、商品を売る準備が整っていないにも関わらず、商品を売っているかのように表示する広告が当てはまります。
⑵商品・サービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず、限定されている旨を明確に表示していない広告
たとえば、実際には100個しか売っていないにも関わらず、その旨について表示していない場合が当てはまります。
⑶商品・サービスの供給期間や顧客1人あたりの供給量や売る相手が限定されているにもかかわらず、その旨について明確に記載されていない広告
たとえば、午前中限定でしか売らない商品について、午前中のみ売ることを記載しない場合は景品表示法に抵触します。
⑷商品・サービスについて、合理的理由がないのに取引成立を妨げる行為が行われる場合、その他実際には取引する意思がない場合のその商品・サービスに関する表示
実際には売るつもりがないにも関わらず、あたかも商品を売るかのような広告の表現は景品表示法に抵触します。
打ち消し表示
打ち消し表示の意味
打ち消し表示とは、商品の安さや性能の良さといったアピールポイントを大きな文字や装飾等で目立たせた場合、その事柄に関する例外を記載している表示を意味します。
たとえばダイエット食品に書かれた「効果には個人差があります。」などは、打ち消し表示に当てはまります。
打ち消し表示の具体例
打ち消し表示のすべてが景品表示法に抵触するわけではありません。
どのような打ち消し表示が景品表示法に抵触するかは、公正取引委員会が平成20年に公表した実態調査の報告書が参考になります。公正取引委員会の調査に基づくと、下記の表現は景品表示法に抵触する可能性が高いです。
- 強調された表示と離れた場所に打ち消し表示がある
- 打ち消し表示のフォントが著しく小さい(8ポイント以上でない)
参考: (平成20年6月13日)見にくい表示に関する実態調査について(概要) 公正取引委員会
商品の原産国に関する不当な表示
商品の原産国に関する不当な表示の意味
商品の原産国に関する不当な表示とは、公正取引委員会が規定している「原産国」の正しい表示を行なっていない広告表示を意味します。
具体的に公正取引委員会は、原産国を「その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国」と定義しています。
商品の原産国に関する不当な表示の具体例
商品の原産国に関する不当な表示としては、主に下記のものが当てはまります。
⑴ある国で生産された商品について、その国が原産国であることを判別するのが難しい広告表示
たとえば、中国で生産された商品を「日本製」であるとプロモーションした場合、景品表示法に抵触します。
⑵日本国内で生産された商品について、日本が原産国であることを判別するのが難しい広告表示
たとえば日本で生産された商品を外国にある企業が生産したようにプロモーションした場合、景品表示法に抵触します。
景品表示法に抵触する広告表現5選:まとめ
今回見てきたように、良かれと思って作った広告でも景品表示法に抵触する可能性は十分にあります。景品表示法に違反すると課徴金などのペナルティが課されるため、商品やサービスを売る際には十分注意しましょう。