企業にとって、取引先とのもめごとやリスクに対処することは非常に重要です。トラブルやリスクに対処する方法は様々ありますが、リーガルチェックはその中でもとくに有効な対処法です。
今回の記事では、リーガルチェックを実施するメリットやデメリット、受けるべきケースをお伝えします。
リーガルチェックとは
リーガルチェックとは、契約書の中身を、法律の専門家(主に弁護士)にチェックしてもらうことです。具体的には、法的な妥当性やリスク、不備の有無、自社にとって不利な条件の有無などを精察します。
リーガルチェックの対象は、「売買契約書」や「秘密保持契約書」、「工事請負契約書」などです。
リーガルチェックを実施するメリット
リーガルチェックは重要と言われていますが、受けるとどのようなメリットを得られるのでしょうか?この章では、リーガルチェックを受けた場合に得られるメリットを3つお伝えします。
契約の中身を明確にすることでトラブルを未然に防止できる
リーガルチェックを経ることで、口頭で話し合って決めた事柄を明確にできます。
あいまいな表現や複数の解釈ができる部分があると、当事者同士で認識が一致しないまま契約が締結されてしまいます。その結果、後から大きなもめごとに発展してしまう場合もあります。
リーガルチェックを行えば、契約書の中身を明確にし、当事者同士の認識を一致させることができるため、もめごとをあらかじめ防止することが可能です。
契約書の有効性や権威性が高まる
法律のプロがリーガルチェックを実施するため、契約書の中身に説得力や権威性を持たせることができます。
契約書として有効性が高まるため、当事者の間で契約を遵守しようとするインセンティブが働きます。その結果、契約の履行違反などが生じるリスクを低減できます。
自社にとって不利な契約を結ばずに済む
自社にとって不利な契約事項を洗い出せるのも、リーガルチェックを実施するメリットの一つです。
ご自身で契約書をチェックすると、自社にとって不利な表現を見落とす場合がおおいです。その結果、契約後に大きな損失を被ってしまうケースもあります。
一方でリーガルチェックを受ければ、プロの目で契約書を精察し、不利な項目を削除することができます。その結果、不利益な契約を締結せずに済むわけです。
リーガルチェックを実施するデメリット
一方でリーガルチェックでは、下記2つのデメリットが生じるので注意が必要です。
弁護士への依頼費用が発生する
弁護士にリーガルチェックを依頼すると、当然依頼費用が発生します。具体的な費用は弁護士によって異なりますが、1つの契約書で2万円〜10万円程度の費用がかかってしまいます。
契約の締結までに時間がかかる
リーガルチェックを実施することで、本来は無かった契約書の精察というプロセスが発生します。プロセスが一つ加わるため、リーガルチェックを行わないケースよりも、契約締結までに時間がかかってしまいます。
急いで契約を締結する必要があるケースでは、この点は大きなデメリットとなります。
リーガルチェックはどのような場合に受けるべき?
メリットとデメリットの両面を持つリーガルチェックですが、どのような場合に受けるべきなのでしょうか?この章では、リーガルチェックを実施すべき場面を2つご紹介します。
M&Aや業務提携などで大きな資金が動くケース
M&Aや業務提携など、契約締結によって大きな資金が動くケースでは、リーガルチェックを実施すべきでしょう。
大きな資金が動く契約の場合、トラブルが発生した際や自社にとって不利益な契約を結んだ場合に被る損失も大きくなります。もめごとが生じた際の損失を考えると、費用をかけてでも専門家にリーガルチェックを依頼した方がかえって安上がりです。
海外企業との契約時
海外企業との契約では、国内企業との契約と比べて契約書の中身がとても複雑で細かい傾向があります。
そのため、契約書を精察せずに結んでしまうと、自社にとって不利益な契約を結んでしまったり、後から大きなもめごとが生じてしまう可能性が高いです。
海外企業ともめごとが発生した場合、国をまたいで問題を解決する必要があります。万が一訴訟などに発展してしまうと、解決するために多額の費用や労力がかかってしまいます。 面倒な事態を回避するためにも、海外企業との契約では必ずリーガルチェックを実施すべきでしょう。
リーガルチェックはどのような場合に受けるべきか:まとめ
費用や時間がかかるデメリットこそあるものの、トラブルの発生リスクや自社にとって不利な契約を回避できる点で、リーガルチェックのメリットは非常に大きいです。
とくにM&Aなどの大きな契約や海外企業との契約では、もめごとが生じた際の損失がとても大きなものとなります。自社にとって重大な契約で失敗しないためにも、専門家の力を借りてリーガルチェックは積極的に実施しましょう。