社内でパワーハラスメントが発生すると、企業にとって大きな損失となり兼ねません。従業員のモチベーション低下や、労働環境の悪化、場合によっては損害賠償とも成り得ます。そこでこの記事では、パワーハラスメントを防ぐために、企業が気をつけるべき5つのポイントを紹介します。ぜひ参考にしてください。
そもそもパワーハラスメントの定義ってなに?
ハラスメントとは、英語の「harass」が語源で、嫌がらせを意味します。ハラスメントとえいば、セクシャルハラスメントが取り沙汰されるようになってから、パワーハラスメントやモラルハラスメントなど、ほかの事案にも用語が使われ出したのです。
最近では日本人が麺類をすする音が外国人にとってヌードルハラスメントだという報道もあり、ハラスメントという言葉が独り歩きするケースもありますが、いずれにせよ職場でのハラスメントはされる側にとって脅威となります。では、具体的にパワーハラスメントの定義とはどのようなものなのでしょうか?
パワーハラスメントの定義
パワーハラスメントの定義は、職場における地位や優位性を利用していたり、適性な範囲を超える指示をしていたり、精神的苦痛を与え、職場環境を害する行為とされています。つまり、相手が避けられない状況の嫌がらせがパワーハラスメントなのです。
逆にいうと、本人が嫌がらせだと認識していないケースや、回避できる場合には、パワーハラスメントとはなりません。何でもかんでもパワーハラスメントだと主張できるわけではありません。パワーハラスメントと主張する場合には、この定義を軸に考えましょう。
パワーハラスメントのパターン
パワーハラスメントには6つのパターンがあります。それは「身体的侵害」「精神的侵害」「人間関係から切り離し」「過大要求」「過小要求」「個の侵害」の6つです。
パワーハラスメントのパターン | 内容 |
身体的障害 | 殴る蹴るなどの暴行を受けた場合 |
精神障害 | 侮辱や暴言などを受けた場合 |
人間関係から切り離し | 無視や1人だけ意図的に飲み会に誘わないよう仕向ける、席の隔離などを受けた場合 |
過大要求 | 不可能なノルマの要求などを受けた場合 |
過少要求 | 雑務しか仕事を与えないなどの嫌がらせを受けた場合 |
個の侵害 | 個人情報に対し、不適切に踏み込まれた場合 |
パワーハラスメント防止のための5つのポイント
パワーハラスメントが発生すると、従業員のモチベーション低下、労働環境の悪化、精神疾患などによる社員の休業により、企業にとってマイナスとなり得ます。
また、被害を受けた社員から損害賠償請求されたり、自殺などによる企業イメージの低下を招く恐れもあります。そこで、企業が気をつけるべき5つのポイントを紹介します。
1. パワーハラスメント研修の実施
パワーハラスメント防止のために、研修は効果的です。何をすればパワーハラスメントとなるのか、分からずに行っている加害者もいます。
また、加害者はパワーハラスメントするつもりはなくても、上記パターンに該当した上、被害者が嫌がらせと捉えた場合にはパワーハラスメントとなります。未然に防ぐためや再発防止のために、しっかりと研修しておきましょう。
2. 事例発生時の情報発信
もしもパワーハラスメントが発生した場合には、適切な情報発信が大切です。各種ハラスメントを取り締まっている趣旨の内容や、責任者への注意喚起などが効果的です。
3. 事例の有効活用
パワーハラスメントが起きてしまった場合には、そこから反省する必要があります。事例を検証し、その上で再発防止策を整えれば、より良い職場環境となるでしょう。代表者や責任者からのメッセージ発信や、社内ルールの見直し、情報共有、研修プログラムの見直しなど、具体的に取り組みましょう。
4. 評価の対象とする
管理職に対して、部下との指導や育成の評価基準を明確化すれば、パワーハラスメントを防げる場合もあります。部下を指導育成できる優秀な人材は、パワーハラスメントの対極にいるからです。
パワーハラスメントが、評価に悪影響だと思うと気を付けるでしょう。また、評価基準の明確化で、取るべき指導法を前向きかつ具体的に考えられます。どういう管理職が理想なのかから逆算して、評価基準を設定しましょう。
5. 職場環境を改善
職場環境の改善も大切です。長時間労働やハードワークなどにより、疲弊した社員がパワーハラスメントを起こすケースも考えられます。
また、社員同士がコミュニケーションを取る機会がなく、ギスギスした人間関係の場合もパワーハラスメントは起こりやすいです。
適切な仕事量に調整したり、コミュニケーションを取る時間を作るなど、社員に心のゆとりを持たせる職場環境を心がけましょう。
パワーハラスメントを防ぐために:まとめ
パワーハラスメントが起こると、企業にとってダメージとなります。パワーハラスメントの未然防止や再発防止の取り組みに注力しましょう。研修を施したり、情報発信したり、評価基準の見直しをするなど、具体的な取り組みが重要です。